○朝日新聞
本筋じゃないのかもしれませんが、今、三位一体の話で、知事は住民が見てよかったと言えるような補助金改革がなかったことが残念なので、これからも提案していきたいと言われました。ということは、3度目のプロポジションなどを今考えていらっしゃるということなのでしょうか。 ○知事 今、プロポジションIIIというものになるかどうかということはまだ決めていませんけれども、来年度の一般財源化についてもまだはっきり見えていませんし、知事会としては第2期の改革をということまで言っていますので、この三位一体の改革は今回の予算編成の過程で終わったというわけではないということなのであります。 ○佐賀新聞 新幹線の長崎ルートの事業費は10億円と伝えられているのですけれども、この額そのものについては、何か感想はおありですか。 ○知事 あまり大きい額をつけられても、正直言って困るというものがありましたし、政府としても、全くつけないというわけにもいかないというところでの、メンバーシップに参加したという、参加料ぐらいのところなのかなと思っております。 この額については政府のおつけになった額なので、多い、少ないは何ともいえません。ただ、現時点においては、まだ調整ができていませんので、それは多いということなのでしょうけれども。そういったことにも配慮をしていただいて、この額が計上されているものであると理解をしております。 ○読売新聞 新幹線で、これから地元合意を取りつけるために協議をされていかなければならないのですけれども、どういった形で説得をするのか考えていらっしゃるのでしょうか。 ○知事 ずっと考えていまして、内部で議論をしている最中です。まだ、沿線自治体とは、あれ以降は具体的に協議という形でやっておりませんし、ある意味、向こうも一段落しておられるところだと思いますので、12月中か、1月初めになってかわかりませんけれども、向こうとも連絡をとって、今後、どういう形でやっていこうかというところからまず下協議を始めていきたいと思っておりますけれども、いずれにしても、そんなに事を置いておくという余裕はないと思いますので、できるだけ早い時期に双方納得できる形で始めていきたいと、今はそういうことだけであります。 ○読売新聞 早ければ年内にも接触をするのですか。 ○知事 年内にもどのように進めていきましょうかというような話ができるかどうかということぐらいで、年内に協議が再開するというようなステップでは、現実問題としては難しいかなと思っておりますけれども、事務的な下協議とか下話は、私のところに一々全部報告が来るわけでもありませんので、そういったことは始めているかもしれませんけれども、実際に形に見えて動き出すというのは、年内になるか、年初めになるかということではないかということであります。ただ、現実的には年内は難しいかもしれません。 ○毎日新聞 知事は2005年度の一般会計で、05年度末の国債発行残高はどのくらいになるかご存じですか。 ○知事 存じ上げません。 ○毎日新聞 538兆円らしいのですよ。税収は44兆円らしいのですね。これは、一般家庭でいえば、440万円の年収の家庭が5,380万円の借金を背負っているようなことだと思うのですけど、元自治省の役人だった知事から見て、これはどうやって返せると思いますか。こういった財政状況をこれからどうやって解消していくのか、これはいったい現実的に返せる額なのですか。 ○知事 もちろん、それは返せる額でなければ、国債を買う人はいません。返してもらえないと、国債を買う人は市場にもう存在しません。それがある一定の利回りで流通しているということは、それはみんなが返せると思っているから流通しているわけでありまして、私も当然それは返すことができるものであると思っております。 基本的には、今すぐ返せるかというと、そんなことはないわけでありまして、もともと国債は60年かけて返すということになっていますし、60年間かけてそのまま返すかというと、場合によっては借りかえをしたりしていることもありますから、それはそのときの金融と財政の状況に応じて運営をしていくことになるのだろうと思います。 ただ、額だけ見たときに、確かに非常にとんでもない大きな額に膨れ上がっていることは事実なのでありまして、これをどうやって縮めていくかということを、それこそ財政当局だけではなくて、国も地方の関係者も一緒になって、どうしていかなくてはいけないかということを今まさに考えているわけです。 