メニュー表示
こちら知事室です
×
こちら知事室です こちら知事室です

平成27年10月
 
第37回全国青年保育者会議大会への祝辞
『いつの時代も変わらない思い』

 第37回全国青年保育者会議が、ここ佐賀県で盛大に開催されますことをお喜び申し上げますとともに、日本各地からお越しいただいた皆さまを心から歓迎いたします。

 江戸時代の佐賀藩士のバイブル「葉隠」をご存じでしょうか。この書物は武士としての心構えを、「武士道」という言葉であらわしたもので、その考え方は今日まで多くの方に影響を与えています。
 その「葉隠」の中に、武士の子育て法について記されている文章があって、そこにはこのようなことが書かれています。
 「子の育て様、幼な子はだまさず怖氣(おじけ)附かせず強く叱らずに」
 武士の子育て法というと上から押さえつけるようなものをイメージするのですが、今も子育ての専門家がよく言っているような言葉が並んでいますね。これに続けて、子どもの自主性を尊重しながら、しっかりとしつけをしていけば、自ずとよい武士になると記されています。ただ、わざわざこのようなことを書いているところを見ると、実際には、そううまくはいかなかったのではないでしょうか。

 私も家に帰ると知事から3人の子どもの父親に戻ります。10年前になりますが、3人目の子どもの出産で妻が入院し、2週間、育児のための休暇を取ったことがありました。よしやるぞと、気合を入れて子どもの相手をしていたのですが、やること、考えることがたくさんあって、毎日へとへとでした。短い間ではありましたが、ひとりで子育てすることの心細さ、大変さを身に染みて感じたものです。
 そして今、「葉隠」の文章を読み返した瞬間、400年前の武士と現代の私の姿が重なったような気がしました。いつの時代も親は子育てに悩み続けているのです。

 そうした悩みを優しく受け止めてくれるのが子育てのプロである保育士の皆さまです。親だけで思い悩むのではなく、一緒に、そして真剣に子どものことを考えてくれる皆さまの存在は、無くてはならないものだと私は強く感じています。

 佐賀県では、「子育てし大(たい)県」をキャッチフレーズに、結婚、出産、子育ての希望をかなえ、みんなが一緒に、楽しく子育てできる環境をつくっていこうとしています。また、新たに「子ども・子育て支援新制度」がスタートし、子育て支援のあり方が大きく変わろうとしている時期でもあり、今回ここ佐賀の地で、保育の新たな可能性について議論が進められることを大変心強く感じています。若く、意欲に燃えた皆さまと一緒に、子育てと仕事の両立に悩む親に手を差し伸べ、そして、子どもたちが健やかにのびのびと暮らしていける社会をつくっていきたいと思います。

 結びに、本大会の開催にご尽力いただきました日本保育協会青年部の皆さまをはじめ、関係団体の今後ますますのご発展と、本日ご出席の皆さまのご健勝、ご活躍を心から祈念いたしまして、祝辞といたします。