記者会見

●質疑応答:報道機関との質疑応答(1)
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○時事通信(幹事社)
 これまで行政に携わってこられましたが、今度新しく知事の立場で予算を初めて組むことになったわけですが、その感想を聞かせてください。
○知事
 役人として、いわば事務的に予算をつくっているときには、先ず収支が果たして均衡するかどうか、特に一般財源が足りるかどうかという技術的なことに注意が集中しておりましたが、こういう立場になりまして予算をつくるときには、やはりこれまで自分が発言してきたこと、約束をしてきたこと、それをどういう形で実現するかというところが先ず頭にあって、それと財源等を相談しながら、また時間と相談しながらやっていくというところが大きく異なった点であります。
○時事通信
 マニフェストという形で補正予算を組むに当たって、どのようなことを織り込むことができましたか。
○知事
 項目数でいえば、先程申し上げましたように、75%、4分の3ぐらいの項目については具体的な形で織り込みをさせていただいています。
 無論、今回織り込んだから終わりというものではなくて、取りかかるためのスタートアップの予算というものもたくさん含まれていますが、この短い期間の中で、できるものは入れ込んだというところは、県庁を挙げての努力というところでは評価できるのではないかなと思っています。
 佐賀県のほかにも、いろいろな知事が今回の選挙に際してマニフェストを手がけておられますが、すべてを把握しているわけではありませんが、6月補正の段階までで、これだけすべての項目について工程表を示したというのはないのではないかと自負しておりまして、先日も岩手県の職員の人と話をしておりましたら、もうちょっと長いスパンで実行計画を作っていくようなことを言っておりましたので、その意味からいえば、非常に短期間のうちで、今の段階ではこうだというふうなものではありますが、まとまったということは評価していただけるのではないかなと思っています。
○NHK
 先程、予算を組み立てるに当たって、少ない財源と相談しながらとおっしゃいましたが、やはり交付税も見込めないですし、県債の発行もかなり出ていますし、そういう厳しい状況についてどのように認識されていますか。
○知事
 厳しい状況が今後何年続くのかというところが1つと、いつになったら回復するのかというところ、2つの点が気になっています。
 本来、財政というのは、調整機能を持っていますし、私どもの県は、他県に比べれば、未だ財政調整のための基金がある県であります。
 ですから、なかなか税収が増えていかないときには、ある程度基金を取り崩してでも財政による調整機能を発揮して、そして、また税収が回復してくれば、取り崩しをやめていって、入ってくるお金でやっていくというのが、いわば絵にかいたような財政調整の話でありますが、一旦それを崩すのを前提にして始めますと、予定どおり景気が回復しなかったり、または税収が伸びなかったときには、直ちに赤字再建団体に転落するという可能性もはらんでいるわけでありまして、その意味で、先々が不透明な中で、どこまで踏み込んで予算編成をするかということは、実は非常に難しい判断をはらんでいます。
 今回は、いわば予算的に見れば、余り多くの額を取り崩して、極めて多額の予算を大きく一歩二歩踏み込んで編成したというところまでは至っていない、景気的に見れば中立的な予算になっておろうかとは思いますが、そういう景気と、また県としてやっていかなければならないことと、それと財源の見通しと、3つぐらいを見比べながら、どの程度の予算、またどういう内容で組んでいくのかというところは、これからも非常に難しい判断になろうかと思っているところでございます。
 その意味においても、今議論されています三位一体改革の行方というものに非常に注目をしておりまして、私どもが九州知事会、また全国知事会と一緒になって主張しているように、きちんとした補助金の見直しと、それに見合うだけの地方に対する財源の付与、そういったものをしていただくように、またこれからも動き続けていきたいと思っています。
○共同通信
 県民満足度調査についてですが、約7万4,000人の小学4年生、中学・高校生、全て調査されるということですけれども、これはどういった調査でしょうか。
○知事
 これまで有権者の方を対象にしたいろいろな意識調査や、どういったことをしてほしいかというふうな意向調査を行われておりましたけれども、これからの佐賀県を担っていただく子供たちに対して、彼ら、彼女らがどういったことを考えているのか、期待しているのか、不満なのかということは調べたことはありませんでした。
 小学校4年生というのが、ちょうど郷土史を勉強する学年に当たります。ですから、そういう郷土のことを学習したということを踏まえて、例えば、佐賀県のことをどれだけ知っているのかということであるとか、佐賀県のことについて何を誇りにし、何を不満に思っているのか、そういったことを調べてみたいと思っていまして、もっと教育の場面で強化すべきところ、また社会的に見てもっとやっていくべきところが得られるのではないかと思っております。
