記者会見

●質疑応答:九州新幹線西九州ルートに関する鹿島市議会勉強会への出席について(その1)
○時事通信
 冒頭ご発言があった新幹線の件ですけれども、4点ほどあるんですけど、4日に知事ご自身が行かれるということですが、どういうメッセージを市議会の方に話されるのか。
 それと、江北町も含めて、地元の最近のいろんな動きですね、それを知事ご自身どのように受けとめられているのか。
 また、いわゆる県全体としての理解、新幹線に対する理解というのがまだ十分ではないのかなと。県も広報を通じていろいろご説明をなさっていると思うんですけれども、県費負担が200億円以上生じるという中で、やはり県全体の理解というのが必要なのかなと僕は思うんですけれども、その辺についての県民全体の理解を求める動きというのはどのように考えられているのか。
 あと最後に、これは議会でも再三再四言われているんですが、いわゆる着工の条件として、すべての地元の自治体の合意というのが必要だとされているんですけれども、それについて改めて知事のお考え、要するに年末が近づいて、昨年のように、知事がやや見切り発車的な決断をして、合意ないままに決断に踏み切るんじゃないかという疑念の声もまだたくさん聞かれるものですから、それに対する知事のお考えをお尋ねします。
○知事
 まず1点目の鹿島市議会に行って、どういうことを話すのかというお尋ねでございますが、私自身があまり長々としゃべるというよりは、いろんな市民の方や期成会と併せて主催をした住民説明会などにおいて、私たちがどういう説明をしているのか、またどういう案を持っているのかということを実務的にきちんと「こういう説明をしていますよ」と申し上げることが主になるのだろうと思っております。
 ただ私は、私自身が実際に鹿島市議会に伺いまして、この新幹線の整備と合わせての並行在来線となる地域の鉄路の確保、そして、合わせた地域振興策、それをどのような決意で、どのような形でやろうとしているのか、そういうことについて私の決意のほどを理解していただく、そしてまた、内容をきちんとご理解していただく、そういう場にしていただきたいと考えております。
 次に、二つ目の昨今の動きについてでございますが、江北町の方では、既に議会の多数は新幹線整備について前向きのご判断をいただいていると理解をしておりまして、やはりこうしたことも、だんだん理解が進んでいけばそのような動きになるというものの一つの表れであると思っておりまして、大変ありがたく思っています。
 そういう中で、アンケートが実施されたりもしていくわけでありますけれども、私どもはきちんと説明させていただき、話を聞いていただければ、今県がやろうとしていることにご理解をしていただける方は必ず増えると思っておりまして、ぜひ、どんな形でも結構でありますので、呼んでいただいて、説明をする機会をつくっていただければ大変ありがたいと思います。
 また、県民的な理解についてというお尋ねでございますが、確かに県民的な理解を深める努力も必要であると思います。
 実は、今までほとんどやってきていないと思っています。地元との協議が何よりも優先されていて、確かに1回か2回ぐらい、県民だよりで説明をしたことはあったかと思うのですけれども、それ以外の具体的なやり方で県民の皆さんに対して説明をしていく、理解を求めるということをやっておりませんでした。この秋には、そういったことをやろうと思って、幾つか計画を立てていたのでありますけれども、江北町の住民アンケートがありましたので、それと同時期に行うとあんまりかなと思って、それが終わるまで遠慮しているというところがございます。
 この秋のうちには、まずは関係する地域の方々に対してでありますけれども、きちんとした形で県の考え方や地元の方が疑問に思っていらっしゃることについて、私どもなりの疑問を払拭するような、そういう考え方をきちんと提示をし、情報をお届けすることをやっていきたいと思いますし、そうすることによって、必ずや住民の方々の理解は深まっていき、賛成または容認、そういう形に思っていただける方が増えると思っています。
 江北町の方からよく伺うのは、2,700億円もかけて、もったいないではないかという話であります。さらに言われますのは、2,700億円のお金があればもっとほかのことをしたらいいではないかということであります。
 それはそれで私自身も正しい指摘であると思っておりますが、一部に誤解がありますのは、2,700億円を県が負担すると誤解されている方もいらっしゃいました。
