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平成28年11月
 
佐賀土地改良区設立50周年記念誌への祝辞
『佐賀平野を支える“水”』

 佐賀土地改良区におかれましては、設立50周年の節目を迎えられますことを心からお喜び申し上げます。
 また、半世紀の長きにわたり、農業用水の配水調整や洪水時の対応に努められるなど、農家の安定的な生産はもとより、県民の安全・安心な暮らしを支えてこられた皆さまのご尽力に対し、深く敬意を表します。

 見渡す限り広がる佐賀平野。ここに住む私たちにとっては見慣れた風景ですが、佐賀県を初めて訪れた人たちは、視界を遮るものがない佐賀平野を目にすると、「どこまでも続く田畑は圧巻」「空がとっても広い」と感動されるそうです。しかも、この平野はこうした素晴らしい景観を与えてくれるだけでなく、豊かな実りをもたらす日本有数の穀倉地帯でもあります。
 今、佐賀県が日本一の耕地利用率を誇る農業県となった背景には、多くの先人たちのご労苦がありました。

 干拓によってその面積を広げてきた佐賀平野は、「降れば洪水、照れば干ばつ」と言われたように、常に“水”に悩まされてきました。ところが、今を遡ること約400年前、「佐賀の治水の神様」とも呼ばれる成冨兵庫茂安を中心にして行われた治水・水利事業によって、佐賀平野は、整然と水が流れる土地に生まれ変わりました。石井樋や多布施川、芦刈水道など、その当時に造られたものがいまだに現役で活用されていることは、佐賀人の高度な知恵と技術、そして情熱の証であると思います。

 また、県内各地に多くの水利施設を築いた成冨兵庫茂安は、自ら現場に出向き、作業にあたる人々と寝食を共にし、様々な意見を聞いたそうです。そこに暮らす一人ひとりに寄り添い、心を通わせること。それは、地方創生が叫ばれている今、地域の人たちが思い描くまちづくりを実現するために必要なことです。
 人々が大切にしている豊かな土地を守るため、様々な工夫を重ねてきた先人の思いは、地域を支える“水”を守り育まれている佐賀土地改良区の皆さまの中にも、きっと引き継がれていることでしょう。

 近年、担い手不足や高齢化など、農業を取り巻く環境が厳しさを増す中、皆さまは、地域住民と共同で行う水路の清掃活動をはじめ、小学生などを対象とした田植え、稲刈りの体験学習会やダム施設の見学会などを通して、地域の方々に“水”の多様な役割とその大切さを伝えられています。農業の土台となる大地を水で満たすだけでなく、地域の人々を結び付けることによって、佐賀平野はもっと輝く豊かな地域へと飛躍していくことでしょう。
 これからも、農家の方々、そして県民の皆さまの思いに寄り添いながら、世界に誇れる佐賀づくりを目指して、皆さまとともに力を尽くしてまいりたいと思います。

 最後になりましたが、佐賀土地改良区の今後ますますのご発展と関係者の皆さまのご活躍、ご健勝を祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。