われわれが目指す地方分権型社会は、 ・補助金申請業務や省庁タテ割りによる業務効率化の妨げにより、コストがかかる割には、地域の実情に応じたサービスを受けることができない現在の「高コスト・低満足社会」を ・地域の総合行政化によるコスト縮減、地域の実情に応じたサービスを受けることができる「低コスト・高満足社会」に転換することである。 そのことが国民負担を過度に増やすことなく、持続的に行政サービスを提供し続ける道であり、行財政改革の「本丸」と認識している。 このため地方六団体は、補助金改革など各論の細部では、それぞれ個々の団体の利害得失があるものの、昨年来内部での議論を徹底的に行い、昨年8月と今年7月の二度にわたり「国庫補助負担金等の改革案」をとりまとめ、政府に提出したところである。 これに対して、10月17日に各省が示した回答は、いずれも地方への税源移譲を拒否するゼロ回答であり、このような行為は、「地方案を真摯に受け止める」と再三にわたり発言された総理の指示に反する行為である。 また、厚生労働省はゼロ回答であることに加え、生活保護の負担率引下げ案を提示する予定と聞いている。このことは、国民の最後のセーフティネットである生活保護の問題を、一方的に地方に責任転嫁・負担転嫁するものであり、厚生労働省と地方の信頼関係を決定的に損なう他、省益保持のためには、憲法上の疑義がある内容を安易に提案する姿勢をも明らかにしたものである。 このように既得権益に拘泥する中央省庁によって、わが国は動脈硬化を起こしつつあると感じており、地方分権改革は中央省庁を「悪玉コレステロール」から本来の「善玉コレステロール」に変えるわが国の「体質改善」と考えている。 今後、11月中の決着を目指すため、大詰めの協議が行われるが、「郵政民営化」に次ぐ「地方分権」という「政界の奇跡」を起こせるよう、総理のリーダーシップや、その総理に指名された竹中総務大臣はじめ、新閣僚の方々に強く期待するとともに、佐賀県としても、地方六団体の一員として、様々な働きかけをしてまいりたい。
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