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平成29年11月
 
佐賀商業高等学校創立110周年記念誌への祝辞
『幾星霜を共に歩まん』

 佐賀県立佐賀商業高等学校が創立110周年を迎えられますことに、心からお祝いを申し上げます。
 創立以来、卒業生の皆様が、本県産業の中核を担い地域の発展に貢献されるとともに、全国各地においても活躍されているそのご功績に対し、深く敬意を表します。
 明治40年、貴校は、佐賀城本丸跡・御書院を校舎として開校されました。当時の生徒さんたちは、佐賀人であること、商業の道を志すことへの誇りを胸に、日々鯱の門を仰いでいたことでしょう。
 建学の精神である「士魂商才」は、次の代、そして次の代と受け継がれ、今日まで「佐商魂」として健在であることと思います。

 今年は、日本が初めて万国博覧会へ出展した1867年のパリ万博から150年にあたる記念すべき年です。
 当時、幕府から各藩への参加の呼びかけに応じたのは、2つの藩――佐賀藩と薩摩藩だけでした。多くの藩が未知の催しに躊躇する中、新しい時代における商業の重要性を理解していた佐賀藩主・鍋島直正公は、この呼びかけを「こよなき好機」として直ちに参加を表明したといいます。
 団長・佐野常民や商人・深川長右衛門など、佐賀からの渡航者たちは、約2カ月の船旅の末、試行錯誤しながらも異国の地での成功を収め、その経験と志は多くの佐賀人たちに引き継がれました。後に明治政府として初めて参加したウィーン万博においても、佐賀藩士であった大隈重信侯が総裁を務めています。
 日本の産物を世界に送り出した経験があってのことでしょう。大隈侯は、佐賀の商業界に対して広い視野を持って商業に携わることの重要さを説きました。これがきっかけとなり、佐賀商業会議所が設立され、広く商業教育を施す場として設立に至ったのが佐賀商業高等学校でした。

 それから110年を経た現在、社会経済の高度情報化やグローバル化が進展する中、ビジネスのあり方は大きく変化しています。
 貴校で平成21年から生徒さんたちによって運営されているインターネットショッピングモール「さが学び舎(さがまなびや)」は、そうした時代の変化に応じた新しい取組の一つと言えるのではないでしょうか。地元企業の協力を得た本格的な経営によって、これまで数多くの佐賀の地産品を生み出されていると伺っています。
 また、地元店舗と連携して生徒さんたち自ら販売の現場に立つ体験や佐賀市のバイオマス事業のPR活動など、地域の人たちとの関わりを大切にしている貴校の取組自体が、まさに地域の力を活かした「学び舎」なのでしょう。そして、このつながりが、商業人としての人づくりの力となり、様々な資格・検定での優秀な成績や、地元就職率の高さにも結び付いているのだと思います。
 来年度からは、「グローバルビジネス科」が開設されることに伴い、近年進められてきたアジアを中心とした海外の学校との交流や、地元企業から海外進出の経験を学ぶ機会なども活かしながら、さらに国際的な視野を持つ商業人を育成されることを期待しています。
 「星は星のみ相通ふ」
 在校生、卒業生の方々に愛唱されている校歌のこの一節。作詞者である卒業生・石橋達三さんは、若い一人ひとりにとって「希望」が心の支えとなると同時に、一人ひとりが将来の希望の星として輝く力を持っているという思いをこの一節に込められたのではないかと思います。
 そして、各界で活躍される卒業生同士、先輩と後輩の固い絆を知るにつれ、この一節にはまた、卒業後も母校や学友と共に歩んでいこうという、皆様の強い思いを感じずにはいられません。 最後になりましたが、これまで佐賀商業高等学校の教育活動に御尽力いただきました皆様に感謝を申し上げますとともに、今後も豊かな人間性を備えた商業人を育まれることを祈念しまして、お祝いの言葉といたします。