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平成28年7月
 
公益社団法人全日本断酒連盟第30回九州ブロック(佐賀)大会への祝辞
『一日一日と重ねて一生なり』

 公益社団法人全日本断酒連盟第30回九州ブロック大会が、ここ佐賀県で開催されますことにお喜び申し上げますとともに、九州各地からお集まりいただいた皆さまを心から歓迎いたします。
 また、今年4月に発生した熊本地震により被災された方々に、謹んでお見舞い申し上げます。

 冠婚葬祭をはじめ、忘年会や新年会など、私たちの暮らしに身近な酒。その歴史を遡ると、3世紀頃に書かれた中国の歴史書の中に、その頃すでに日本で飲酒する習慣があったことが記述されています。
 このように、古くから酒を嗜んできたために、歴史に名を刻む武将や政治家などの飲酒による失敗話は、数えきれないほど残されています。例えば、戦国時代に佐賀の地を足掛かりに九州に覇を唱えた武将、龍造寺隆信は、晩年酒色におぼれて人心が離れると、ついには戦で命を落としたと伝えられてきました。

 江戸時代の武士の生き方を説いた、山本常朝『葉隠』にも、「大酒に後(おく)れを取りたる人数多なり。別して残念の事なり」という一節があります。当時も変わらず、酒を飲みすぎて失敗する人が多く、家族や同僚などの頭痛の種であったようです。自分の適量を知り、節度ある飲み方をすべきだと続くこの教訓は、今の私たちにも大いに通じることでしょう。

 しかしながら、自分自身を律し続けることは、なかなか難しいものです。酒害と闘っている方々の苦しみも、そこにあるのではないでしょうか。
 そんな皆さまの心の支えとなっているのが、お互いの体験を語り合う断酒会だと思います。同じ悩みを共有することを通して「一人ではない」と実感することこそ、酒害に苦しむ方々やご家族を勇気づけ、そして断酒を継続する力を生み出しているに違いありません。

 『葉隠』には「一念一念と重ねて一生也」という言葉もあります。大きな目標を達成するためには、一つ一つ、一日一日を積み重ねることが大切です。私も、アルコールに関する正しい知識の普及・啓発などの地道な活動に一つ一つ取り組み、人々が上手に酒とつき合いながら健康的な生活を送ることができるよう、皆さまとともに力を尽くしてまいりたいと思います。

 最後になりましたが、本大会のご成功と、九州ブロック断酒連盟の皆さまとご参集の皆さまのご健勝、ご多幸を心から祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。