○佐賀新聞
再生機構ですけど、もともとの呼びかけといいますか、構想者はどなたですか。 ○知事 答えから言えば、それは県の方からですけれども、県が県としての仕事でというよりは、荒牧先生がおっしゃっていたように、ぐるりんネットなどの有明海をめぐるいろんな活動を通じていって、「こうしたものができたらいいよね」という話が、だんだん有明海に感心を寄せる方々の間で出てきたのをある意味すくい取ったということになろうかと思います。 ○朝日新聞 業務内容の中の「会員、賛助会員等の募集」とあるのですが、会員、賛助会員の役割というか、メリットというか、どういった存在なのでしょうか。 ○九州大学・楠田哲也教授 お手元にお配りいただいています有明海再生機構のイメージ図をごらんいただきたいと思います。 まず、賛助会員は、左下の方にあります企業のところが賛助会員になっております。あと、県民、それから漁業者等で関心のある方に会員になっていただくということもございます。 それで、会員の方々には、活動成果を直接、まず第一に報告申し上げ、それぞれの日常のお仕事の中、あるいは生活の中で活かしていただきたいと思っております。 賛助会員の企業の方とは、それぞれ新しい法人が連携をとりながら有明海の再生に向けて努力をしていくということもあります。また、いろんな研究資金等を受けたときに、それを共同して実施していくということもございます。 ○朝日新聞 一応、この図を見た形だと負担金というのがあるから、何らかの形で金額、会員の費用か何かを有料な形にするような考えなのでしょうか。 ○九州大学・楠田哲也教授 これは、法人の規則上、そうせざるを得ないというところもあります。 ○佐賀新聞 佐賀県の支援としては、全面的に支援していくとありますけれども、具体的にどういった支援をされるのですか。 ○知事 具体的には、この構想の組織をつくっていくときに、まずは人的な協力をしていきたいと思っておりまして、担当の職員が、いわばこの構想実現に向けて従事していくということが一つであります。 また、この組織ができた暁には、有明海再生機構に県としてお願いしたい研究を委託したいと考えております。 ○西日本新聞 知事に、いろんな漁業者からご意見を聞かれて、非常に生活が苦しいという意見を聞かれておられたと思うのですが、この機構にかける思いというか、期待していること、もちろん、異変の解明でしょうけれども、それを受けて、対策、どういったことを取り組むべきか、今まで悩まれてきて、やっと一歩を踏み出すということについての感想を教えてください。 ○知事 これまでいろんな立場の人が有明海の異変の原因は何なのかという原因究明のための努力をそれぞれの関心に応じて実施してこられたと思います。そういうそれぞれの関心の向きに応じて実施してこられた研究を一ところに集めて、それを分析していくということや、また、こういう研究が足りないということについて気づく人が今までいなかったのだと思うのですね。そういったことを、この有明海再生機構で行うことによって、異変、原因の解明等、何をすればいいのかという政策的なところに向けての提言、そういったことが実行可能になると考えています。それをやることによって、初めて未来に向けた有明海の本当の再生が出てくると思っております。この再生機構にはそういう研究の成果と、また、それを受けての政策の提言というものを期待しております。そうしたものを受けて、具体的にこういうことをやっていけば有明海は再生していくのだということを、県としてもやっていきたいと思います。 ○西日本新聞 有明海問題は、これまで国の問題としてテーマとなっていたのですが、地方から取り組むことについてご意見をお聞かせください。 ○知事 有明海特措法においても、国の責務も記載されている一方で、それぞれの関係県においても調査研究の体制を充実させることということが書かれています。国は国として、それぞれの省庁がいろんな研究をされていることと思いますけれども、より現場に近いところで、この特措法の趣旨にも沿った形で、佐賀県だけでなくてもいいと思いますけれども、関係県にも呼びかけをして、そういったところがある意味、いろんな知識や知見を糾合して、集めていって、それを活かすことができるということをつくるのは大変に意味があることであろうと思います。 国に対しても、国そのもので研究をしていかれる部分があろうかと思いますが、一方で、国からも研究の委託を受けたいと思っております。そうすることによって、有明海に関する調査研究が、できる限りこちらに集まるようなことを、これから考えていきたいと思っております。 ○西日本新聞 関係県にも呼びかけをされると今おっしゃったのですが、それについての自信というか、見通しというか、希望を含めて教えてください。 ○知事 有明海は一つでありますので、この「有明海は一つ」という旗印のもとに、有明海を取り巻く関係の県が一堂に会して、いわば有明海円卓会議と言うと変ですけれども、再生に向けて同じ方向を向いて努力していくということは極めて大事なことだと思っております。 今は事務的にそういう呼びかけをしてきておりますけれども、具体的な形が見えてくれば、関係県としても話に乗っていきやすいという部分もありますので、本日以降、形をより具体的にしていって、できるだけ多くの方々が参加できるようなことを考えていきたいと思っております。 「有明海から世界へ」というのがこの有明海再生機構の一つの目指すものであります。こういう閉鎖性水域の再生というものが実現すれば、これは有明海だけでなく、他の世界中のいくつもの閉鎖性水域の再生にもつながる知見が得られると期待しています。 その意味で、今回、この機構の最高顧問にウィリアム・コスグローブ世界水会議会長を予定しておりますのは、そういう世界をも視野に入れたものであるということでありまして、できるだけ多くの関係県、関係自治体の参加を呼びかけたいと思っているところであります。 ○佐賀新聞 イメージ図に「時限:10年」と書いてあるのですが、これは10年間で何らかの答えを出すということですか。 ○知事 この有明海再生は、いわば「待ったなし」でありますので、いわば半永久的に有明海再生機構は存続していかなくてはならないということは、すなわち有明海再生ができないということにもなるわけでありまして、その意味では、この10年間のうちに何らかの道筋をつけたいという思いを込めて、時限10年としたものであります。 ○毎日新聞 潮受け堤防が有明海をだめにした原因という意見もあるのですが、それを「取り除く」「取り除かない」、いずれを前提に再生を図るという機構なのでしょうか。 ○知事 あらゆる前提は置いておりません。研究というものは、あまり前提を置かずに、それぞれの方が、自分たちとしてはこういう前提であればこう考えるというようなことをそれぞれされるのだろうと思います。有明海再生機構としては、研究内容については前提を置かずにやっていきたいと考えているところでございます。 ○佐賀新聞 先ほど県として人的支援の話が出ましたけれども、財政的支援もされるのでしょうか。 ○知事 今具体的に考えておりますのは、研究委託という形での財政支援ということになろうかと思います。
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