記者会見

●発表項目:平成17年度当初予算案について
 おはようございます。それでは、平成17年度の当初予算案を発表いたします。
 まず、基本的な考え方についてであります。
 「厳しい財政状況」という言葉は、もう耳なれてしまいましたけれども、景気が回復、その後、一服感というのがあるわけでありますが、我が県の税収は伸び悩むという現実があります。
 また、既に予算規模を上回る県債残高があり、その公債費が高い水準である程度推移をしていくということが見込まれています。
 そういう中で、昨年策定をしました緊急プログラムを着実に実施していかなければならないということで、今回、行財政改革の一環としての緊急プログラムにどう対応していくかということを一つの柱として置きました。
 また、大きな柱として、去年の4月に新しく本部制を導入いたしまして、各本部において、予算編成、人事異動、そういったものについての一定の権限を本部の権限にしたというものがありまして、本部制による初めての予算編成ということが特徴でありました。
 平成17年度の予算編成は、「行財政改革緊急プログラムの着実な推進」、そして「『重点実施項目』関連施策への予算重点化」、それと「各本部の経営判断に基づく事業選択」、この三つを柱として編成いたしました。
 では、具体的に各本部の予算編成をどのようにやったかといいますと、まずはそれぞれの本部に枠配分をいたしております。
 枠配分というものは、枠配分対象経費というのが大体各本部の経費の3割から4割ぐらいあるわけでありますけれども、それをベースにして枠配分を、経常経費については15%減でありますし、補助単独の投資的経費については5%減という形で枠配分をいたしました。そして、その後に、平成16年度の使い残し予定額、これは各本部の方で使っていいということにしておりますので、使い残し分を加えます。そしてまた、職員を計画以上に自主的に削減する場合には、1人分の人件費を 800万円とカウントして、予算要求をしていいということを認めております。
 具体的にどういうことをするかといいますと、今までは人事課が人員の数の査定をします。財政課は予算の査定をしますけれども、実は、人事課と財政課は全く連動しておりませんでした。
 例えば、今まで正職員でやっていた経費を、臨時職員で、アルバイトで対応しようとする場合、正職員で対応している分には財政課の査定する予算はゼロです。ところが、アルバイトにしようと思うと、そこに賃金職員の物件費の要求を担当課がしなくてはいけません。それは財政課から見れば、コストのアップというように映ります。本来は、トータルで、県全体として見ればコストダウンになるものが、ばらばらに査定をしていたことによって、あたかもコストがアップするかのように映っているという実態がありました。それを、今回本部制を担当したことによりまして、予算と人員、それぞれ全体を本部がマネジメントいたします。
 したがいまして、この仕事については、もう正職員でやるのをやめて、そのかわり臨時職員2人でやっていこうとか、臨時職員とか嘱託1人でやるけれども、その分差額が出ますので、その差額を事業費に回していこうとか、そのようなことが生まれてきたというものでございます。
 単純な話でいきますと、例えば、経営支援本部においては、これは県税関係でありますけれども、課内の業務の見直しで定数を1名減らしました。それをもとにして 800万円配分されることになります。そして、今正職員がやっている部分は、他の正職員がとにかくやれということで兼務をさせて、そのかわり、県税の徴収強化のために嘱託徴収員を 230万円掛ける3人で 690万円かけて雇うことになったということによって、 800万円の配分をこのように使えることになったわけです。
 また、くらし環境本部のくらしの安全安心課ですけれども、今、正職員がやっている業務を嘱託に変えました。その分、アバンセの女性相談員を増員することによって、今まで月曜日の体制が薄かった分を強化することができました。
 このようなことが可能になっているというものであります。
 そういうことで足し算をしていきまして、最終的に使用可能額というのが出てきます。この使用可能額を要求できるわけでありますけれども、実際にすべての額を要求したわけではございません。
 例えば、当初予算ではこれぐらい要求するけれども、補正用にとっておこうというものもございます。また、平成17年度はそれほど大きな事業がないけれども、平成18年度には大きな事業があるので、そこに向けてとっておこうということで、年度間調整という形でとっておく本部もあります。また、補正財源でとっておく本部もあります。
 このようにして、各本部がそれぞれ、自分たちに与えられた予算枠を自分たちの創意と工夫で予算要求をし、当初で要求し尽くすというところもありますけれども、し尽くさずに補正にとっておくというところもあれば、来年にとっておくというところもある。そのような予算編成になったというものが大きな特徴でございました。
