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平成27年4月
 
佐賀県戦没者春季慰霊大祭あいさつ

 一言ごあいさつ申し上げます。

 ただいま、戦没者に対する春季慰霊大祭が厳かに執り行われたところでございますが、県内各地から多数ご参列いただきましたご遺族の皆様とともに、戦没者の方々をしのびながら、御霊(みたま)のご冥福を心からお祈り申し上げます。

 戦後70年という節目の年に、私は知事として県政に携わることになりました。私たちは、この70年の間、再び戦争の惨禍を繰り返してはならないとの固い決意のもとに、国民が一つになって不断の努力を重ね、今日の平和で豊かな日本を築き上げてきました。
 そして、時は巡り、人口が減少している現在、その地域に住む一人一人の価値観を大切に、地域で地域の進むべき道を決めていく新しい時代が到来しています。まさに、ふるさと佐賀がこれまで大事にしてきた、農水産品や陶磁器、唐津くんちなどのお祭りといった「本物」が主役となる時代です。

 戦時中は、一人一人の価値観は黙殺され、日本全体が戦争に勝つことだけを目指していました。国のために、そして家族のためにと、志半ばにして命を失われた戦没者の方々はその犠牲となってしまい、ご遺族の方々の心に深い傷を負わせてしまうことになりました。私達はそのことを忘れずに、思いを繋ぎ、歴史を繰り返してはならないと永遠に語り継いでいく義務があると思います。

 私の県政における目標は、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」です。一人一人の痛みに敏感に反応し、一人一人のすばらしい「思い」や「考え」を大切にしていくことで、佐賀を輝く地域にしたいと思っています。そのことが戦争によって亡くなられた戦没者の方々の無念に対しての、私なりの答えです。微力ではありますが、全力を捧げてまいります。
 昨年、宮尾節子さんという方の「明日戦争がはじまる」という詩が大きな反響を呼びました。

 まいにち
 満員電車に乗って
 人を人とも
 思わなくなった

 インターネットの
 掲示板のカキコミで
 心を心とも
 思わなくなった

 虐待死や
 自殺のひんぱつに
 命を命と
 思わなくなった

 今、このめまぐるしい日常の中で、私たちから、人のこころが失われつつあるのではないか。そして、その先に戦争を戦争と思わない日が来るのではないかと宮尾さんは問いかけています。
 これまで連綿と続く「本物」の歴史や文化の中で、「人」や「心」を何よりも大切に育ててきた佐賀だからこそ、人を大切にし、世界に輝くことができると、私は強く確信しています。

 最後に、ここに謹んで御霊の安らかなご冥福を重ねてお祈り申し上げ、ご参列の皆様のご健勝とご多幸を心から祈念いたしまして、ごあいさつとさせていただきます。