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平成30年3月
 
ゆめさが大学卒業文集巻頭言
『混ざり合うチカラ』

 中南米のカリブ海に浮かぶ小国・キューバ。
 社交ダンスをされている方々には、この国発祥の音楽・ルンバやマンボでおなじみかもしれません。
 今から20年前、この国を舞台とした映画が世界的にヒットしました。その名は「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。

 かつて栄えたこの音楽クラブは、1959年のキューバ革命によってアメリカとの国交が途絶えた後、衰退の一途をたどります。
 それから40年、クラブのメンバー達が再び集まり、バンドを結成するのです。150年続いてきたキューバの伝統音楽「ソン」を、皆で奏でるために――。

 平均年齢は70歳をはるかに超え、最高齢は90歳という、この熟練バンド。
 人生経験豊富なメンバーたちが奏でる、見事に調和したその音色は、キューバの人々に誇りを取り戻し、世界へも広がっていきました。
 聞く人の心を惹きつけたのは、キューバの街と音楽を愛し、それを伝えようとする彼らの情熱なのでしょう。
 輝き続けるその魅力的な表情と音の力に触れ、年を重ねてかくありたいという、一つの理想を見た思いがしました。

 先日行われた学校祭では、日頃の学習や活動の成果として、艶やかな踊りや壮観な出来栄えの作品の数々が披露されました。
 発表に至るまで、仲間とともに練習を重ね、また制作に打ち込んでこられた時間のなかで、苦労を感じながらも、皆さまの表情はきっと輝いていたことでしょう。
 こうした学生生活の1ページは、「ブエナ・ビスタ(素晴らしい景色)」として、皆さまの心に刻まれたのではないでしょうか。

 卒業生のお一人は、ゆめさが大学は「凄い人たちの集まりだなぁ。」と卒業文集の中で綴られていました。目の色が違う、志が高い、だから優しさに溢れるのだと。
 意欲的に学び、仲間との交流を深め、卒業を迎えられた皆さまが、これから活躍する舞台を地域社会へと広げていかれることを、とても心強く思っています。

 今年は明治維新150年という節目の年。
 卒業生の皆さまには、佐賀の誇るべき歴史や文化の素晴らしさを、ぜひ子どもたちへ伝えていただきたいと思います。
 佐賀を思い愛する皆さまから子どもたちへと語りつがれていくこと、そのことこそが、佐賀の凄さであり誇りなのです。

 皆さまが、これからも日々輝きを忘れずに過ごされることを心からお祈り申し上げ、お祝いの言葉とさせていただきます。