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平成29年8月
 
第16回九州地区健康教育研究大会への祝辞
『健やかな成長に寄り添って』

 こんのひとみさんの絵本「くまのこうちょうせんせい」。
 毎朝、大きな声であいさつをするくまの校長先生は、いつも小さな声のひつじ君に「勇気を出して」と声をかけます。ある日、病気になった校長先生は、大きな声が出なくなってしまいました。その時、ひつじ君の気持ちに気付いたのです。大きな声を出したくても、出せないわけがあることに。ひつじ君にとっての大きな声は、怖いもの――お父さんとお母さんのけんかの声やお母さんの叱る声を思い出させるものだったのです。
 心が元気なときは体の調子もいい。でも、心が弱っているときは体も元気がなくなってしまいます。この絵本のモデルとなったのは、神奈川県茅ケ崎市立浜之郷小学校の校長を務めていた大瀬敏明(おおせとしあき)さん。末期がんを患い余命宣告を受けた後も教壇に立ち、「命の授業」に取り組まれた大瀬先生は、健康を失って初めて「心と体はつながっている」ことに気付いたそうです。
 社会環境や生活環境が急激に変化している現代、その変化を受け止めながら、おとなも子どもも懸命に生きています。そんな毎日の中で、自分にしか分からない痛みを抱えている子どももいるのではないでしょうか。だからこそ、子どもたちには健やかな心と体の大切さを知り、自分を守る力を身に付けてもらいたいと、私たちは願っています。
 「皆さんの健康は皆さん自身が守るのです」と語られたのは、100歳を過ぎても現役の医師として活動されていた日野原重明(ひのはらしげあき)さんです。この言葉を子どもたちに実行してもらうため、それぞれの立場で様々な健康課題に取り組まれている皆様の存在を、私はとても頼もしく感じています。その成長を見守る温かいまなざしや思いは、きっと子どもたちにも伝わっていることでしょう。
 子どもたちがいきいきと学校生活を送り、将来にわたって心身ともに健やかでいられるよう、この大会を通じて、学校や家庭、そして地域の方々の連携がさらに深まり、健康教育の一層の充実につながることを期待しています。
 結びに、本大会のご盛会と九州・沖縄各県からご参会の皆様の今後ますますのご健勝、ご活躍を祈念申し上げ、祝辞といたします。