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令和2年4月
 
「伝統的有田焼」再認識プロモーション事業報告書あいさつ
『有田焼という物語』

 17世紀初頭、佐賀県西部の山あいにある有田・泉山で良質な陶石が発見されたことにより、日本で初めてとなる磁器――有田焼は誕生しました。
 大陸の先進的な技術と佐賀の豊かな自然を調和させながら、よりよいものを生み出そうとする人々によって、この地で大切につくりあげられた磁器はやがて海を渡り、その宝石のような美しさは「白き黄金」と呼ばれ、ヨーロッパの王侯貴族をも魅了し、世界へと広がっていきました。

 誕生から四百年を経て、このたび、ヨーロッパをはじめ世界各地から、有田焼を愛する学芸員や収集家の皆様をお招きできたことは、私にとって大きな喜びとなりました。
 と同時に、有田焼の新たな魅力を見出す機会ともなりました。
 有田焼の魅力とは何か――この問いに、ある学芸員はこう語られています。
 「有田焼の中に宿る生命の息吹、魔力的な美しさが、人の心を結び付けていくということに魅力を感じているのです。」
 世界へと旅立った焼き物が、人の手により辿った私たちには思いもよらぬ様々な物語。今でもそれぞれの土地で大切にされていること。そのことは、とりわけ佐賀の子どもたちにとって、ふるさとへの誇りにつながっています。

 「時のある限り、人のある限り、道が窮まる(きわまる)という理由はないのである。」
 これは、明治政府が初参加したウィーン万国博覧会(1973年)において事務局総裁を務め、有田焼の振興にも力を尽くした佐賀の偉人・大隈重信の言葉です。
 時を超えて文化を受け継ぎ、価値を見出し、未来へとつないでいくのはまさに人です。
 創作する人々の想い、つなぐ人々の想い、手に取る人々の想い。様々な想いをつなぎながら、世界の人たちを魅了し続ける有田焼を目指して、四百年の物語をさらに紡いでいきましょう。