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平成30年1月
 
多久ライオンズクラブ50周年記念誌への祝辞
『たった一筋の光としても』

 生まれつき目の見えない少年とおじいさんの物語「青い馬の少年」。
 その舞台は、遠く離れたアメリカ先住民の地です。星空の下、山々に囲まれた草原でおじいさんはさまざまな思いを込めて少年に語りかけます――少年が生まれた日の喜び、空の青さと広さ、馬と共に走る楽しさ、全身で景色を感じる素晴らしさ。
 ひとつ話を聞かせるたびに、おじいさんは、ロープにひとつ結び目を作ります。そして、少年は、その結び目をひとつひとつ確かめながら、見えない世界を進んでいく勇気と希望を身に付けていくのです。

 人が人を思う気持ちは、古今東西を問わず、受け取る人の心に注ぐ一筋の光となり、眠っていた種を芽吹かせ花を咲かせます。

 「咲いて生きよ。ともに、それぞれの未来へ。」
 これは、今年6月に多久ライオンズクラブなどが主催された「多久市少年の主張発表会」で中学生の村井聖菜さんが発表された作文の一節です。アイドルグループ・関ジャニ∞の歌詞を引用しながら、理想や目標という花を持って生きることが大切であること、どんな暗闇の中でも希望の光があれば、自分なりの花をみつけられると気づいたことを、身近な誰かに語りかけるように綴られています。
 それは、「青い馬の少年」のロープの結び目のようにも感じます。

 多久ライオンズクラブの皆さまは、これまで、少年の主張発表会をはじめ、アイバンク活動やふれあい親子活動など、様々な活動に取り組まれてこられました。
 そんな皆さまの活動のひとつひとつは、しっかりとした結び目をつくり、その思いは、きっと、一筋の光となって、受け取られた方々ひとりひとりの心に花を咲かせてきたことでしょう。

 多久茂文公が人づくりへの情熱を注いだ地、多久。「東原庠舎」の時代から育まれてきた「恕(じょ)=思いやり」の心が、今も皆さまに引き継がれていることを嬉しく思います。
 50年という長きにわたり、この多久の地に光を注ぎ続けてこられた多久ライオンズクラブの活動に敬意を表しますとともに、多久の未来を引き継ぐ若い世代が豊かな花を咲かせてくれることを願って、お祝いの言葉といたします。