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平成27年12月
 
佐賀県工業会連合会創立55周年記念誌への祝辞
『思いは共振する』

 佐賀藩が日本で初めて反射炉に火を入れた嘉永3年12月12日。
 これはまさに佐賀のものづくりの歴史に新たな火が灯った瞬間でもありました。そして今、火は絶やされることなく、いよいよその勢いを増しています。

 佐賀県工業連合会の創立55周年を、心からお祝い申し上げます。半世紀を超えて佐賀のものづくりを先導し続けていただいていることに尊敬と感謝の意を表します。

 今年は、三重津海軍所跡が「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録されるという、佐賀工業史に大きく刻まれる画期的な年となりました。
 明治日本の産業革命につながる日本の近代化のスタートは、幕末の佐賀藩により建設された築地反射炉であったといわれています。佐賀藩は、この反射炉で日本で初めて鉄製大砲の鋳造に成功しました。
 反射炉の建設には想像を絶する困難があったと言われています。それでも成功に至ったのは、ミッションに応えようとする技術者たちの心意気、そして、携わった数多くの技術者、職人を育んだ先人の知恵や技術、技能が「礎」としてあったからではないでしょうか。現代にもつながる佐賀の「人づくり」の素晴らしさが、そこには垣間見えます。

 私は、知事となり県政を進めていくにあたっての基本理念として、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を掲げました。これは、人に寄り添い、人と対話することで、これまで受け継がれてきた人の「思い」を感じ取っていくことが県政の運営に大切であること、また、“佐賀らしさ”の価値を私たち自身が再認識するとともに、世界から認められてきた佐賀県を「再興」していきたいと考えてのことです。
 これからは、ここ佐賀の地に連綿と続くものづくりへの「思い」を誰もが身近に感じることができるようになってほしい――技術や技能の中にある精神を次の世代にしっかりと引き継ぎながら、新たな“挑戦”をみんなで応援できる環境づくりに、私は皆様とともに全力を尽くしていきます。

 忘れもしない昨年の12月12日、私はふるさと佐賀県のために、知事を目指して立ち上がることを決意しました。同日行われた反射炉まつりで響いたカノン砲の轟音が、私をこの道へ導いてくれたのではないかと、今でも思っています。
 未来を担う子どもたちが、私と同じように皆様のものづくりへの「思い」と共振することで、その心に新たな火が灯されることを願い、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。