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平成29年6月
 
第67回社会を明るくする運動へのメッセージ
『「恩送り」のバトンをつないで』

 Pay it forward(ペイフォワード)という言葉をご存じでしょうか。人から受けた親切を、受けた相手に返すのではなく、別の人へ渡すことを意味しています。日本語では「恩送り」と言うそうです。

 誰もが、様々なストレスにさらされている現代。慌ただしい日々に追われていると、つい自分本位になり、周りを見る余裕や心のゆとりが少なくなってしまいます。そうなると、人に対して親切や思いやりの気持ちを持って行動することが出来なくなり、また、行動を起こしたとしても、相手の反応によっては不満を持ったり、逆に腹を立ててしまうことがあります。これは、「自分がしてあげた」という思いが、なにかしらの見返りを期待しているからなのではないでしょうか。

 しかし、恩送りとは、見返りを求めるものではありません。
 例えば、近所で道に迷った人を案内したこと。引っ越しや転職などで新しい環境に慣れず、不安を感じている人に声をかけたこと。こうした何気ない行動の裏にある優しい気持ちは、これまでたくさんの親切や思いやりを受け取ってきたあなたから、次の人へ渡す心のバトンなのです。このバトンをつなぐことは、私たちにとって決して難しいことではなく、ちょっとした心の持ちようで、すぐに始めることができる小さな善行なのだと思います。
 相手に渡したあなたの温かな気持ちは、人から人へと伝わって広がり、そして、地域の意識を変えていくことでしょう。もしかすると、それは、遠回りをしてあなたのもとへ、返ってくるのかもしれません。

 今年も「社会を明るくする運動」の強調月間が始まります。
 保護司の皆様をはじめ多くの方々が、様々な形で更生保護に取り組まれていることに対し、心から感謝申し上げます。
 皆様の活動は、私たち一人ひとりが「恩送り」という言葉を心に留め、そして行動することによって、心に痛みを抱えている人たちを温かく見守る地域がつくられていくことを教えてくれています。新たな一歩を踏み出そうとする人の心の支えとして、こうした活動が少しずつ広がっていくことを期待するとともに、更生保護に取り組む皆様の思いを実現できる環境づくりに力を尽くしてまいります。

 いつも心の片隅に「恩送り」の気持ちを持ちながら、バトンをつなぐ一人として、その輪を広げていきましょう。