 また、実はその2,700億円のお金を、仮に佐賀県が、つまり西九州ルートが使わないとすると、その分は北陸新幹線か北海道新幹線に行くだけの話であって、それが特定財源で行われる事業である以上、それがほかに回るということはないんだということも、実は知っていらっしゃる方が非常に少ないということも感じています。
 さらに、そうは言っても200億円近いお金、複線化も入れれば200億円を超える県民負担をしてまでやる必要があるのかというお尋ねがあるのも事実でありまして、私はそれに対してもこれだけの額を投じる、それ以上の効果が必ず21世紀の中葉、私たちの子供たち、その次の世代、そういった方たちにとって必ず「あの時につくっておいてよかった」となると私は信じておりますし、そのように説明をさせていただいております。
 新幹線の整備というのは国家的なプロジェクトでありまして、地元の同意、そして熱意、そしてまた、国の理解、そういったものがない限りは進められないものであります。今はその貴重な機会に立っているということがあると思っています。
 これからずっとこの地域に住み続ける者として、この機会に整備をしなかったならば、私は大きな悔いを残すと信じておりまして、そういったことをいろんな機会をとらえて申し上げてまいりたいと思っているところでございます。
 お尋ねの最後は、着工同意についての考え方でございますが、変わりはございません。
 私が地元市町の着工同意にあくまでもこだわっておりますのは、もろ手を挙げて賛成ということにはいかないまでも、この地域を何とかしなければいけないという県の気持ちも御理解いただいて、何とか一緒になってこの地域の振興策を実施していこう、地元としてそういう気持ちになっていただかなければならないと考えているからであります。
 そうすることによって、初めて私どもが実施を提案しております道路整備の前倒しや、また新しい道路の着工、そのほかのさまざまなご提案に対するこちらとしての回答、そういったものも初めて可能になると考えております。
 着工の同意を得られるために、私どもとしても精いっぱいの努力を今も続けていっているところでございます。いろんな意味でご理解いただく可能性が広がってきていると私は大変ありがたく思っておりまして、今後とも、さまざまな機会をとらえて、ぜひいろんな場所に呼んでいただいて、私どもやJR九州さんからの説明を聞いていただきたいと考えています。
○共同通信
 鹿島市議会での勉強会自体は非公開と聞いていまして、知事がどのような説明をされるのか、どのような質疑に答えられるのか今の時点で聞くことができないとなっているので、予想される質問をあらかじめ今聞きたいんですが、同意と地域振興策との関係で、よく理解できないとか、これは間違っているとかという話が出ているようですが、知事は同意があれば地域振興策をやると、なければやらないというお考えということなんですか。
○知事
 同意の見返りが地域振興策ですから、同意しないのにその地域振興策をそのまま実施するということはありません。
○共同通信
 じゃあ、同意しない場合というのは、鹿島に対しては程度の違いというか、ゼロか100かということですか。
○知事
 ゼロというか、何もしないということはあり得ないわけでありまして、例えば、これまでの10年間ぐらいを見ていただいても、県も鹿島を含むあの地域に対して、道路でいけば、バイパスをつくっていったりでありますとか、また、有明海沿岸道路についても、福富−鹿島間の着工については、まずは鹿島に近い側から着工していこう、そんなことも決めているわけであります。
 道路の話ばかりで恐縮ですが、広域農道も普通よりかなり早いペースで進んでいっていますし、また、南部の養護学校も塩田町にできます。ですから、もちろん地域振興策を全くやらないということはあり得ないわけでありまして、ただ、通常ベースでやっている地域振興策に加えて、特にこういう厳しい選択をしていただくことに対して、県としてどのような姿勢で臨むのかという、その姿勢の部分でプラスアルファが出てくるということであります。プラスアルファの部分は同意というものがなければ実施されないということになります。
○共同通信
 期成会との協議の中で、議員からは鹿島の状態が非常に厳しいということを強調するような資料も出ていまして、その上で、同意の見返りとしての地域振興策、同意の見返りでないと地域振興策はやらないというご提示をされているんでしょうか。
○知事
 一般的な地域振興策は鹿島に限らずどの地域にも行われるべきことであると思います。それ以外にも、例えば、合併した地域に対する振興策、過疎地域に対する振興策、さまざまな振興策はあるわけですね。それはそれで実施をしていっているわけであります。