 予算案の概要でございますけれども、一般会計においては 4,270億円、昨年に比べて 2.6%の減となっています。平成13年度以降5年連続の減になっておりまして、ある意味減には慣れっこになってしまったところもあるわけなのですけれども、ピークでありました平成12年度には 4,937億円と、 5,000億円近い規模であったわけでございますが、それが既に 4,270億円ということで、 667億円ほど減ってきたということになります。
 また、特別会計が 857億円と大幅な増になっておりますけれども、これは、ある意味技術的な内容でございまして、借換債というものを導入することになったために、公債管理特別会計というものを新たに設置することにしたということがございまして、内容的に大きな変更があるというわけではございません。
 そこで、今回の予算が緊急プログラムとどういう関係になっているかということについて、若干説明をさせていただきたいと思います。
 先ほど説明しましたように、当初予算では 4,270億円、補正見込みでは大体55億円の歳出を見込んでおりまして、最終的には、歳出ベースで 4,325億円ぐらいになるのではないかと考えております。
 これを緊急プログラムと比べてみますと、歳出で見れば、12億円歳出が下回っておりますけれども、これはなぜかというと、NTT債というものがいまだに償還が続いておりまして、それを平成17年度に返す予定だった分を平成16年度中に返してしまうということが、これは国全体の方針の中でありまして、その結果、緊急プログラムを12億円下回る歳出規模になっているというものであります。ある意味では、ここは技術的なもので、そんなに大きな変化はないというようにご理解いただければと思います。
 一方で、歳入でありますけれども、歳入は、緊急プログラムに比べて61億円減となっております。これは、臨時財政対策債と交付税を合わせた交付税総額のようなものが予定より24億円少ない、県税が25億円少ない、土地売払収入等が12億円少ないということで、歳出も緊急プログラムを下回っていますけれども、歳入も緊急プログラムを下回っておりまして、合計で49億円、緊急プログラムに比べて財源不足となっております。
 緊急プログラム上の収支試算では 121億円足りないと言っていたものが、私どもの現在の試算では 170億円足りないということになるわけでございます。
 そこで、足りなくなる分はどうするのかというと、もともと最初から、財政調整用の基金を 120億円程度は取り崩さなくてはいけないと思っていたのでありますけれども、この取り崩しの額を増やすことといたします。
 また、もともと起債を充てずに一般財源でやろうとしていた投資的経費の一部について、県債を充てることにしまして、この 120億円を 140億円、19億円増やしたということと、30億円新しく起債をはめたということで、合計で49億円分足らない分を対応するということにしているわけでございます。
 また、三位一体の改革との関係でございますが、今回、恒久措置として決められたのが、国民健康保険の都道府県の負担の導入や、養護老人ホームの措置費でありますとか、暫定措置として、義務教育費の国庫負担金が一部一般財源化されているわけでありますけれども、税源移譲に結びついた改革、1兆 1,239億円が全国ベースでありますが、佐賀県への影響としては、県負担の増が78.2億円あります。つまりは、特定財源が一般財源になることによって減った、特定財源が78.2億円ということになります。
 一方で、今制度的に予定されております税源移譲は65.3億円でありまして、あと約13億円分が税では足りないということになりますので、この分は交付税で調整することになります。本当に交付税で調整されるのかということについて、我々も注視しなければならないわけでありますけれども、制度的には、今回の三位一体改革による税源移譲といいましょうか、補助金の一般財源化分については、つまり 100%を交付税できちんと措置をするということが決められておりますので、これはきちんと13億円分は交付税で措置されるものと私どもとしては理解をしているところでございます。
 ここで見ていただきたいのは、補助金のうち、養護老人ホームと国民健康保険という部分が圧倒的に多いということでありまして、さらに中身を分析しますと、国保にかかるものが圧倒的に多うございまして、私どもとしては全く望んでいなかった国保の制度における都道府県負担というものが、今回の補助金の一般財源化のメインになってしまっているということが見てとれるわけであります。
 また、公共事業や奨励的な補助金の1兆 489億円分については税源移譲が全くされずに、いわゆるスリム化分ということで、事業を単に減らしただけと。地方が要らないというんだったら、では、事業をやめましょうということでゼロになっているというところでございます。
 こうしたものを見ていただいてもわかりますように、長期の共済についても、老人ホームの措置費についても、いずれも義務的な経費が中心でありまして、こうしたものを一般財源化されたからといって、地方の自由度は高まらないという問題点があります。
