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平成28年10月
 
佐賀県立産業技術学院創立20周年記念誌あいさつ
『佐賀発「ものづくり」革命!』

 佐賀県立産業技術学院創立20周年、誠におめでとうございます。

 産業技術学院は、技術革新や情報化をはじめ、高齢化や女性の社会進出など、大きく変化する社会のニーズに柔軟に対応するため、最新の機器や設備を持つ職業能力開発校として、1997年に新たな一歩を踏み出しました。開校当初から幅広い世代の学院生への技術指導などに努められ、多様な分野で活躍する人財を輩出してきたその功績に対し、敬意を表します。

 幕末の佐賀藩を率いた10代藩主鍋島直正公。佐賀藩は、その強力なリーダーシップのもと、西洋の科学技術を積極的に導入したことによって、一つの藩でありながら日本最高水準の技術力を有することとなりました。築地反射炉での鉄製大砲の鋳造や実用蒸気船「凌風丸(りょうふうまる)」の建造など、日本初と言われる偉業を次々と成し遂げたのは、高度な知識と技能を持つ優秀な人材が育まれていたからに他なりません。時代の潮流を見据えて行った藩校弘道館での厳しい教育、つまり「人づくり」に心血を注ぐことが、自らの役目であると直正公は考えていたのでしょう。
 そうした佐賀藩の中でも特に教育が盛んだったのが、産業技術学院が建つここ多久の地でした。中でも、遠く江戸にまでその名を馳せていたと言われる邑校東原庠舎(とうげんしょうしゃ)では、身分の区別なく門戸を開き、熱心に教育を行っていたそうです。日本電気工学の祖と呼ばれる志田林三郎博士をはじめ、多くの優秀な人材が多久から世に出たことは当然のことなのかもしれません。

 志田博士が学んだ工部省工学寮(東京大学工学部の前身)の初代都検(教頭)を務めたヘンリー・ダイアー氏は、このような言葉を残しています。
 「技術者こそが本当の革命家である」
 世界に先んじて産業革命が起こったイギリス出身のダイアー氏は、社会を大きく変える「ものづくり」の力を実感していたのではないでしょうか。日本が近代化を進める中、人々が高い目標を持って「ものづくり」に取り組み、今の日本を築き上げることができたのは、そうした「ものづくり」の力を信じていたからだと、私は思います。

 昨年、産業技術学院を訪問した時の、熱く夢を語る学院生のきらきらとした目の輝きは今でも忘れられません。「人づくり」と「ものづくり」に真摯に取り組んできた先人の思いは、プロフェッショナルを目指す産業技術学院にもしっかりと受け継がれています。
 これからも、学院生の皆さまにはここで出会った仲間と一緒に、自分にしかできない技術やひらめきを磨くとともに、自らの仕事に誇りを持って、時代を変える“革命”を巻き起こしてほしいと願っています。

 最後になりましたが、ものづくり人財の育成にご尽力いただいた歴代学院長をはじめ学院関係者の皆さまに心から感謝申し上げますとともに、産業技術学院がさらなる飛躍を続け、世界に通用する技を身に付けた人財を育まれることに大きな期待を寄せて、私のあいさつといたします。