記者会見

●発表項目:平成16年度当初予算及び組織について(1)
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 皆さんおはようございます。それでは、平成16年度の当初予算案を発表します。
 まず、今回の予算編成に当たっては、基本的な考え方として、大変に厳しい財政状況の中、そしてまた、今回は昨年の年末に至り、我々の想定を超える交付税、臨時財政対策債の削減という事態を受け、もう一度査定をやり直すといった、これまでになかった厳しい予算編成を強いられたわけでありますけれども、そういう財政状況を踏まえて、歳入に見合う歳出構造への転換と、公債費を抑制していくためのプライマリーバランスを黒字基調に持っていく、この2つの大きな柱のもとに、引き続き財政の健全化に取り組むことを対応方針として予算編成に臨みました。
 そしてまた、かねてから申し上げておりますように、そういう厳しい中でありますので、これまでのように、あれもやります、これもやりますといった財政運営ではなく、あれか、これかと選ぶような形の予算編成を強いられました。また、積極的にそのように取り組みをしました。
 例えば、経済部におけるトライアル発注についてでありますけれども、平成15年度は1,200万円の事業費をもって取り組みましたが、これは思いのほか好評を得ておりまして、事業者の方々から、これまで県が研究開発に出していた補助金を削ってでも、むしろトライアル発注の方に回してくれた方がいい、そういうお話が随分あったもんですから、今回の予算ではトライアル発注の額を昨年に比べ2,400万円増やすのと同時に、研究開発の補助金は2,800万円ほど削減をしております。財政状況を考え、若干トータルでの削減をしながら、必要なものにより重点的につけていくという姿勢がここに表れているというふうに考えております。
 また、昨年、県として重点的に実施をしていくこととしました重点実施項目、これをきちんと着実に推進していくこと、また、私がかねてから申し上げておりますように、現場の意見、現場の声を反映した政策をとっていくこと、そしてまた、今後の佐賀県の将来を見据えて戦略的な施策を展開していくこと、こうしたことを今回の予算編成に反映させております。
 次に、財源不足への対応でございますが、国庫補助金が削減された影響で県としては31億3,000万円の補助金の減が見込まれました。一方で、税源移譲があることにより31億5,000万円のプラスが予定されており、この2つを見ますとほぼ中立であります。しかしながら、交付税が208億円削減されることになりました。交付税そのものが96億円で、交付税のかわりとなります臨時財政対策債が112億円であります。ということで、この大幅な削減というものが、ある意味予想外のものがございまして、年末に新たに208億円財源不足が生じてきました。課長査定後で265億円の財源不足が生じたままとなりまして、予算編成をどうしていくかということで何度か議論をしたわけでございます。
 そこで、それに対応するために、まずシーリングの再設定を行いました。本来、予算編成というのは、ある一定の段階で予算をつけると決めたものは、段階が変わっても変わらないというのが基本的なルールであります。財政課長査定でついたものが部長でひっくり返る、知事でひっくり返るということはありませんが、今年度の予算編成については、課長査定で確定した額も含めてシーリングの再設定を行いました。一般行政経費については5%だったものをマイナス10%に、普通建設事業で、これは補助金のついているものについては、いわゆる公共事業と呼ばれるものについては3%を10%に、単独事業については5%を15%に、このように厳しく再設定をし直すことによりまして財源不足の解消を図りました。また、個別の査定におきましてもより厳しい査定を行うことによりまして70億円の削減を可能といたしました。しかしながら、それでもなお195億円財源不足が生じております。この部分は、いわば貯金の切り崩しであるところの取り崩しを財政調整基金と県債管理基金からそれぞれ65億円、80億円行いました。そしてまた、財源不足に対応するために、国が新しく制度を設けました地域再生債、これを50億円発行することといたしました。
 そうした結果、平成16年度の一般会計当初予算案は、総額で4,385億円となり、これは昨年の6月肉づけ後の予算に比べますと2.8%の減となっております。4年連続のマイナス予算でありまして、マイナス幅はそれぞれ数年間のうちの真ん中程度でございますけれども、いずれにしても4年間連続してのマイナス予算ということになっております。当初予算の規模の推移を申し上げますと、平成9年から11年、12年ぐらいまでは比較的伸びておりましたが、この12年以降、傾向として下がってきております。国全体の予算規模も下がり、地方財政計画の規模も下がりという中で、我が県の予算編成規模も下がってきているというトレンド(傾向)にあります。
 特別会計につきましては、母子寡婦福祉資金特別会計などの10の会計総額が206億3,000万円となっておりまして、これは64.8%と大幅な増となっておりますけれども、この理由は、鳥栖において流通業務団地を新たに産業用地造成事業特別会計という特別会計で取り組むこととしたために大幅増になっているものでございます。
