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平成28年3月
 
ゆめさが大学卒業文集巻頭言
『挑み続ける“心”』

 「僕は好奇心が人生最大のエネルギーやと思うな」
 これは、テレビ番組やCMなどに出演されていた書家・榊莫山(さかきばくざん)先生の言葉です。
 先生は、書だけではなく、絵画やデザイン、エッセイの執筆など、幅広い創作活動に取り組まれていました。そうした積み重ねによって創り上げられた、詩・書・画が一体となった独自の作風は、今でも多くの人々に親しまれています。

 色々なことを体験し、新たなことを手がける。そんな好奇心に満ちた人たちは、いくつになっても第一線で活躍されています。

 東京・銀座で六十年以上営業を続ける喫茶店「カフェ・ド・ランブル」の店主・関口一郎さんも、そうした方々の一人です。百歳を超えてからも、お店に出られ、美味しいコーヒーを提供されています。
 きっかけは、学生時代に自分で淹れたまずいコーヒー。それを飲んだときに生まれた、「どうしたら美味しくなるのか」という思いこそ、関口さんの好奇心だったのでしょう。淹れ方や豆の熟成方法を研究し、さらには、豆を挽く器具やポット、フイルターに至るまでの道具の数々を自ら考案するなど、一途に味を追求し続けられました。「次から次へと改善したいことが出てきて、時間が足りない」という言葉からは、年齢をものともせず、新しいことに挑戦しようとするエネルギーが感じられます。

 ゆめさが大学を卒業される皆さまは、この二年間を通じて、たくさんのことを学ばれました。ここで得られた知識や体験は、皆さまの中に新たな好奇心を芽生えさせたのではないでしょうか。
 卒業を記念して発行された、この文集を読ませていただくと、ボランティア活動を始めた方や福祉の仕事に関わりを持つようになった方、地域の人たちが集まる場所づくりに取り組んでいる方もいらっしゃることが分かり、皆さまと地域活動を結びつけたきっかけが、ゆめさが大学にあることを大変嬉しく思っています。

 佐賀県は、消防団の組織率が全国一位であることやボランティア参加率が高いことなど、地域活動が活発です。それは、私たちの中に、「お互いを助けあう文化」がしっかりと根付いているからだと思います。これからも、皆さまには、支え合う心を大切にするとともに、一歩を踏み出す力となる好奇心を持ち続け、それぞれの地域で大いに活躍されることを期待しております。

 ゆめさが大学第四期生の皆さま、ご卒業おめでとうございます。

(参考図書 徳間書店取材班「最高齢 プロフェッショナルの教え」)