記者会見

●配布資料:三位一体改革・地方財政対策について

記者発表資料 平成16年12月22日 経営支援本部財務課
担当:日野
内線:1238 直通:0952-25-7013
E-mail:hino-toshikuni@pref.saga.lg.jp

 三位一体改革については、11月26日の政府・与党合意を踏まえ、12月18日に財務省・総務省間で地方財政対策が決着し、平成17年度の改革の姿は以下のとおりとなりました。

1.地方財政対策について
(参考)
地方財政計画の規模 83兆7,700億円程度(前年度比△1.1%△9,000億円程度)
地方一般歳出 67兆3,200億円程度(前年度比△1.2%△8,000億円程度)
一般財源総額 53兆4,400億円程度(前年度比+0.1%+400億円程度)
 うち地方税 33兆3,200億円程度(前年度比+3.1%+1兆円程度)
 うち地方交付税 16兆9,000億円程度(前年度比+0.1%+100億円程度)
 うち臨財債

3兆2,200億円程度(前年度比△23.1%△9,700億円程度)

交付税+臨財債 20兆1,200億円程度(前年度比△4.3%△9,600億円程度)

(1)一般財源総額の確保について
○平成16年度は、地方交付税と臨時財政対策債が合わせて、△2.9兆円、△12%の大幅削減となり、佐賀県も予算編成作業をやり直すなど全国の自治体が混乱した。
 このため、今年度当初より、全国知事会など地方六団体は、安定的な財政運営ができるよう地方交付税などの一般財源総額確保を再三にわたり国に求めてきたところである。

○今回の地方財政対策では、一般財源総額は昨年度に比べ微増(+0.1% +400億円程度)となり、地方六団体が求めてきた平成16年度水準の確保が達成されたところであり、まずはひと安心している。
 麻生総務大臣はじめ、関係者のご尽力に心から敬意を表するとともに、感謝を申しあげる。

○今回、総額確保に至った要因としては、
地方六団体が一致結束し、国に一貫して総額確保を求めてきたこと

これまで地方財政対策は、財務省と総務省の間で協議され、地方は結果だけを知らされたものが、今回は財務省・総務省協議中に、総務大臣が六団体代表や知事と意見交換を行うなど、そのプロセスに地方の意思を反映させる機会があったこと
などが挙げられる。
 平成18年度以降も、地方公共団体が安定的な財政運営ができるよう、今年度の成果を活かし、地方六団体が結束して行動し続ける必要がある。

(本県への影響)
○地方財政全体として一般財源総額が確保されたことから、仮に、来年度の本県の税収の伸びが、地方全体の伸び(3.1%)を下回った場合でも、地方交付税による財源調整機能が発揮され、一般財源は確保されることから、現在、作業を進めている本県の予算編成に、大きな支障はないものと見込んでいる。

○しかしながら、県財政そのものが厳しい状況にあることには変りはなく、強いて言えば「予想以上に悪化せずに済んだ」という程度の状態である。
 10月に策定した行財政改革緊急プログラムに沿って、仕事のやり方そのものを見直すことを含めた徹底した歳出見直しと、企業誘致等による歳入確保を図ることで、平成20年度に収支均衡できるような財政運営を行う必要がある。

(2)今後の展望
○今回は、一般財源総額が確保され、ひと安心しているが、
財務省は、依然として、地方財政に膨大な無駄があるという“事実を曲解した認識”の下に、地方財政計画の歳出の見直し、地方交付税の大幅削減を意図していること

経済財政諮問会議の民間議員からも、地方財政計画の歳出規模を、GDPの一定割合に機械的に抑制する意見が示されていること
などの動きもある。
 このため、平成18年度以降も、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額が確保されるかは予断を許さない状況である。

○国・地方通じた財政再建・歳出の見直しは急務であるが、一方的な地方への負担転嫁、地方切り捨てによる財政再建にならないよう、国・地方双方が納得できるかたちで進めることが必要である。
 このため、県としても全国知事会などと連携を取りながら、現在の財政状況、歳入構造の中で、国・地方合わせて、国民に対してどの程度のサービスを保障すべきかといった問題意識をもちつつ、地方財政の改革、地方交付税の改革にあたり、積極的な政策提案を続けていく所存である。

2.国庫補助負担金等の改革について
国庫補助負担金の改革と税源移譲(平成17年度までの累計)

恒久措置分:所得譲与税による税源移譲
  国庫補助負担金名 補助金改革額 税源移譲額
H15〜16 義務教育費長期共済
公立保育所運営費負担金
4,784億円 4,249億円
H17 国民健康保険国庫負担
養護老人ホーム負担金など35項目
6,989億円 6,910億円
累計   11,773億円 11,159億円

暫定措置分:税源移譲予定交付金による措置
  国庫補助負担金名 補助金改革額 税源移譲額
H16 義務教育費退職・児童手当 2,042億円 2,042億円
H17 義務教育費暫定 4,250億円 4,250億円
累計   6,292億円 6,292億円

スリム化=廃止・縮減
  国庫補助負担金名 補助金廃止額
H15〜16 公共事業関係など 7,478億円
H17 公共事業関係など 不明
※H17〜18に約4,700億円程度をスリム化することは政府与党合意済み。
そのうちH17の項目・規模は現在のところ全体の把握が困難である

交付金化
  国庫補助負担金名 補助金廃止額
H16 まちづくり交付金 1,330億円
H17 次世代育成支援対策交付金
地域住宅改革交付金
地域介護・福祉空間整備交付金
地域再生交付金(汚水、道)など
約3,000億円?
※H17〜18に約6,000億円程度を交付金化することは政府与党合意済み。

