記者会見

●発表項目:城原川ダム問題に対する方向性について
 城原川ダム問題に対する方向性について私から発表させていただきます。
 ダム案を有効なものと認めながらも、ダムによらない案についての詰めを行いたい、併せて例えば、ある程度のリスクを地域住民の方に認めていただくことができないのか、ということについて数か月から半年程度の時間をいただき、関係首長が集まり、議論し、その上で最終的な結論を出したい。脊振村については、その議論の結果を待つことなく、ただちに振興策について協議を開始したい、これが今日の発表概要です。
 先日、流域市町村の首長の方々と話し合う機会を持ちました。その中で、神埼町長と千代田町長から、今の状況のまま、急いで結論を出さないでほしい、とのお話がありました。
 両町長からは、ダムを建設しない場合にどのような方法があるのか、その場合、リスクはどの程度になるのか、また、その場合のリスク負担を、誰が、どのような方法で行うのかなど、治水に関する議論を責任のある立場でこれから行っていきたい、そのためにはもう少し時間が欲しい、との強い要請がありました。私としても、その点については議論不足を感じていたところであり、その考え方に賛同するものがありました。
 そして、その後、両町長から水没予定地として一刻も早い判断を求めておられる脊振村長に対しても、もう少し時間をいただきたいと要請がありました。脊振村長も最終的にはやむを得ないということでそのことに理解を示され、そのことを受け、今回私が判断したものであります。

1.脊振村についての考え方
 脊振村については、ダム案によるにせよ、よらないにせよ、今後の振興策について協議を開始します。
 数日中にでも県から脊振村役場にお伺いし、今後の進め方について協議を開始したいと考えます。脊振村の意向をお聞きしながら、これまで地域にとって必要とされてきていながら、長い期間放置されてきた事業などにどう取り組んでいくのか検討を進めていきます。
 30数年という歳月の重みを踏まえ、県民の皆様方のご理解を賜りたいと思います。

2.ダム案についての考え方
 流域委員会からの報告にもありましたが、私としても、ダムを造ることは治水上有効であると考えます。
 しかしながら、二点において議論が不足していると考えます。
(1)一点目は、果たしてダムによらない案では本当に治水上の責任を果たすこができないのか、ということについてであります。

(2)第二点目は、かりにダムによるとしても、ダムによる受益が予定されている側において、ダムを造ることに対して理解されるに至っておらず、そういう状況でありながら、ダム案によることを決定することができるのか、という点であります。
 この二点については、今後、更に、議論を深める必要があると考えます。

 このため、まず、第一点目については、私と、神埼町、千代田町、脊振村の町村長をメンバーにし、適宜佐賀市長にも参加をいただく関係首長会議を立ち上げ、特にダムによらないとした場合、どういう案が実現可能なのか、詰めていきたいと考えます。その際、必要に応じて専門家にも加わっていただくことにしたいと考えています。
 ダム案によらない案を検討していく際の考え方の柱は二つです。
 ひとつは、流域委員会で示されたダムによらない案について、内容・数値・工法的な詰めを行い、実現可能性を精査するということです。
 もうひとつは、ダム案によらない場合、ダム案に比べて治水安全度が下がる場合があっても、それを受認したうえで、それでもダムによらない案の方がいい、ということを地域が選択する余地もまたあるのではないか検討するということです。
 このことは、言うは簡単でありますが、実際には技術的に確立されていない要素も多く、実現には大きな困難が伴うことになります。流域委員会の中で何度かこの議論がなされながら最終的には提言に織り込まれなかったことからもそのことはうかがわれるところですが、一定限度の洪水リスクを地域住民の方が受忍することを前提として、行政としても治水上の責任を果たせる選択肢がありえないのか、ということもひとつの柱として、検討させていただきたいと考えます。
 私は、一般的な洪水対策としては、ダムの有効性を認めながらも、ダム以外の選択肢がないかどうか十分に検討した上で、ほかにない、という結論に達してはじめてやむを得ずダムを選択するべきであろうと思っております。
 その意味では、城原川においてもできればダムによるのではなく、河川改修を軸として安全を確保する方が望ましいと考えています。
 しかしながら、一方で、河川改修にこだわるあまり、今の城原川の風景が大きく損なわれることは、望ましくないと考えています。
 そういう前提に立って、ダム案によらない治水対策や洪水リスクについてどう対処していくのか検討していきたいと考えます。
 このダムによらない案について十分に検討を重ねた上で最終的にダム案によることもやむを得ないかどうかを判断すべきであると考えます。
 期限の一つの目処としては来年3月、場合によっては、それから2〜3ヶ月後になることも考えられるかと思いますが、いずれにせよ、平成17年度中の策定が予定されている筑後川水系河川整備計画に間に合うよう精力的に議論を進めて行きます。
 第二点目の地域における議論不足の点については、関係住民の方々に城原川についての理解が広まることを期待し、今後とも、地区懇談会を重ねていきたいと考えます。
 懇談会の実施に当たっては、一方的に行政側が説明するだけで何を聞いても同じことを繰り返す、というのではなく、住民の方々が本当は何を知りたがっておられるのか、思いを汲み取りながらやりとりをするようなやり方に進化させていかなければならないと考えます。
 併せて、同じ城原川流域に住む住民としての理解が進んでいくよう、上流と下流の住民の代表によるワークショップも実施していきます。
 「あのときダムを造っておいてよかった」となるのか、「ダムを造っておかなくてよかった」となるのか。いずれにしても歴史の評価に耐えうる、悔いのない選択を目指し、これからも努力を重ねて参ります。
 どうか県民の方々のご理解をお願い申し上げます。


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