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平成29年7月
 
九州経済連合会月報「あすの九州・山口」7月号巻頭言
『幸せは、家庭と仕事のバランスでできている』

 日本人の夫は世界で一番家事育児をしない。
 こんな調査結果があることをご存じでしょうか。さらに、九州・山口地域の男性は、家事関連に携わる時間が全国平均よりも短く、妻は夫に比べると約7倍働いているという調査結果が出ています。
 こうした状況を改善するため、一昨年に「九州・山口ワーク・ライフ・バランス推進キャンペーン」をスタートし、九州・山口各県の知事と経済界の皆様とともに「九州・山口ご当地男(だん)ディ」宣言をしました。
 この宣言を通して、経済界や自治体が一体となり、仕事が忙しく家事に携わっていない男性や育児をほとんど妻に任せている男性に、ワーク・ライフ・バランスの意識が芽生えるきっかけを提供するとともに、子育てにやさしい職場づくりの推進を図ります。
 また、この取組を広く知ってもらうため、昨年10月にはキャンペーン動画を作成しました。その第1弾「知事が妊婦に」では、私も妊婦ジャケットを着用し、バスに乗ったり、買い物をしたりしました。一つひとつの動作が重く、妊娠中の女性の大変さをあらためて感じるとともに、子育てをしている方々に社会全体で寄り添うこと、そのためには働き方改革を進めることが何より大切であると身をもって実感したところです。
 キャンペーン動画は、海外でも話題となり、15ヶ国40サイト以上で掲載され、再生回数は公開後1ヶ月で2100万回を超えるなど、大きな反響がありました。ワーク・ライフ・バランスの実現は、まさに、世界共通の願いといえるでしょう。

 来年は明治維新から150年の節目にあたります。
 佐賀藩第10代藩主鍋島直正は、幕末期、西洋の科学技術を積極的に導入し、佐賀藩を雄藩に導いた名君として知られています。
 その一方で、江戸で暮らす長女・貢姫(みつひめ)と10年以上にわたって文通を続けており、子煩悩な父親であったことが窺える手紙が残っています。
 強力に藩政改革を進めた直正公にとって、日常のささやかな話題や親心をユーモアと本音を交えて綴る時間は、激務に追われる日々の中にあって幸せなひとときだったと言えるでしょう。
 娘が大切に保管していた父からの手紙は約200通にのぼり、遠く離れて暮らす貢姫にとっても、直正公の愛情豊かな父親としての姿が、生まれ育ったふるさとや家族への思いを強くする心の支えであったことは想像に難くありません。

 親と子が共に過ごす温かな時間は、互いの心を豊かにしてくれます。それは、今も昔も変わらないものだと思います。そうした心の豊かさから、周りを思いやる気持ちが生まれ、やがて大切なふるさとのために何かをしたいという思いにもつながっていくのではないでしょうか。
 子育てしやすい環境づくりは、地域の力を高めていくための重要な取組のひとつであり、子を持つ親だけではなく、働き方改革につながる社会全体での取組が欠かせません。
 ふるさとで暮らしつづけたい、と心から思える子どもたちが増えるよう、官民一体となって取り組んでまいります。
 九州・山口の皆様、共に手を携えながら、 ワーク・ライフ・バランスの輪を広げていきましょう