 中学生については、もう既に一定の判断の年齢に達していると思っておりますので、もちろん、小学生、中学生、大人はそれぞれ質問項目を変えていきますけれども、例えば、中学生ともなれば将来の進路といったものをいろいろ考えていくと思います。そういったときに、今の佐賀県の現状や将来に対する期待、また不満、そういったものを一度きちんと聞いておくということは、これまでになかった結果が得られるのではないかと期待しておりまして、これを毎年やるということではありませんけれども、初めての試みということで、今回特にこのようなことをやってみることとしたというものであります。
○佐賀新聞
 これまで外から佐賀県の財政を見てこられたと思うんですが、補正予算の編成に当たって、改めて詳しくご覧になって現状をどう思われているかということと、もう一つ、補正予算について、ご自身で点数をつけるとすれば、100点満点で何点の予算編成になっていると思われますか。
○知事
 この予算編成を通じて、そしてまた、各地における対話集会を通じて、1つは景気に対することや、農業も含めてでありますけれども、これからの不安といったものを多く感じました。そういったものについて、この1月半で準備したものだけで何とかなるということではないと思いますけれども、そういったことに対して、何とか県政としてもそういう声に対応していきたいという姿勢は出てきているのではないかなと思っております。
 中小の小売店の方が、例えば、大きなお店がどんどんできていって、これからどうしていいかわからないというお話でありますとか、また特に農業関係者からは新しく始まる米政策について、自分たちはどう対応していけばいいのかという不安の声が聞かれましたし、そういったことは一朝一夕には難しいにしても、やっぱりそういった暮らしに対する不安をどうやって少しでも解消していくのかというのが大事なんだなということをしみじみと感じました。
 そういう中で取り組んだ予算編成でありますけれども、100点満点で言えば70点ぐらいかなと思っております。無論、限られた中で議論をし、財源を確保し、これを議会に提案するわけでありますから、議会に提案するという意味においては、私どもとしては100点満点だと思っております。思っておりますけれども、それはそのように思わなければもっといい予算で出せというお話になりますので、100点満点で提案はしているつもりでありますけれども、例えば、県民からの期待度であるとか、私自身がもっと時間があれば、もっと財源があればやりたかったなと思うこと自体はそれぞれございます。そういったことが直ちに6月補正には反映できなかったという意味で、後の30点分が残っているのかなと思っておりますし、このことについては、またこれからのいろいろな予算なり、政策の打ち出しの中で対応していきたいと思っております。
○佐賀新聞
 公共事業がマイナス6.6%でしたが、これについてはどのようにお考えですか。
○知事
 公共事業については、基本的に地方財政計画や国の予算自体が減っていっておりますので、それに対応してこちらとしても減っていったということで、意識的に削減をしたということはございません。常々申しておりますように、私は我が県において、特に下水道もしかりでありますし、あと基幹的な道路であるとか、そういったものについて整備が足りない部分が非常に多く残っていると考えておりまして、そういったものについてはできるだけ早く整備をする方がいいと思っております。
 ですから、公共事業をそういう意味でより削減すべきだという考え方は持っておりません。地方財政計画に比べて、確かに少し減っているような数字になっていると思いますけれども、1つはもう既に事業が終わると思って予定していた「ふるさと農道」について、実は終わらなかったものですから、その分の新しい新規採択の部分がなくなっているというのと、もともと単独事業でやろうとしていた部分が、補助が入ることになった分、単独から補助に移行したということもあって、単独事業がちょっと落ち込んでいるように見えると思いますけれども、意識的に減らしたということではなく、公共事業については必要なものを必要な形で計上するという自然体の体制をとっているつもりであります。
○朝日新聞
 先程自己評価で70点とされましたが、残り30点について、知事がもっとやりたかったと思うことは、具体的にどういうことですか。
○知事
 例えば、特に環境関係の森から海に至るまでの環境再生に向けて、どういう取り組みをしていくかということについては、今非常に人工林率の高い状態で、非常に針葉樹林が多いという今の佐賀県の山をどうしていくのか、そのために何をしなくてはいけないのかということについては、もう少し議論をしたかったなと思っていますし、実際に緊急対話集会で林業とか木材関係の事業所を回ったときにも、いろんな意見がございました。やはりとにかくきちんと県内で使うということがないと、先ずは植えないよ、という話とか、林業自体が成り立っていかないよと。だから、県内で何立米使うという目標を作ったらどうだという提案もありました。それをやっていくために、必要な製材所をどうしていくかという考えがあるだろうというお話がある一方で、そういう県内産ばかりにこだわっていてもいけないのではないかと。むしろ、それは国産材で整理した方がかえって流通が良くなって、その方がむしろ佐賀県の林業にとってもかえってプラスになるんじゃないかという意見なんかもありまして、これはもう少しいろいろ検討していきましょうということで、結論は出ませんでした。このように、山から海に至るまでの新しい佐賀県の環境づくりみたいなものについては、全てをここに網羅したということまではできなかったなと思っています。

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