 次に、予算案のポイントを幾つか申し上げます。
 まず1つ目が重点実施項目の着実な推進についてであります。
 昨年定めました重点実施項目49項目ございますが、既に15年度中に対応したものが41項目あり、16年度当初新規で対応するものが3項目あり、合計で44項目対応を始めたということになります。これは対応済みと書いてありますのは、対応開始済みのことでございまして、対応を開始したということでございます。それに対応する事業費は101億円で、そのうち新規事業36件分が約22億円となっております。
 例えば、重点実施項目に関係する事業として申し上げますと、「オンリーワン」のさが体験活動支援事業と申しますのは、佐賀ならではの体験を小学校、中学校できちんとプログラムをつくってやってもらうことによって、佐賀に生まれ育ったからこそ知る、例えば農業の大切さであるとか、また焼き物の魅力であるとか、そういったものをきちんと体験することによって、佐賀に育っているということをきちんと自分のものにし、また誇りに思う気持ちを育てるという事業であります。
 また、男女共同参画の翼派遣事業でありますけれども、これからは男女を問わずということにしまして、そして、これから長期にわたる地域活動を可能にしていくために、これまでは年齢がおおむね60歳以下としていたものを10歳下げまして、おおむね50歳以下で男女を問わずというふうに変えることといたしました。
 また、子育て支援の関係では、延長保育や休日保育を促進する新規事業といたしまして、延長保育については、今は保育士を新しく1人加配すればお金を出しますという形になっておるんでありますけれども、それはそれで雇用対策として必要でもありますけれども、なかなか保育士の加配が困難という保育所もございます。そこで、保育士の加配がなくとも延長保育そのものをやる場合に補助をしていこうということで、全保育所での延長保育の実施を目指していくこととしておりますし、また休日保育については、これを1つの保育所でやることにしますと、やはり負担が生じます。それを保育所の輪番制をとることによって休日保育をやっていこうということで、最終的に全保育所の1割での休日保育の実施を目指すこととしております。
 また、環境関係の事業では、地球環境規模でのCO2排出抑制のために、企業が自分でCO2の排出を抑制できない場合、CO2の排出を抑制するための事業、例えば木を植えるということでありますとか、そういったものについて企業がその権利を買うというふうなことが今検討されております。その排出権取引と呼ばれるものについて実証実験をやっていきましょう、模擬実験をやっていきましょうという事業をやっていきます。これをやった結果、具体的にどのようなことが有効であるかということを国に政策提言していくこととしております。
 また、日本一の図書館づくりということを重点実施項目の中で言っておりますけれども、平成16年度からは県立図書館の開館時間が土曜日について、まず3時間延長されます。これまでは午後5時までであったものが土曜日にあっても午後8時まで延びます。さらに、今までは国民の祝日、いわゆる体育の日でありますとか、春分の日でありますとか、そういう祝日には休んでおりましたけれども、その祝日も開館することといたしました。これによりまして、県立図書館の開館時間は日本一を達成することになります。
 また、ブロードバンド接続率90%を達成していくために、民間事業者の参入が見込めない市町村におきます設備導入を支援することといたしておりまして、脊振村と三瀬村の2つについて支援をすることとしております。これによって平成16年度末には県内ブロードバンド接続可能率は86.7%に上る見込みであります。
 次が「現場」の意見を反映した予算であります。
 「かたろうかい」を初めとするさまざまな場面で県民の方から直接意見が寄せられております。それを私ども県の内部でも検討しまして、県民満足度向上のための方法ということで49件の新規事業に反映をいたしました。
 その一端を申し上げますと、例えば、小児救急医療の総合対策事業でありまして、これは保護者用のまず夜の専門電話相談窓口の設置であります。また、小児科と内科は似通っている部分もございます。必ずしも小児科専門医でなくても一般の内科医でも対応できる需要もございますので、そういう一般内科医の方に対する小児医療の研修を実施してまいります。そしてまた、小児医療の対策が不足している公的病院における小児医療の充実のため、人的な充実を支援していく事業を新しく入れ込むことによりまして、子供を安心して産み育てる環境を小児医療の充実という点から支援していこうということを考えております。
