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平成28年12月
 
人権社会確立第36回全九州研究集会あいさつ
『寄り添うこころ』

 人権社会確立第36回全九州研究集会が、ここ佐賀の地で盛大に開催されますことをお喜び申し上げますとともに、九州各地からお越しいただきました皆様を心から歓迎いたします。
 また、皆様方が、同和問題をはじめとする様々な人権問題の解決と人権が尊重される社会の確立を目指して、たゆまぬご努力を重ねておられますことに、深く敬意と感謝の意を表します。

 先日、私は妊婦体験をしました。それは、ワーク・ライフ・バランスを推進するキャンペーンの動画を撮影するためでした。この動画はCMやニュースで流れたこともあるので、ご覧になられた方もいらっしゃるかもしれません。
 妊婦ジャケットの重さは7.3キロ。ずっしりとした重さを身に付けたまま、歩いたり、しゃがんだり、階段を上ったりと、何気ない動作であっても思うように動けず、初めての体験にとても苦労しました。撮影の間だけの私とは違い、こうした毎日を過ごしながら命を育まれている妊婦の皆様は、本当に大変な“お仕事”をされているのだと感じました。

 自分は不便と感じないものが、誰かにとって不便であること。こうしたことは、今の社会の中にもまだ、たくさん存在しているでしょう。それを解決するためには、多くの人が、困っている人の身になって考えること――想像することが大切であると、今回の妊婦体験を通じて、あらためて思い知ることとなりました。

 人は皆、生まれながらに等しく、自分らしく生きる権利を持っています。
 他の誰かになることはできない私たちは、同じ一人の“人”が生きづらさを感じ、悩みや痛みを抱えている時こそ、想像力を働かせなければなりません。その積み重ねが、差別の壁を取り払い、真に「人を大切にする」社会を築く一歩となるのではないでしょうか。

 私も、人の思いに寄り添う心を次の世代にしっかりと引き継ぎ、性別、世代、国籍、障害の有無などの様々な違いを越えて、一人ひとりの人権が尊重される社会を実現できるよう、皆様とともに力を尽くしてまいります。
 この研究集会をきっかけに、人権の尊重について、ともに考え行動する気運がますます盛り上がっていくことを期待しています。

 結びに、本会の開催にご尽力された部落解放同盟九州地方協議会をはじめ、関係団体の今後ますますのご発展と、本日ご出席の皆様のご健勝とご活躍を祈念いたしまして、お祝いと歓迎のご挨拶とさせていただきます。