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平成29年8月
 
第39回大麻旗争奪剣道大会あいさつ
『心を磨く』

 幕末期、敵からも味方からも信頼される男がいました。その名は、山岡鉄舟。
 江戸幕府の役人だった鉄舟は、敵軍の総大将・西郷隆盛との会談を果たし、江戸城無血開城の端緒を開いた人物として知られていますが、幼少期より剣術を学び、15歳の時には「修身二十則」という自らへの誓いを立て、生涯守り通しました。
 鉄舟が多くの人から信頼されたのは、剣の技術だけではなく、心を磨き続けていたからだと言われています。

 「一歩一歩いつか昇らん富士の山」
 鉄舟の句は、富士の山のように高い志を胸に、自分を磨き続けることの大切さを私たちに教えてくれます。

 皆さんにとって、“富士の山”とは何でしょうか。
 技を上達させること、ライバルに勝つこと、段位を取得すること。ひとりひとりに、目標とする“富士の山”があると思います。その目標に向かって、一歩一歩進み続けることで、知らず知らずのうちに、皆さんの心も強く鍛えられていることでしょう。

 剣の修行において、日々、心に磨きをかけることの大切さは、江戸時代の佐賀藩士・山本常朝の「葉隠」にも書かれています。
 「昨日よりは上手になり、今日よりは上手になりして、一生日々仕上ぐる事なり。これも果てなきといふ事なり」
 自慢する心も卑下する心もなく、一生かけて自分を鍛錬し続けることが求められる剣の道には、勝負が決してからの心の構えも重んじられる奥深さがあります。
 その心の持ち様は、社会人になってからもきっと自分を成長させ、鉄舟のような周りからも信頼される生き方につながっていくことと思います。

 剣士の皆さん、今日の大会、一試合一試合、思う存分剣を交えてください。
 この大麻旗への挑戦が、これから先、さまざまな夢を追う皆さんの大きな力となり、その先の目標への歩みにつながることを期待しています。