 平成17年中には、義務教育費の取り扱いや生活保護、児童扶養手当の取り扱い、こうした大物をどうするかということが問題になってまいりまして、これをどうさばくかというのが、本日決定される全国知事会長さんを始めとするところの地方六団体の大きな課題になろうかと思います。
 また、平成18年までの、つまり来年までの課題として、第2期改革についてどうしていくのか。やるのかやらないのか。やるとすればどういう内容をやっていくのかということでありますとか、地方の中期財政ビジョンをこれから作っていかなくてはいけないということでありますとか、交付税のそもそも論でありますとか、そういったものが問題になっていこうかと思います。
 平成16年度の三位一体改革の結果は、ある一定の結果はあったかと思いますけれども、真の意味で、地方の自由度を高め、県民の満足度を高める内容にはなっていないと評価をしております。
 そこで、私どもでできることからということで、自由度を高め、満足度を高めるという観点から、今後、平成17年度においては、県単独で行っています補助制度の使い勝手をよくする取り組みを実施することといたします。
 例えば、補助金の申請書をかなり何枚も、かなり細かな内容を書いていただいているというものを簡単にするということであるとか、補助の要件や補助対象経費を作っていくときに、利用されている方のご意見を反映するような形にしていくということでありますとか、補助金の交付決定や、お金をお渡しする時期を早くする、または迅速化する、そういったことをやっていきたいと思っております。県そのものの制度を県民ニーズに沿ったものにしたいと思いますし、また、年度途中であっても、変えた方がいいというものがあれば、それは変えるようにしたいと考えているところであります。
 次は当初予算案のポイントに移りたいと思います。
 まずは、重点実施項目の着実な推進についてであります。
 重点実施項目、選挙のときにマニフェストと言っていたものでございますけれども、49項目87小項目のうち、昨年の12月末の時点で、実施済みが既に21項目、工程表どおりに進んでいるというものが62項目、遅れているというものが4項目あるという認識をいたしております。
 そういう中で、重点実施項目に対応した事業を 155件、約 107億円分、今回の予算案に計上いたしております。うち新規は27件、約1億 6,000万円でございます。
また、これまで工程表から遅れていました項目で新規に予算化するものが幾つかございます。例えば、コミュニティビジネスについては、ある意味簡単と言えば簡単なのですけれども、地域のいろいろな活動をビジネス化していくことを今回支援していきます。民間の支援組織からアドバイスを受ける形でやっていただこうというものでございます。
 また、佐賀県版のデュアルシステムという、これは職業訓練の事業を実施することにいたします。デュアルというのは、複数の、二つのという意味でありますけれども、座学と企業実習を組み合わせたということでデュアルシステムと言っているわけでありますけれども、特に私どもで考えておりますのは、デジタルコンテンツ産業の基盤となる若手IT人材ということで、民間に訓練を委託いたしまして、今もウェブデザイナーの養成コースは20名でやっているわけでありますけれども、ITプロフェッショナル養成コースと題しまして、システムエンジニアとして必要な能力を身につけていただく方を佐賀県内に養成しておこうと、そういうことで今回取り組むものでございます。
 また、その他の主なものとしては、例えば、チャレンジドの方にだれでもパソコンが使えるようなことを10カ年戦略でやっていきましょうということにも取り組んでまいります。
 身体や知的や精神、そして難病をお持ちの障害者の方々に対して、私は、ITというものは、一つには生活が豊かになり、一つにはこうしたものを自分の能力として身につけることによって働く場を、働く可能性を広げることができると考えております。
 障害者の方は全員で約1万 8,000人いらっしゃるのでありますけれども、10年間のうちに全員がパソコンを使えるようになるということを目指そうではないかということで、今回、このような取り組みをスタートいたします。
 いきなり全員の方に教えると言っても無理がありますので、まずチャレンジドの方にパソコンを教えることができる人を養成していきます。 500人程度養成をいたしていって、その方たちがそれぞれの地域、分野でパソコンを使うことができるチャレンジドの方を増やしていただくということを目指しているものであります。生活を豊かにすることと、雇われる可能性を高めることの二つの観点で、こうしたことに取り組んでいきたいと思っているものでございます。
 また、このほか、シンクロトロン光の関係、シニア起業の関係、そのほかさまざまございますし、水素エナジー関連の産業の育成というものも、今回の新規の中に入れているものでございます。
