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平成27年8月
 
NPO法人全国ことばを育む会第26回全国大会佐賀大会への祝辞
『「ことば」の花びら、一つひとつを大切に』

 NPO法人全国ことばを育む会第26回全国大会佐賀大会が、盛大に開催されますことをお喜び申し上げますとともに、全国各地からお越しになった皆様を心から歓迎します。

 全国ことばを育む会の皆様をはじめとして、参加者の皆様方が、ことばや聴こえに心配のある子どもたちのことで真剣に悩み、ともに手を携えて、よりよい社会づくりを目指して努力を重ねてこられたことに敬意と感謝の意を表します。

 今年の大会テーマには、「育地」という素晴らしい言葉が使われています。佐賀県は子どもの割合がとても高い地域です。地域全体で支えあいながら子どもたちを育てるという文化を大切にしていくことで、佐賀を「子育てし大(たい)県」にすることを目指しています。

 聴こえの支援について、佐賀県では、昨年4月に、「佐賀県聴覚障害者サポートセンター」を開設しています。私は、知事就任後、この施設を訪れ、難聴の子どもやその保護者の方から直接お話を伺い、子どもの発達における、ことばや聴こえの大切さを改めて認識しました。これを受けて今年度から、軽度・中度の難聴の子どもの補聴器購入費用の助成制度を設けるようにしています。
 また、この施設の聴力測定を伴う聴力・補聴器に関する相談は、先進的な取り組みのひとつです。専門知識を持った言語聴覚士が常駐し、相談された方の悩みや聴こえの状態をしっかり確かめ、それに合わせた手助けを行っています。
 これからも、一人ひとりの思いに敏感に反応できるよう、子どもたちや、皆様のことばに耳を傾けていきたいと思います。

 詩人大岡信さんは、随筆「言葉の力」の中で、こう言っています。

 言葉の一語一語は桜の花びら一枚一枚だと言っていい。一見したところぜんぜん別の色をしているが、しかしほんとうは全身でその花びらの色を生み出している大きな幹、それを、その一語一語の花びらが背後に背負っているのである。

 子どもたちから発せられることばは、子どもたちの心の中の世界、その切実な思いを背負っています。その一つひとつ、花びらの一枚一枚を大切にしていきましょう。

 全ての子どもたちが、「ことば」の力で自分の思いを伝え、そして大きな花を咲かせることができる。そうした社会になることを心から願って、お祝いの言葉とさせていただきます。