 今回は、過疎だからというきっかけではなくて、新幹線整備の結果、並行在来線となるということを容認していただく、そこに着目をして、今非常に経済的にも疲弊しているという数字があり、そうしたものをもっと高めていくためのプラスアルファの地域振興策の提案を私どもでさせていただいているということなのであります。
○共同通信
 それと、今回は非公開ということが伝わっているのでありますが、このことについて知事はどうご覧になりますか。
○知事
 私どもはあらゆる機会に呼んでいただければ出かけていくということでありますので、呼んでいただく方の事情はさまざまであろうと思っておりますので、とにかく呼んだ方の事情に合わせてということで考えております。
 ただ、私自身が何を話したかとか、県がどういった説明をしたかということについては、それは私どもの方としては隠すことはないと思っておりますので、そういったものは伝わる形にしたいとは思っております。
○共同通信
 先ほどは沿線を中心に説明をしたいと、呼んでいただきたいということをアピールされていましたが、これは県独自で説明をされるということですか。
○知事
 今もいろんな方やいろんな集まりがあって、来てくれないかということで、事務レベルで呼ばれて説明することがあります。ですから、それを引き続きいろんな形でやっていただければというものでありまして、その時に、期成会側も一緒に呼んだ方がいいということがあれば、もちろん一緒に行くこともありましょうし、期成会からは聞いたので、今度は県から聞きたいということもおっしゃる方もいらっしゃいますし、県とだけ話をしたいとおっしゃる方もいらっしゃいますので、それは、呼ばれた際、そのとおりにするしかないと思っています。
○西日本新聞
 県民の理解を深めるために、説明会を順次考えていらっしゃるというお話しなんですけど、これは具体的に大体何回ぐらい、どこでやるのでしょうか。それと、知事が年末なりに判断を下すと思うんですけど、そこに何らかの関連があるのかを教えてください。
○知事
 ごめんなさい。ちょっと私の発言が正確でなかったかもしれません。県が主催をして、県民全体を対象にした説明会を開くということではなくて、県民全般を対象にした理解促進活動、広報活動をやっていくということであります。
 その具体的内容は今詰めている最中なのでありますけれども、何か具体的にどこかにたくさんの人に集まっていただいて説明会をやるというイメージは持っておりません。
○西日本新聞
 例えばどういうものですか。
○知事
 例えば、新聞に広告を出していくだとか、新聞以外のメディアも、例えば、県としていろいろ考えていることや、こうなりますというところを動画でつくっていくだとか、いろいろあると思います。また、県としてきちんとした説明資料も今のところないんですよね。パワーポイントでつくっている資料を相手からの質問に応じて出しているだけという状況なので、そもそも我が県としてのこの課題に対する考え方をきちんと説明する、そういう材料すら今のところないという状態なので、そうしたものをきちんとつくっていきたいということであります。
○NHK
 何かアンケートを実施するとか、そういったのはどうでしょうか。
○知事
 私たちがアンケートをやるということはありません。いろんなところでやっていただいているようなので、そうしたものは見てはおりますけれども。
○NHK
 ただ、年末に向けて、地元の同意を得るということはもちろんなんですが、県民の理解を同時に得なきゃいけないわけですよね。それを考えたときに、あと数カ月の間に理解を求めるというのは、僕からしたら非常に短いんですが、その点はどうですか。
○知事
 確かに期間は短いと思います。私たちは直接関係のある人たち、地域が優先で、一般の県民の方たちはその後と思っておりましたので、今までそういう流れになってきておりましたし、そこにお住みの地域の方々に対しても、一般的な広報というのが、それまでずっと期成会との協議を重ねておりましたので、そっちの方まで力が注げなかったというところがあったわけなんですね。
 今、私どもは期成会に対して、なるべく早く期成会の協議を、次回を開催してくださいとお願いしているのでありますけれども、なかなか応じていただいていない状況なので、こういう時をとらえて、もっときちんとした、まずは沿線地域の方々に対する理解のための材料をきちんと提示をしていく、そして、そういう機会をいろいろつくっていただいて、そこに行くことによって理解をしていただく、そうした流れがだんだん見えてくれば、沿線地域の方々のお気持ちも変わってくるんじゃないかと思っていますし、そういったものと併せて、県民の方々へのご理解をお願いするようなこともやっていきたいということになったということなのであります。