 また、予算そのものに関係するわけではございませんが、重点実施項目に掲げていたものの一つとして、佐賀県の経済特区を作っていこうというものがございましたが、それを今年の4月から創設をしたいと考えております。
 私どもが企業にヒアリングをしたところによりますと、いわゆる助成金を 100億円出すとか、50億円出すということも、それはそれで大変ありがたいけれども、むしろ、運営コストを削減するという観点からは、税制面での優遇措置を要望する企業の声が大変多うございます。実際には、毎年払っていただく企業からの負担としては、固定資産税が一番メインになってくるわけでございまして、そういう意味もありまして、市町村ともいろんな形で意見交換をしながら、今回、佐賀県企業立地の促進に関する条例を制定することといたしております。
 「五免五減」というのが一つのキーワードでございまして、県税の事業税、そして、不動産取得税を5年間は免除いたします。そして、残る5年間は減免、つまり、まけていきます。免除というのは、 100%ただということでありまして、減というのは、それを優遇していきますよということでございます。
 これは、企業立地補助金との選択制にして、そういう補助金がいいか、税の特例がいいのかということを選んでいただくようにします。そして、特区の指定は市町村に申し出ていただくことにして、知事が指定する方式で3年間ということで、その間の企業の立地を促進していこうというものでございます。
 県だけではなくて、市町村においても、固定資産税の五免五減や、各種補助などの優遇措置を実施して、つまり、県と市町村と一緒になって、税の面での優遇をしていきたいと思っております。
 こうした形で、税の減免に本格的に取り組みますのは、全国初でありまして、その意味でも、企業の方々からも注目していただけるのではないかと思っているところでございます。
 次に、直面する課題への戦略的な対応でございますが、ここら辺については、それぞれ個別の事業になってまいりますので、質問があれば答えるという形で、表題だけ見ていただければと思っております。
 2番目が福祉・医療・安全という観点から、また、3番目が佐賀県としてのブランド構築、そして、4番目が環境先進県づくり、5番目が人づくりということでそれぞれの事業が進められることとなっております。
 また、予算とは若干観点が違いますが、県民サービス向上というところから、九州陶磁文化館、名護屋城博物館、宇宙科学館、こういったところにおいて、今年の4月から開館時間を1時間延長することといたしました。これについては、職員のシフトで対応することとしておりますので、人件費等の追加的な費用というものは発生いたしません。1時間分の電気代がかかるというところでございまして、人的なものについては、職員のやりくりで対応させていただくということにしております。
 なお、これは既に実施をしているものでございますが、九州陶磁文化館については、焼き物の関係者の方から、月曜日が休みだと月曜日に来られたお客さんが案内できずに困るというふうな声がありました。そこで、2月7日月曜日の閉館日から、仮に休みの日であっても、あらかじめお話があればご案内しますよという対応をとっていただいております。
 次が相談窓口の充実についてでございますけれども、相談員を消費生活センターや女性センター、婦人相談所、こういったところで増員をいたします。児童相談所において相談時間の延長をいたします。
 また、いよいよ電子申請が始まってまいります。このことによって申請事務が効率化しますので、40項目について手数料の引き下げを実施することといたします。本来、手数料というのは、手間がかかる手間賃でございますので、電子申請によって手間がかからなくなればなるほど、その分だけ手数料が下がるというのが原則でございますので、それに従って措置をしたというものでございます。
 こういう形で予算編成を今年いたしました。予算編成を終えた今、感じておりますのは、15%という大変厳しい削減率に基づく枠配分の中で、第一歩に着手したわけでありますけれども、これを今までのようなやり方でやっていたのでは、なかなか予算が作れなかったのではないかと思っております。本部にある程度の権限を移譲したからこそ、自分たちで自律的に、何とか枠内におさめなければいけないという努力をしていただいたということで、ある意味、人任せにするのではなくて、自分たちで責任を持っていかなくてはいけない、そういう方向になったということは大変大きな意味があったのではないかと思っております。
 また、本部にお任せをしたということで、現場から出てきた意見、現場の創意工夫を生かした予算をある意味実現できたのではないかとも思っているところでございます。
 ただ、そうは言うものの、何せ初めての経験でございまして、この予算編成のプロセス自体をすべての職員がよく理解したというところまではまだ至っていないと思います。これを初年度として、これからもこういう気持ちのもとで予算編成をしていきたいと思っているところでございます。


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