記者会見

●質疑応答:プロポジションII〜佐賀からの提案〜
○佐賀新聞
 これは政府の方にも提案されるのですか。
○知事
 はい、政府の方にも持っていきます。基本的には、まずは地方の側で検討すべき材料ということでありますので、主には全国知事会というか、会議においてもそうでありますし、全国知事会や地方6団体の中で議論する材料として提起をしたいと思っております。
○佐賀新聞
 国の方から、いわゆる、3兆円(の補助金改革)の関係で(取りまとめの要請が)来ている(件に対する)、これが成案と考えていいのですか。
○知事
 佐賀県としての成案であります。
○佐賀新聞
 それは、いつ、どういう形になるのですか。
○知事
 それは、地方の側としてですか。
○佐賀新聞
 はい。
○知事
 それについては、まだはっきりとしたデッドラインが示されているわけではないのですが、この夏いっぱいのうちにということになろうかと思います。概算要求が8月末でありますので、それまでには間に合わせなければならないということだろうと思っています。
○西日本新聞
 これをおつくりになったのは、いわゆる知事としておつくりになったんですか、それとも県としてと考えた方がよろしいですか。
○知事
 県としてです。
○西日本新聞
 要するに、これをつくるチームをつくって取り組まれたということですか。
○知事
 はい。三位一体の改革については、経営支援本部の財務課が担当しておりまして、財務課がいろいろ議論をしてつくった案であります。
○朝日新聞
 ちょっとテクニカルなことを教えてほしいんですが、まず補助金削減対象をある項目に限定しますよね。その限定の仕方によって、税源移譲に与える影響の額というのも違ってくるのですか。
○知事
 基本的にはまだ3兆円という額だけは決めていますので、その3兆円をどこから持ってくるかということでありまして、義務教育費国庫負担金から持ってくるという考え方もあります。
 私どもはそうじゃなくて、身近な社会保障の方をむしろ一般財源化した方がいいということで持ってきているということでありますけれども、それを住民税で今回やろうと考えていますので、その際には、社会保障でやると市町村の負担が大きくなりますので、税源移譲の税源の行き先として、県よりも市町村の方が手厚くなるということになってまいります。その意味では、その税源移譲の部分で違いが出てくるということになります。
○朝日新聞
 そうすると、このパターン(1)とパターン(2)を想定された理由ですね。こういうパターン分けで、4対6と3対7という想定を二つ示されている、この意味合いはどういうところにあるのでしょうか。
○知事
 これは、一つには、今回の三位一体改革についてのこの案について、市長会や町村会と打ち合わせをしたわけではございませんで、これはあくまでも県単独として提案しているわけでありますけれども、市町村との事務の配分、財源配分をどうするかという議論をまだしていないのです。その意味で、このようなやり方がありますよということを複数示すことによって、これについてはいろいろ検討の余地があるのだということをある意味示したものであります。
○朝日新聞
 住民税を10%に統一というのは、これは骨太の方針にのっとってということですね。
○知事
 はい、そうです。
○朝日新聞
 その上で、4対6と3対7、つまり、いずれも市町村の方の比率が高いということは、市町村分のもともとの負担が大きいから、税源移譲対象も手厚くという想定でされているということですよね。
 それでいて、なおかつこれだけの県の、つまり身銭を切る額が大きいから、地方住民税の税源移譲だけでは足りないということが後段に通じてくるという理解でよろしいですか。
○知事
 そうです。まず、今回の平成17年度、18年度の税源移譲については、補助金改革については3兆円ということで決まっていて、それについての税源移譲は、基本的にもう住民税でやるんだということについてもある程度決まっているわけですね。その部分については、もうわかりましたということで、よしとしましょうと。しかしながら、それでやると、佐賀県としては相当の赤字が出てきます。この赤字を消すためには、もちろん、その辺を交付税制度できちんと担保するということもあるのですが、そうではなくて、税の方で、より偏在性のない税制を組み直すことによって、赤字を減らすことが可能になってきますよねという提案をしているというものであります。
○朝日新聞
 3兆円補助金の削減をして、3兆円の税源移譲をもらうと、つまり、とんとんになる計算ですね、どんぶり勘定で言うと。しかし、緻密に計算すると、なぜ赤字が出るのかというのが、ちょっとよくわからないのですけど、なぜですか。
○知事
 より正確に言うと、3兆円の補助金をカットされた部分がそのまま全額税源移譲になるわけではないのですけれども、仮にその分は全額来たとしても、例えば、東京都とか大阪府は黒字になります。そうやって、税源移譲というのは税を移譲するわけなので、そういう税源移譲の対象となる人が多いというところはたくさん来るわけですね。