(1)恒久措置分:税源移譲に結びつく国庫補助負担金改革について
○平成17年度においては、税源移譲に結びつく国庫補助負担金改革として、
・国民健康保険国庫負担 約5,449億円
・養護老人ホーム等保護費負担金 約567億円
・公営住宅家賃収入補助 約320億円
・在宅福祉事業費補助金の一部 約125億円
・児童保護費等補助金の一部 約96億円
・農業近代化資金利子補給等補助金 約32億円
など35項目、約6,989億円の国庫補助負担金が廃止・縮減され、約6,910億円が所得譲与税により税源移譲されることとなった。

○今回の内示で明らかになった恒久措置分の内訳をみると、
医療保険制度全体の見直し論をしている中で、十分な議論なくして、かつ唐突に持ち出された国民健康保険の新たな都道府県負担が、約5,449億円と全体約6,989億円の約78%を占めること

他にも、養護老人ホーム等保護費負担金や、農業近代化利子補給等補助金など、義務的経費が大半を占めていること

地方の自由度を高める裁量的経費については、「在宅福祉事業費補助金の一部」、「児童保護費等補助金の一部」のように、地方が求めていた補助金全体の一般財源化ではなく、限定された部分のみの一般財源化となっており、地方の自由度を高めにくくしていること
などから、「地方の自由度を高める」「県民満足度が高まる行政サービスの実現」には、程遠い内容となっている。

○これまで、一般財源化される補助金の項目が明らかではないため、この点についての評価を控えてきたが、今回明らかになった内容では、評価できない。

(2)スリム化分
○11月26日に政府与党合意が示された段階で、平成17〜18年度において、約4,700億円の国庫補助負担金がスリム化(=廃止・縮減)され、地方に財源措置されないことが明らかになった。
 この単なる事業廃止として、税源移譲に結びつかない補助金削減が行われることについては、不満であるとこれまでも申しあげてきた。

○問題は、どの国庫補助負担金が廃止・縮減されたかであるが、現在でもこの4,700億円のうち平成17年度に廃止・縮減される補助負担金の内容及び額は必ずしも明らかになっていない。

○単なる事業廃止は、三位一体改革で地方が求めていたものではない。また、本来、財務省と補助金所管府省の予算編成の過程で決着されるべきものである。
 したがって、政府において、地方が引き続き事業を実施する必要はないとして税源移譲を伴うことなく単に廃止した補助金については、その廃止理由などを国民に対する説明責任を果たす観点から明らかにする必要があると考えている。

(3)交付金化分
○11月26日に政府・与党合意において、平成17〜18年度において、約6,000億円の国庫補助負担金が交付金化されると明記された。

○平成17年度に交付金化された主なものとしては、
 子育て支援関係で、
 <次世代育成支援対策交付金(ソフト事業)> 345億円
 <次世代育成支援対策施設整備費等交付金(ハード事業)> 167億円

○また、省庁横断の同一目的の類似公共事業関係で、
<汚水処理施設整備交付金(仮称)> 490億円
<道整備交付金(仮称)> 270億円
<港整備交付金(仮称)> 50億円
がそれぞれの制度の補助金は残した上で、その別枠として創設された。

○これら新しい制度の細部は未だ不明な点も多いが、いずれの交付金も、
自治体が実施計画を作成し、それを国が評価し、資金を配分する
配分後の使途については、可能な限り弾力的な運用を認めるなどのある程度共通した制度設計になっているが、
その配分方法に国の恣意的な裁量が働くのではないか
真に使い勝手が良くなるのか
など今後の運用を見なければ判断できない点も多いため、国においては、地方の自由度を高める観点から、これまでの補助制度の固定概念にとらわれることなく、思い切った見直しを強く望む。

(4)本県への影響額
○国庫補助負担金の廃止・縮減による歳入減
 現在平成17年度当初予算編成作業の最中であり、どのような事業を実施するかも含めて検討中であり、予算編成終了後には明らかにできる。

○税源移譲による歳入増
<所得譲与税>
総額 1兆1,159億円(うち16年度分4,249億円、17年度分6,910億円)
配分 都道府県3/5 市町村2/5に分け、人口を基準に配分
佐賀県への譲与額(完全人口配分、補正無しと仮定)
 約46億円(うち16年度分:約15億円、17年度分:約31億円と推定)
県内市町村への譲与額(同上)
 約31億円(うち16年度分:約15億円、17年度分:約16億円と推定)
合計 県・県内市町村譲与額 約77億円

<税源移譲予定特例交付金>
総額 6,292億円(うち16年度分2,042億円、17年度分4,250億円)
配分 全額都道府県 教職員給与を基本に配分(詳細未定)
→平成16年度は人口配分(東京都頭打ち)、17年度は配分方法が変更
佐賀県への交付額 未定

3.三位一体改革全体の評価
○これまでは印象として、内容的には40〜50点、「国と地方の協議の場」など議論のプロセスで10点加算し、50〜60点と申しあげてきた。

○今回明らかになったのは、大きく
地方財政対策において、地方交付税等一般財源総額が確保されたこと
補助金改革においては、地方の自由度を高める改革とはほど遠い内容であったこと
の2点である。

○前者は5点加点、後者は5点減点というところであり、結果として、三位一体改革全体の評価は、これまでの印象と同じく、内容的には40〜50点、「国と地方の協議の場」など議論のプロセスで10点加算し、50〜60点としたい。


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