ですから、それは返せるか返せないかというご質問だったかと思いますけれども、それについて答えれば、返せる額であると思っております。 ○毎日新聞 新幹線のために何千億、何兆円、新幹線に国は幾ら払うのでしたっけ。済みません。私、不勉強で聞きたいのですけど。 ○知事 新幹線については、国が払う分というのは、公共事業費というようなことでいけば、全体の事業費はさほど大きな額にはならないと理解しているのですけれども、ただ、既設新幹線の譲渡収入というものを、それも国に一遍入ったものだから、国が払うものだと考えれば、3分の2は国が負担するわけですね。そして、3分の1を地方が負担するというスキームでやっていきますから、新幹線の全体経費の3分の2は払っていくということなのであります。 ただ、新幹線というのは、よく象徴的なこととしてとらえられていますけれども、私はあれは筋のいい公共事業の方だと思っています。費用対効果というものを計算して、その上でやれるかどうかということ、また、特定財源の収入があって、その中でどうしていこうか、国と地方の負担割合ということもすべてきちんとルールが決まっています。そういう中でやっていき、しかも、そういうルールで始めた新幹線について、実際に開通しているものを見れば、当初の予測を上回るお客様が乗っておられるわけですね。そういったことを考えれば、新幹線のスキームというのは、まだほかの公共事業に比べたら非常に筋がいいものではないかと思っています。 ○毎日新聞 例えば、それは山陽とか東海道以外の新幹線もですか。 ○知事 ええ、もちろんそうです。山陽、東海道、上越は昭和の時代に全部国費でつくっていますから、そういう計算をやっていないのですね。最近つくった新幹線というのは、例えば、長野新幹線であるとか、あと北陸の延伸部分であるとか、鹿児島ルートとか、そういうことでありますけれども、これは調べていただければわかりますけれども、当初の予測を下回ってしかお客が乗っていないというような新幹線はないのですよね。 ○毎日新聞 長崎ルートもそうなると見込んでいらっしゃるのですよね。 ○知事 長崎は、今回さらにフリーゲージというものを書き込まれましたので、これは世界で初めてだと思うのですけれども、フリーゲージになると費用対効果の試算自体も、普通の新幹線というか、普通のスーパー特急よりもさらに高いものが予測をされているのですね。その精査はしておりませんけれども、大体1.4ぐらいではなかったかと思います。波及効果を含めれば1.8とか1.9とか、それぐらいが出ていたのではないかなと思いますけれども、そういうような成果が得られるのだろうと思っております。 ○毎日新聞 それでも、県民の中には、いまだにそれだけ莫大な借金を投じることに釈然としない声がすごく高いのですよね。 ○知事 もちろん、これについては、新幹線に限らず、いろんなことについて 100%賛成ということはあり得ないと思っています。ただ、それに対して一人でも多くの方に理解していただく努力をまずしなくてはいけないということがありますし、新幹線の件については、一般県民の方に県としての考え方を理解していただくこと以上に、まずやらなくてはいけないのが並行在来線の地元自治体との協議ですから、まずはそこを丁寧にやらないといけないというところから始まっているわけですね。 ○毎日新聞 ですけど、地元の沿線の方みなさんが賛成したとしても、お金は県民全体のお金が使われるのではないのですか。 ○知事 それはどこだってそうです。例えば、県の北部を走る道路、例えば、西九州自動車道が通るということについて、佐賀市民は全くの効果を受けないわけです。 ○毎日新聞 逆の言い方をすれば、沿線自治体が全部賛成したからと言って、それでゴーサインが出るというのもどうかなというような気がしますが。 ○知事 そうだとすると、では、どうやって決めればいいということですか。 ○毎日新聞 わかりません。だから、その一番いい案を探しているのです。 ○知事 だから、それは私の判断で決めていく、それがこの仕事を給料をもらってやっている者の責任だと私は思うのですよね。そういう判断をしたことについて、おかしいならおかしいと批判を浴びる。