 確かに期間は短いし大変なんですが、だからといってやらないというのではなくて、短くて大変なんですけれども、それでもやる意味はあると思いますし、そのことによって少しでも理解が深まるように努力をしていきたいと、この言葉に尽きます。
○NHK
 その具体的なやり方がちょっとわからないので、見えないというのもあるんですが、2カ月で県のこれからの将来がかなり変わると思うんです。そういうことは、たかだか1カ月か2カ月ぐらいで意見が集約できるのかという疑問と、それでやっていいのかというのがあるんですけれども、そこはどうですか。
○知事
 最終的には私の責任でやるということでありますので、どういう集約の仕方をし、着工ということになるのかについては、最終的には私の判断でやっていくということになります。
 ただ、私が判断をやっていく際に、地元の同意の状況はどうか、県民の理解の状況はどうか、そういったことももちろん十分見ながら判断していくということになりますので、大変難しいことではあると思うのでありますけれども、この機を逃せばほかがないということになっていけば、それはそれで一つの判断材料になるのではないかと考えています。
○日経新聞
9月28日からいわゆる再々協議、これがスタートしたと思ったらほとんど1カ月とんざしていると。肝心の期成会との話はどのような状況なんでしょうか。どう思っていらっしゃいますか。
○知事
 私自身は、再三にわたりまして協議を早く進めるようにということで申しておりますし、指示をしております。担当者の方からも折に触れて、例えば、前回の期成会の時に、地域振興策を議論するためにワーキンググループを設置してはどうかという提案をさせていただいています。それに対する返事はどうなったんでしょうかと聞いているのでありますけれども、その返事が得られていないという状況で、そういう状況の中で次をやるのが難しいということでやや時間がかかったと聞いております。
 ただ、そうは言っておられませんので、さらに再三にわたって期成会との協議を再開していただくように、また担当者には指示をし、かつ、そのことを期成会側にも伝えているところなんですが、期成会側からは、現時点では次の具体的な協議日程をいつにするという返事はいただいておりません。
 私どもとしては、ぜひとも一日も早く次回を再開していただきたいと思いますし、私どもが提案したワーキンググループの設置というものに対してもお答えをいただきたいと思っております。
○共同通信
 次回の協議の日程が決まらないのは、先ほども出ました説明会の進行の件で、県が独自でやったものに対して、期成会側が双方同席の上でやるという話だったじゃないかということで、そこの約束事の確認のために次回の協議日程を詰められないでいると聞いていて、今の知事の説明とは違ったように聞いているのですが。
○知事
 それは違いますね。そういう状況は鹿島市議会の話が出る前からです。鹿島市議会の勉強会の話が出たのは最近のことだと思います。
○共同通信
 いや、市議会の勉強会とは別に、地域の説明会のことで互いに同席するのがルールじゃないかと言われていたという話なのですが。
○知事
 いや、説明会はやっていません。私たちは、いろんな場面でいろんな人たちから来てくれと言われることがあります。来てくれと言われて行くことは、それは妨げませんよねと私たちは考えているところなんです。それはもともと協議をスタートするとき、再開するときにも、私たちはそういう前提で理解をさせていただいているということでありますし、そのことは向こうに伝えています。つまり、それがそうでないとすると、例えば、鹿島の方が私と話をするということ自体も、期成会に通告をしなければいけないのかということなんです。
 佐賀市内で私が鹿島の人と会うことがよくあります。だけど、そのときにも期成会に言わなければならないのかということです。
○共同通信
 県側がそういう認識を持っているということは私も聞いているんですけど、期成会側からの認識のずれを埋める作業をしなくてはいけないと。でないと、次の協議ができないのではないでしょうか。
○知事
 そういうことは要らないと思います。
 そういうご主張であれば期成会の場で言っていただければいいではないかと思っているんですよ。何で期成会をしたくないとおっしゃっているのかがわからないんです。そうやって県はおかしいじゃないかとおっしゃるのであれば、それを期成会の場で言っていただきたい。それに何で抵抗しておられるのかがわからないんですよ。

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