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平成30年5月
 
第55回全九州ろうあ者スポーツ大会あいさつ
『次の誰かの勇気としても』

 このたび、「第55回全九州ろうあ者スポーツ大会」佐賀県大会が盛大に開催されますことをお喜び申し上げます。

 この4月、アメリカ大リーグにデビューした大谷翔平選手の投打にわたる活躍は、ニュースでご存知の方も多いことでしょう。
 本拠地での初出場から3試合連続で放たれた新人選手のホームラン。虹のようなアーチを描いたその光景は、文化や言葉の壁を越えて、スポーツが多くの人々の心を打つことをあらためて思い起こさせてくれました。

 佐賀の偉人である大隈重信は、アメリカ大リーグにゆかりのある人物として知られています。
 西洋の様々な文化が取り入れられた明治時代、スポーツの素晴らしさが徐々に伝わっていくなか、大隈は、自ら創設した早稲田大学の野球部とアメリカ大リーグ選抜の親善試合において、日本初となる始球式のマウンドに立ちました。
 また、日露戦争の最中、アメリカへの遠征試合を支援するなど、その壮挙からは、スポーツの持つ可能性を信じ、これを広げていきたいという強い思いが感じられます。

 それから150年。今や誰もがスポーツを楽しむ時代となりました。
 ここ佐賀にも、地域でスポーツを楽しみ、また、スポーツを通して新しい世界に挑戦する多くの方々がいらっしゃいます。
 そのなかで、昨年私は、トルコでの聴覚障害者のための国際競技会ー―デフリンピックに出場された4人の県出身選手とお会いする機会がありました。
 地元で医師として勤めながらバレーボール日本代表を務めた吉田翔さん。趣味が高じて自転車競技を始めた簑原由加利さん。健聴者とろう者が共にプレーするサッカークラブで活躍する江島由高さん。健聴者の試合にも出場し、デフリンピックでは水泳競技で7個のメダルを獲得した金持義和さん。
 仕事にスポーツに励む選手の皆さんが、それぞれの目標を熱く語られる姿に、私自身、とても勇気づけられる思いがしました。

 スポーツを通して輝いている選手たちの姿は、周りの人たちの力となります。
 本大会に出場される選手の皆様の姿もまた、きっと、誰かの背中を押していることでしょう。
 障害のある人もない人も、それぞれのスタイルで、楽しみながら、スポーツをする、観る、支える、育てる。そして、人から人へとその輪が広がり、お互いに高められていく。私は、佐賀そして九州が、そんな豊かな地域になってほしいと思っています。
 本大会においても、九州各地から佐賀にお越しいただいた皆様が、日頃の練習の成果を存分に発揮されるとともに、お互いに交流を楽しむ大会となりますよう心から願っています。

 最後に、佐賀県では、明治維新から150年の節目に当たる本年、幕末維新期に時代を切り拓いた佐賀の偉業や先人たちの志を顕彰し、未来へのヒントを得ていただきたいと思い、「肥前さが幕末維新博覧会」を開催しています。
 皆様には、本大会が、佐賀の歴史・文化や食の魅力にも触れていただく機会となれば幸いに存じます。