令和3年4月

　

県内中学校、高等学校、短大、専修学校新入生への祝辞
『唯一無二の花』

　ご入学おめでとうございます。
　昨年は、世界中の人たちが、未曽有の危機を乗り越えようと試行錯誤した1年でした。
　今この時、新たな門出に立つ皆様に心からエールを送ります。

　佐賀を彩る風物詩・シチメンソウを見たことがあるでしょうか。
　日本一の干満差を誇る有明海で、塩水に耐え干潟に育つこの小さな生命には、未だ知られていないことも多く、3年前、突然立ち枯れてしまいます。
　コロナ禍にあった昨秋、再び紅紫色に染まる群生を見られたのは、ふるさとを愛する人たちの、意志と懸命な活動があったからでした。

　地球環境が変化し、未知のウイルスが社会を変え、デジタル化が加速する現在、人類が歩んでいく道のりには、これからも思いがけない山や谷があるでしょう。
　けれどもその未来は、意志があり、人と人がつながり手を携えることで、よりよく変えられるのだと私は思います。

　皆さんの学びにも答えの見えないことがあるかもしれません。
　それでも問い続け、探し続け、歩み続けることは、未来を切り拓く力となるはずです。

　人との出会い、知識との出会い、新たな価値観との出会い。
　こうした出会いの中で、あなたの志が育まれ、かけがえのない花が咲いていくことを心から願っています。