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平成27年3月
 
有田窯業大学校卒業証書授与式学校長式辞

 本日ここに、ご来賓並びにご家族の皆様方のご臨席をいただき、平成二十六年度佐賀県立有田窯業大学校卒業証書授与式を挙行できますことを、心よりお礼申し上げます。

 卒業生の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。

 佐賀県には、優れた農水産品や連綿と続く歴史や文化など、様々な「本物」がありますが、有田焼はその代表ともいえる存在です。皆さんは、地元佐賀はもとより、全国各地から、また外国から、「本物」が生み 出されるまち、陶都「有田」に集われました。本校での勉学には、不安と戸惑いがあったことと思いますが、ひたすらに窯業の知識と技術の研鑽に励み、最後まで頑張り通され、本日を迎えられました。
 ご本人はもとより、この日までご支援いただきましたご家族の皆様の感慨もひとしおであろうかと存じます。

 先般、知事就任後初めて本校を訪問し、卒業される皆さんの作品を拝見させていただきました。
 様々な技術の修得に日々積み重ねられた努力の成果としての作品には、有田の伝統技術の素晴らしさを再認識させられるとともに、一人一人の個性的な着想のもとに焼き上げられた新しい表現や、持ちうる技術を 十二分に発揮された力作など、皆さんが「ものづくり」に注がれた熱い思いに心打たれたところであります。
 有田焼は、様々な職人の手を経て完成する、まさに総合芸術です。この有田窯業大学校は、そうした個々の技術を究める視点と全体的なプロダクトデザインの視点とを立体的にイメージすることができる場所であることに強い印象を持ちました。物事をとらえる際には、小さいことと大きいこと、どちらかが大事なのではなく、両方の視点を合わせ持つ必要があることを、卒業生の皆さんは身をもって学ばれたのではないかと思います。

 最近の窯業界を取り巻く環境は、安価な輸入製品の増加やライフスタイルの変化等により、景気回復の動きが見られる経済状況の中にあっても依然として厳しい状況にあります。
 そのような中、来年有田焼は創業400年を迎え、新たな歴史を刻み始めることになります。これを契機に、佐賀県は、有田が日本磁器発祥の地としての誇りと自信を取り戻すために、世界のマーケットでの有田焼の認知度向上や海外市場の開拓など、産地一体となって新しい動きを始めているところです。

 これから、卒業生の皆さんは、就職する人、独立を志す人、本校でさらなる技術の向上を目指す人など、それぞれの道を進まれます。皆さんには、変化し続ける現状を絶好の機会ととらえ、初心を忘れることなく、この有田の地で学んだ、歴史に裏打ちされた「本物」の伝統と技術、さらには、本校の卒業生としての自信と誇りを胸に、力強く世界に羽ばたかれんことを期待しております。

 最後になりましたが、卒業生・修了生をはじめご臨席の皆様の今後ますますのご健勝を心から祈念いたしまして、式辞といたします。