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平成29年3月
 
有田窯業大学校卒業式式辞

 本日ここに、ご来賓の皆様並びにご家族の皆様のご臨席をいただき、平成二十八年度佐賀県立有田窯業大学校卒業証書授与式を挙行できますことを、心よりお礼申し上げます。

 卒業生の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。
 皆さんは、佐賀県内はもとより、全国各地から、また海外から本校に集われ、窯業の知識と技術の研鑽に励まれるとともに、様々な経験を積み重ね、本日を迎えられました。ご本人はもとより、この日までご支援いただきましたご家族の皆様の感慨もひとしおであろうかと存じます。

 昨年、有田焼は創業四〇〇年を迎え、国内にとどまらず海外においても様々な取組が行われました。
 本校の近くにある九州陶磁文化館では、佐賀県が誇る人間国宝と三右衛門の器を使って食事を提供する施設USEAM ARITA(ユージアム アリタ)を開設し、大変な好評を得ました。また、「世界料理学会」や野外レストラン「DINING OUT ARITA &(ダイニングアウト アリタアンド)」などのイベントも数多く開催され、いろいろな立場で関わられた学生さんもいたと聞いています。
 ほかにも、著名なデザイナーを多数輩出しているアイントフォーフェン・デザインアカデミーから留学生を本校に受け入れるなど、オランダとの交流も進みました。留学生の方々とともに学ぶことを通して世界の風を感じ、実に様々な刺激を得られたことと思います。

 四〇〇年の歴史に思いを馳せるとともに、未来を見つめ、新しい一歩を踏み出すきっかけとなった記念すべき年に、ここ有田の町で学ばれたことは、皆さんにとって大きな財産になったのではないでしょうか。
 「伝統とは、水のように流れ動いているものだ」とは、第四代校長であった十四代酒井田柿右衛門先生の言葉です。これからもやきものは、受け継がれてきた伝統を大切にするとともに、移りゆく時代の変化を受け入れながら、その歴史を紡いでいくことでしょう。そして、その担い手の中心となるのは、真摯にやきものと向き合い、未来を見据えている卒業生の皆さんにほかなりません。

 これから就職や独立など、それぞれの道に進まれる卒業生の皆さんには、本校に入学した時の初心を忘れず、この有田の地で育んだ「志」を胸に、世界へと羽ばたかれんことを大いに期待しています。

 最後になりましたが、卒業生をはじめご臨席の皆様の今後ますますのご健勝を心から祈念いたしまして、式辞といたします。