 今までの補助金というのは、人の数によって配分されているわけじゃないわけです。比較的補助金については、物によってよりけりですけれども、割と財政力の低いところとか、大変なところというものに手厚く配分されてきたということもあるわけですね。
 そうすると、それをフラットに、例えば、住民1人当たりいくらみたいな感じで税源移譲がなされると、どうしても住民の多いところの方が、都市部の方が、よりたくさん税収が増えていくということになるわけです。
○西日本新聞
 これは、要するに偏在性をならすためにということなのでしょうが、都市部の都道府県からは反対が出るのじゃないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
○知事
 私どもから言うと、都市部の方がもうかるんですよね。都市部の方は、減らされる補助金よりも、税源移譲によって入ってくる税収の方が多くなると私どもは試算しているのですね。それだと、あまり多くなり過ぎるのもなんでしょうということで、ある一定の財源調整が必要ではないですかという議論が全国知事会の中でも行われてはいるのですけれども、私どもの感覚からすると、こういう税源移譲の案について、都市部の自治体の方がノーというのは、ちょっと正直よくわからないところではあるのですけれども。
 都市部というか、東京都が反発しているのは、そうやってほうっておけば東京都が増える部分を、何とかそれを減らそう、減らそうということで、税源移譲にさらに財政調整を入れようとする動きなんかがあるということに対して、それは違うのじゃないかという意見を持っておられるのだと思っておりますけれども。
○朝日新聞
 そうしますと、戦略としては、まず地方交付税の資金の充実、それから、さっき言った歳入の自由度をさらに増すという2段階になるのですかね。
○知事
 筋論としては、そうあるべきであろうと思っております。
 地方交付税というのはそのように、いわばこういうことのために制度として存在しているのだろうと思っておりますけれども、交付税自体がトータルとして見た場合には、削減されていっている中ですから、その中で充実、充実といって、どこまでそれができるかわからないということもあるものですから、それは常に、今回書いておりませんけれども、底辺にはいつもそういう地域間のアンバランスを交付税の機能によって補完すべきだという考え方は常にベースとしてあります。
○朝日新聞
 ということは、地方交付税の縮小は、やはりやむを得ないということですか。
○知事
 機能的な充実は求めるとしても、額的に減っていくということは、それはある意味やむを得ないことなのかもしれないと思います。
○西日本新聞
 交付税には財源調整機能と保障機能がありますよね、どっちに重きをおくべきだと思いますか。
○知事
 基本的には保障機能なのだと思います。地方自治体が、「おれはやるんだ」という仕事がやれるようにするということが必要なのだろうと思います。それはそれだけでいいのかどうか、いろいろ難しい議論にはなるのですけれども。
○朝日新聞
 義務教育費国庫負担金の方でちょっと確認しておきたいのですが、知事は基本的に義務教育費国庫負担金のあれ(一般財源化)は反対でよろしかったですか。
○知事
 反対とまで強く言っていないのですけれども、僕は去年からずっと義務教育費国庫負担金について、最初に議論が出てきているのは、これはまず数字を確保するための方策であって、本当に中身の議論になっているのだろうかということを常々申し上げてきておりました。仮に義務教育費国庫負担金が一般財源化されて、直ちにそれが本当に自由に使える財源になるのだろうかということを思うと、それを、義務教育の制度として、どこまで地方に自由度というのが保障されるのかという、義務教育そのものの議論をせずにはいられないのではないかなと私自身は思っております。
 ですから、いわば税源移譲の4番バッターとして、こうしたものが登場するということ自体は、私は非常に違和感を持っておりまして、もうちょっと制度として、地方で自由度が発揮できるようなものを先に考えるべきではないかと私としては思っておりました。
○朝日新聞
 そうすると、今知事会の中で、特にこの点、議論が分かれていて、戦術論としては、とにかくここで実績をつくるべきだから、義務教(育費国庫負担金の一般財源化)をここは受け入れるべきだという意見が割と多く出ていると思うのですが、知事はその意見に対してはどうお考えですか。
○知事
 最後の最後、一番大事なことは、どういう補助金をどうすることになるにせよ、地方6団体として意見をまとめて案をつくるということが、一番優先されるべき事柄であろうと思います。
○朝日新聞
 ということは、場合によっては、そういうときは受け入れてもいいと。
○知事
