記者会見

●発表項目:平成17年度政府予算財務省原案内示等について
 12月20日(月)に平成17年度の財務省原案が内示をされました。予算全体の規模を示します一般会計総額は、もう既に報じられておりますように、本年度の予算に比べまして 0.1%増の82兆 1,829億円となっています。
 このうち、政策的経費と呼ばれているものについては、対前年比 0.7%減でありまして、3年ぶりのマイナス予算となっております。
 「財政の持続可能性を確保するための一里塚」と財務大臣がおっしゃっておられましたけれども、緊縮型の予算原案となったものと理解をしております。
 では、お手元の資料に、個別の箇所付け分、そして、全国枠分、それぞれ分けて、政府予算案の概要をお付けしておりますので、簡単に私の方からもご説明申し上げたいと思います。
 なお、お手元にお配りしておりますペーパーにも若干の説明は書いてあるところでございます。
 個別の箇所付け分としては、嘉瀬川ダム、そして、有田川総合開発事業、城原川ダム、こういったものがございますけれども、今回の予算原案の内示によって、私どもとして大きく困るというものはないと理解をしております。要求額どおりの内示になっているものもあれば、要求額を下回っているものなどもございますけれども、いずれもこれは事業の進捗そのものには影響がないと理解をしているところでございます。
 次に、全国枠分のうちの主なものについてでございますけれども、これについても大きく非常に困るといったものはございませんけれども、あえてコメントすれば、まとめのペーパーの3ページの一番上のマルの次世代育成支援対策関係ということについて申し上げますと、全体として緊縮型の予算の中で、これについては対前年比103.32%増の内示となっておりまして、これはある意味、国としても次世代育成支援、子育て支援に力を入れていかなければならないという気持ちの表れであろうと思っておりまして、これについては評価をいたしているところでございます。
 ただ、地方六団体としては、こうした分野については補助金の増よりも、むしろ、一般財源化をということを言ってきた経緯もありますので、こうしたことについては、気持ちは了としながらも、引き続き一般財源化を求めていきたいと考えているところでございます。
 その下の不妊治療については、我が佐賀県が国に先駆けて体外受精に対する治療費の助成制度を創設したものでありましたけれども、平成16年度から国においても助成制度が創設をされました。今回は、不妊治療の助成制度と、そのほかの制度の再編・整理がなされているというものでございます。これについては、なお一層の制度拡充を国に求めていきたいと考えているところでございます。
 有明海の再生対策について、これが大きな前進があったものと評価をしてよいのではないかと思っておりまして、これについては、国の方でも有明海の再生のために必要な調査を行っていくということをずっとおっしゃっておりまして、そのことについて、実際に予算という形で具体化されたというものでございます。
 なお、後の資料にも出てきますけれども、佐賀大学で有明海総合研究プロジェクトというものが2億 1,700万円認められておりますけれども、これは有明海再生機構との連携のもとに、佐賀大学が行おうとするものが予算化されたということで、有明海の再生に大きく寄与するものであると評価できると思っております。
 有明海再生については、もう待ったなしの課題でありますので、これまでに引き続きまして、有明海の環境変化の徹底した原因究明、調査、そして、水産振興対策の着実な推進が図られるように、今後とも国に強く働きかけをしてまいりたいと考えているところでございます。
 また、障害者福祉施策についてでございますけれども、これについては、これまで佐賀県としても、地域生活支援施策の持続的、安定的な運営について、さまざまな提案をしてきておりましたけれども、これについて、対前年比 108.2%と、プラスの内示となっております。中でもホームヘルプなどの在宅福祉については 1.5倍となっておりまして、いわば施設から在宅へ、施設から地域へ、そういう流れを国としても予算という形で示したということではないかと思っているところでございます。
 雇用関係については、予定どおりというか、平成16年度で終わることとされていた緊急雇用の対策交付金が廃止されまして、特に若者の「ニート」と呼ばれているような方たちにどうやって定職についていただくかということが中心になったものであると理解をしております。また、障害者雇用についても、若干の充実が図られていると理解をしております。
 農林水産業関係、公共事業でない部分については、対前年比97.5%でありますので、若干の減となっております。
 また、農林水産省においては、かなり細かな分類があった非公共事業というものについて、交付金事業に統合されております。
 農業農村整備事業については、特にその中で、農業水利の管理に関係する予算については101.7%と伸びておりますが、その他は全体的には減少しているところでございます。
 道路事業については、全国枠で対前年度比94.2%でございまして、これは非常に厳しいものとなっております。
 また、汚水処理施設、下水道でありますとか、合併処理浄化槽でありますとか、そういった事業のことについてでございますけれども、全国枠で公共下水道については94.7%、農業集落排水については83.7%、漁業集落排水については93.8%ということで、升をつくって合わせて処理をしていくという集合処理については減額となっております。
 一方で、浄化槽の整備については103.0%と増額になっております。私どもは平成16年度、今年の春から下水道課という課で、公共下水道であろうが、農集排であろうが、漁業集落環境整備事業であろうが、はたまた、合併処理浄化槽であろうが、どういうものであろうが、汚水を処理するものについては、一つの課でまとめて担当するという制度に変えました。それによって、市町村からは、事業の内容を変えるのに非常に相談しやすくなったというふうな声を聞いておりますけれども、その声と軌を一にするかのように、今度は国においても、こうした汚水処理施設関係の事業を交付金化するというようなことを打ち出していると伺っております。
 これは、私どもとしては、補助金の使い勝手という意味では大変プラスになったものと思っておりますし、私どもが申し上げていることが、ある意味受け入れられたこととして評価をしたいと思っておりますが、運用についてどのようになっていくのかがわかりませんので、最終的な評価というのはまだとしても、方向としては、一定評価をしてよいのではないかと思っているところでございます。
 また、一般的には、都市部においては、大体下水道の普及、整備が終わりに近づいている地域もあるようでありますけれども、我が県は全国平均に比べてもはるかに下回る汚水処理整備率しかございませんで、こうしたことの必要性については、事あるごとに訴えていきたいと考えているところでございます。
 義務教育費については、暫定ということで4,250億円が税源移譲の予定特例交付金により措置をされておりますが、本格的には来年度議論となったところでございます。
 あと、新規事業の関係で、まず新幹線でございますけれども、長崎ルートの事業費については10億円ということになっていると聞いております。
 今回、検討委員会の方で、条件が整えばという留保つきではありますけれども、着工の区間に位置づけをしていただいておりますので、いわば仲間に入ったということを表す象徴的な額なのかなと思っているところでございます。
 私どもとしては、常々申し上げておりますように、まずは沿線市町との協議を精力的かつ丁寧に行っていきたいと考えているところでございます。
 そのほか、先ほども申し上げましたが、佐賀大学の方で有明海総合研究プロジェクトが認められましたし、このほか、シンクロトロン光研究施設が今度オープンしますので、そういったものを利用した県と一体的な基盤研究が採択をされているところでございます。