 また、学校に入りました子供に対して、保護者が働いている場合に放課後児童クラブというものが学校、また学校の近くにあって、親が帰ってくるまでその子供を預かってもらっているわけでありますけれども、これは現在の国の補助要件は、子供の数が10人以上で、開設日数が200日以上ないとだめという厳しい条件が課せられておりますけれども、我が県内においては比較的小規模校が多いということもありまして、この児童数10人以上の要件がなかなか満たすことができないという状況もございます。そこで、新しい県単独での補助要件といたしまして、子供の数が2人以上であればいいですよ、開設日数もやや下げまして180日以上あれば大丈夫ですよというふうに事業を新しく始めることといたしました。これによりまして、県内の全小学校での実施を目指して、県内どこに暮らすことになっても、必ずそこには放課後児童クラブがあるというふうな状況を達成したいと考えております。
 また、最近新しい障害の形態として軽度発達障害というものが出てまいりました。LD(学習障害)ですとか、自閉症でありますとか、そういった障害を持つ子供たちに対して教育的な対応や、また現場の教員の知識が不十分だというふうな指摘もございました。そこで、平成16年度には全教員に対する研修を実施することにいたします。そしてまた、特別支援教育のコーディネーターの配置をすることによりまして、こうした障害を持つ子供たちに教育的な支援ができるようにしてまいります。
 次は、テクノエイドセンターについてであります。
 これは、障害者や高齢者の方が使われる、例えば車いすといった福祉用具と言われるものがありますけれども、これがなかなか使われる方にとって使い勝手のいいものにまだまだなっていないという問題があります。また、新しいものができていったとしても、なかなかそれを使いこなすことが難しいという問題もありまして、そういったものの普及や研究を一貫して行うテクノエイドセンターというものの整備の必要性や整備内容について、テクノエイドセンター整備検討委員会を設置して、県の実情に合った整備をどのようにやっていったらいいのかということを検討を始めることといたしました。
 また、いわゆる難病について、きちんと相談、支援できる体制がないということで、かたろうかい等でも出ておりました。そこで、全国的にもこうしたものを支援していく、設置していく傾向にはございますが、平成16年度、九州で初めて難病相談・支援センターを設置することにして、その運営はこうしたことに非常に経験と知識のあるNPO等の法人に委託することを予定しておりまして、きめ細やかな対応で患者の悩みや不安などを解消していただくことを目指すこととしております。
 また、園芸農業の関係においては、最近、安心、安全を求める消費者の声というものが高まっておりまして、今後の佐賀県農業、特に園芸農業を考えていった場合には、有機農業やエコ農業といった環境保全型の農業を推進していくことが極めて重要だという観点から、2人以上の営農集団に、こういう有機農業、エコ農業といったものを取り組む場合に助成をしていくということを取り組むこととしております。
 次が県民協働の推進でございます。
 これまでは国や地方自治体だけが、いわば公益を代表すると思われていたものを、NPOやそのほか地域的な活動団体のような社会的団体と新しい協働関係をつくっていきたいということで、NPOの活動の拠点を県下2カ所にまず16年度はつくっていこうと考えております。中心商店街の空き店舗などを利用した取り組みで、新しく建物をつくることなく既存のインフラを使って、こういうNPOの活動の支援をするとともに、町のにぎわいにも寄与していくようなことを考えていただきたいと期待をしております。
 また、消費生活センターに対する相談が非常に増えてきております。これについては、相談件数が大変増えてきているということと、専門性が増してきているという中で、今回、この消費生活相談そのものの専門的なNPOが佐賀県の中にございますので、ここに委託することにいたしました。そのことによって、これまでは嘱託で3年間の雇用期間の職員が対応していたものが、ある意味長い期間にわたって、ずっとNPOの職員として働くことができるようになり、専門的な相談にも対応できるようになると思っておりますし、また、非常に最近相談が増えたというふうな場合には、柔軟に人の配置などもNPOの方で対応してもらえるということで、柔軟な対応ができるようになると考えております。
 ただ、NPO化することによって、行政とNPOとの関係が、連携がうまくいくのかというふうな不安もございます。そこで私どもでは、この消費生活相談そのものを所管している担当課そのものを消費生活センターの中に持っていくことによって、相談をしている現場と企画立案をしていく本課とが一緒の空間の中で仕事をするということによって、行政とNPOとの間の連絡不足という問題を解消していこうと考えております。
 次は、こだまの森林づくり事業でございます。これは、これから佐賀県の森を、森林を今までのように人工林中心で針葉樹だけというふうな状況から、彩りや多面的な機能、また保水機能、そういったものの観点から、できる限り県民協働で広葉樹を植えていこうということで、新しく10年間で100万本広葉樹を植えるという目標を立てました。これは行政だけで行うのではなくて、ボランティアを結ぶコーディネーターを配置することによって、県だけ、市町村だけがやるのではなくて、県民と一緒になって新しい時代にふさわしい佐賀県の森づくりをやっていきたいと考えております。

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