 ええ。それはもう義務教育費国庫負担金だけではなくて、私たちが他にいっぱい提案していますけれども、その提案の内容が通らなかったからといって、だから、即反対だということではなくて、私どもは私どもなりに、よく言われるのは、義務教育費国庫負担金を入れることについていかがなものかという議論をすると必ず言われるのが、だったら3兆円できないじゃないかという議論なのですね。「いや、そうじゃないでしょう」と。そういったことに手を出さなくても、またきちんとした基本的なスタンスを確立した上で、3兆円というものは提案できるよねということを、私どもとしてはきちんとした形でお示ししたかったということであります。
○共同通信
 義務教育費国庫負担金は今回含めないと知事はおっしゃったのですが、ちなみに、プロポジションIIの8ページに 1,000億円だけ、義務教育費国庫負担を17年度、18年度に一般財源化するってあるのですが。
○知事
 すみません。この「義務教育費国庫負担金」のところには、施設整備費の負担金が入っています。これは実際「義務教育費国庫負担金等」と書くべきですね。
○佐賀新聞
 考え方で、公共事業の縮減にはノーということだったのですが、今回、検討の対象外ということ、つまり検討中のものではないということで、もう少しここの考え方がよくわからないのですけど。
○知事
 公共事業は、例えば 1,000億円の公共事業を 800億円に、2割減らしますという話になったときに、国の方では 200億円分減ったのだから、その部分、地方に税源を移譲するかというと、そんなことはできませんよと言っています。
 それはなぜかというと、公共事業というのは、今や建設国債でやっていて、全然税収を充てていないからだと言うわけですね。だから、 1,000億円の公共事業費を 800億円に減らしても、 200億円分を地方に税源移譲で渡すということはできませんよということを言うわけです。
 これはある意味正しくて、ある意味違っていると私どもは思っているのですけれども、ある意味正しいというのは、確かに税源移譲の対象となるべき税収が公共事業には充てられていないということは事実でありまして、それはそれで認めざるを得ない。しかしながら、公共事業というのは、全額建設国債で事業をやっていても、これは60年かけて返すわけですね。その返す財源は租税なわけです。だから、そこでは税収が関係しているところがあるので、ある意味、60分の1部分でも、それは関係するといえばするではないかという議論が今なされているわけなのですね。
 例えば、生活保護だとか、学校の教育なんかもそうですけれども、これは国がやるにしろ、地方がやるにしろ、必ずやらなければいけない仕事です。ですから、その分のお金を国が出すのか、地方が出すのかという議論なので、こういう三位一体の改革の議論になじみやすいのですが、公共事業というのは、だれがやるべきかというよりは、いくら分やるかという話がメーンなのですね。ですから、例えば 1,000億円の分の公共事業費を 800億円に減らしたときに、それは単に事業費を減らしただけですよと国が整理をしてしまうと、もともと 200億円、それを税源移譲すべきかどうかという話自体も議論が起きないということになるのですね。
 そのように、ほかの社会保障だとか、教育に比べると、ロットだけの議論なものですから、ちょっとこの税源移譲のものには直接なじみにくいのではないかということを考えているということであります。
○時事通信
 地財計画の意見聴取を義務づけたりとか、地方からの質問権とか、それに対する国の回答義務を創設するということを訴えるそうですけれども、昨年の地財計画と照らし合わせて、このように、割と厳しい提案を国に対してしていくということについて、改めて意見を伺いたいのですけれども。
○知事
 もうああいうことがないようにしなくてはいけないということに尽きます。去年の地方財政計画の作成のときに、ある日突然、結果だけが知らされて、県も市町村も大変な予算編成を強いられることになったということが制度としてないように保障されるべきであろうと考えて、今回ちょっと厳し目ではありますけれども、このような提案をさせていただいているところであります。
 同じ間違いは、やはり一度はしようがないとしても、二度やるというのは、経験と歴史に学んでいないということではないかと思います。
○朝日新聞
 市町村会の方へ提案をされるのですか。
○知事
 もちろん、お持ちはすることになりますけど、提案をする相手は、まずは知事会に持っていこうと思っておりまして、その中で、まずは知事の中で話をまとめるということになろうかと思います。
 市長会は市長会で、町村会は町村会でそれぞれ議論がなされているようでありまして、その議論の流れは、どちらかといえば、私どもがやっているのと若干違うところもあるのですね。市長会の方では、できれば社会保障関係はいじらずに、義務教育費国庫負担金の方で税源移譲をやってくれないか、補助金カットをやってくれないかという意向があるやにも伺っておりますけれども、そういったお話は、まあ耳に少しかすめながら、私どもとしては、一応筋論として、今回このような提案をまとめてみたところでございます。

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