 なお、三位一体の改革については、その2日前にまとまりましたところでありまして、私どもとしても、地方一般財源総額が確保されたということ自体は大変喜ばしいと思っております。ちょうど去年の今ごろは大騒ぎしていたことを思えば、今年、そんなふうに大騒ぎせずに済んだのは、1年間の関係者のご努力と、それを受け入れていただいた、また関係者の方々のご配慮というものであろうと思っておりまして、ある意味感謝を申し上げたいと思います。
 ただ、補助金の改革の中身を見てみますと、ようやく中身が明らかになってまいりましたけれども、ほとんどのものが利子補給でありますとか、そういう県の裁量の余地が全くないものが一般財源化されている例が多うございまして、私どもが求めていた、分野ごと、政策ごとに一括して税源移譲というものでありますとか、地方の自由度が高まることや、それによって、住民の方から見ても一般財源化されてよかったと思うような形の補助金改革にはならなかったと思っておりまして、これはまことに残念であります。
 今後とも引き続き、この補助金改革は続けていかなければなりませんので、私どもとしては、今言った内容になっていくよう、これからもいろんな意味での提案をしていきたい、活動をしていきたい、このように思っているところでございます。
 また、あまり議論になりませんでしたけれども、実は補助金改革の中で、国が一方的に廃止をした補助金というものもございます。これは税源移譲や一般財源化をするのではなくて、もうこういう事業はしなくていいでしょうということで、勝手に国が廃止をする分というのがございます。
 どの国庫補助負担金が廃止、縮減されたかということについては、現時点でまだよくわかりません。これは我々の方でも調べてみないといけないと思っておりますが、国がこれまで補助事業をやっていた地方に全く相談することなく、勝手に廃止していくというのは、あり方としてはいささかおかしいと思っておりまして、[なぜ廃止したのか]ということをきちんと聞いていかなくてはいけないと思っておりますし、さらには、まさかこんなことはないとは思いますが、これまでは補助金を廃止した場合であっても、予算の関係で補助金は廃止したけれども、できれば地方におかれては、単独の事業ででもこの事業を続けてほしいということを政策担当者会議みたいなところで、国の役所の係官がそういったお願いをするということが間々見られたことがあります。そういったことにならないように十分ウオッチをしていく必要があると思っているところでございます。
 また、交付金化部分については、先ほど申し上げましたような汚水処理でありますとか、次世代育成支援というものについて、使い勝手をよくしていくという部分では評価していいのではないかと思っておりますけれども、もう少し中身、どういう運用になるかを見ていきたいと思っているところでございます。
 三位一体改革について、今回明らかになった内容という留保つきではありますけれども、佐賀県における影響額については、これから具体的にやっていくことになるわけでありまして、まだよくわからないところはありますけれども、基本的に税収に乏しく、交付税に頼っているというのが我が県の財政運営の実態でありますので、その意味からすれば、三位一体の改革によって、佐賀県にとって財政的に即プラスアルファになるというものはないのではないかとも思っておりますけれども、これはあるべき地方分権、地方自治の形を考えたときには、三位一体の改革というものがぜひとも必要であると考えているところでありまして、こういうプラス・マイナスの試算ができた時点で、またお示しをして、ご批判を仰ぎたいと考えているところでございます。

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