最後のケースというか、一番の結果としては、それは選挙という形で審判を受ける、そういう中で判断というものをしていくわけでありますから、最後の一人までが賛成するということでなければ物事が進められないということはないと思っております。ここまで来たから進められる、今の段階では進められない、そういう判断をするのが私の大事な仕事の一つであると思っています。 ○毎日新聞 その結果が、今進めたいということなのですよね。 ○知事 だから、今回は、今のうちに乗っておかないと、もう平成29年度まで財源が確保できないと。とにかくエントリーだけはさせてもらわないと困ると。エントリーをするということと、即バスに乗り込むということは別だよということをきちんと保証してもらったので、今回はエントリーだけはしたということです。 ○毎日新聞 もちろん、着工しないという可能性も残されていますよね。 ○知事 同意が得られなければ、着工できないわけですから。 ○毎日新聞 しないわけですね、その場合は。 ○知事 着工するのは私ではなくて、それは国かJRがやっていくのですけれども、少なくとも着工には地元同意が必要であると言っているわけですね。私もそういうように整理ができると思うから、今回、今のような判断をしたということです。 ○毎日新聞 わかりました。 ○朝日新聞 有明海について伺いたいのですが、今回、有明海の再生対策費がかなり盛り込まれたと思うのですけれども、一方で、県がこれまで求めてきた中・長期開門調査については見送りという結論になったと思うのですが、そのことについて今後も要求していくとか、その辺のお立場はいかがですか。 ○知事 中・長期開門調査に対する県の考えは今も変わるところがありません。多くの漁民の方も気持ちは同じだろうと思っています。 このことはこのこととして、県としては意見をいろんな形で申し上げていきたいと思っておりますけれども、有明海の環境変化の原因が本当に何なのかという調査であるとか、原因調査もさることながら、現実の課題として、水産資源を何とか一日も早く回復させなければいけないという現実対応に必要なこと。こうしたことについては、地元の漁民の方とも話し合いをしていく中で、中・長期開門調査とは別に、やれるものはやっていこうということで、理解を得ていると思っています。 ですから、その意味では、有明海の再生に向けてこれだけの予算が確保できたことは、国の姿勢を示すものとしては評価したいと思っておりますが、これだけ予算をつけたから中・長期開門調査はもういいだろうということではないということであります。 ○朝日新聞 そうすると、今までどおり国に対する要求はしていくということですか。 ○知事 はい、それはそのように考えています。今後、有明海再生のことについては、これまで以上に有明漁連を始めとする地元の方たちとまた話し合いを進めていって、どういうやり方でやっていこうかということについて議論しなくてはいけません。今ノリでお忙しいものですから、ノリの漁期が終わったら、またそういったことについてもきちんと話し合いを持ち、有明海再生機構の活動にも活かしていきたいと思っています。 ○時事通信 新幹線の話ですけれども、首長に対し、これまでの副知事ではなく、今回、知事が最終的に応対したわけですが、年末年始あたり、それぐらいから再び協議を始めるのではないかということで、新しい窓口というか、県の方で窓口をつくる計画、そういう新幹線推進に当たってですね。そういった新しい部署の設立みたいなものというのは考えてありますか。 ○知事 言われるまで考えていませんでした。確かに、それは本格的に何か事業をやっていくとなると、それなりの構えは必要になっていくのかもしれませんが、差し当たっては、まず地元との協議再開というところが一つのテーマというか、まずそれをどういうような形でやっていくかが今の最大のテーマなので、それだけを考えれば、何か大きな室をつくるとか、組織的な変更をするということまでは必要ないのかなというように、今の時点では思っています。ちょっとまた考えてみます。 ○時事通信 知事が今のところ考えてあるのは、副知事を窓口にして折衝を始めようかなという考えですか。 ○知事 そうですね。イメージ的に言えば、大体いつも担当課長が事務的な協議をして、少し話が煮詰まってくると副知事が出ていってということでやっていましたので、それは続けたいと思っています。
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