記者会見

●発表項目:県立病院好生館の移転先予定地について
 それでは、ただ今から県立病院好生館の移転先予定地を発表いたします。
 移転先予定地については、移転先候補地6カ所を選定しまして、検討した結果、移転先の予定地をアバンセの北とすることと決定いたしました。
 その周りには図書館があり、アバンセがあるわけですけれども、その間などにT字型になっている土地があり、その面積が全部で3万 5,000平方メートルほどございます。また後に申し上げますけれども、県立病院をつくるのに必要な敷地面積は、大体こういう市街地で駐車場込みで2万 5,000平方メートルぐらいと私どもは考えておりまして、横に広い部分だけで大体2万 7,000平方メートルぐらいございます。この部分のほかに、全体を建物、敷地として調整していくための敷地が必要ですので、3万 5,000平方メートル全体を今回の県立病院予定地と考えたいと思っているところでございます。
 また、もと線路敷のあったところが今全く使われておりませんので、この部分については、県立病院の職員用の駐車場などに使う予定にしております。
 また現在、この辺は市立図書館やアバンセの利用者の大体 200台分ぐらいの駐車場に使われておりますけれども、その分については、市立図書館駐車場分と合わせて、ここの部分につくっていくことにいたします。ですから、現在、駐車できる台数は確保できることになります。
 これはあくまでもイメージでございますけれども、中央診療部と呼ばれるところが、大体3階建てぐらいになります。そして、4階から8階までが病棟ということで、合計大体 500床程度の病院になります。その隣に3階建ての立体駐車場をくっつけるようにつくりまして、屋根をつけますので、雨の日にも濡れずに外来の中央診療部と行き来ができるようなイメージをしています。これはあくまでも具体的な設計までのイメージでありますけれども、このようなものであるということでご理解ください。
 以上が今回決定した場所と建物のイメージであります。
 では、続きまして、なぜここにしたのかということについて、これからご説明申し上げます。
 まず、病院整備の基本的な考え方でありますけれども、基本構想報告書において、高度専門医療、3次救急医療、急性期医療、この三つが提言されました。私どもとしては、この基本構想報告書で提言された医療的な役割についてはすべてクリアしなければいけないという考え方のもとに、病院を整備するという方針を立てております。
 また、基本構想の段階では、7万 5,000平方メートルという数字がございましたけれども、具体的に何にどれだけ必要なのかということについては分析がございませんでしたので、私どもの方で県立病院の移転に最低限必要な敷地面積を分析してみました。その結果、市街化区域の場合においては、建ぺい率が80%以上、非常に密集している都市の中心部においては2万 2,000平方メートルぐらい敷地面積があればできます。建ぺい率が60%の地区であれば大体2万 5,000平米ぐらいあればできますという判断に立ちました。
一方で、郊外でありますところの市街化調整区域の場合には、その建ぺい率や容積率により、大体4万 1,500平方メートルぐらいあればできるだろう、このような判断に立ちました。
 より具体的に言えば、このような形で、類似の病院例ですとか外来の駐車場ですとか、そういったものを考えた上で計算をしているところでございます。
 次に、そういう前提に立った上で具体的な選定方針を八つ立てました。
 一つ目の「アクセス道路の利便性」から「市街地としての将来の発展性」までの五つは、既に基本構想報告書に示された観点であります。
 その次に、「市街地の空洞化防止」の点については、これは私が1年前の2月議会において、移転の決定をした際に「公共施設はできるだけ市街地にあることが望ましい」という考え方を追加したことによって加わった観点であります。
 さらには、当たり前のことでありますけれども、敷地面積は確保されなければなりませんし、また、財政事情の大変厳しい中での建設ということになりますので、できる限り事業費を抑制しなければいけない、こういう八つの方針のもとに選定をいたしました。
 私が1年前に付け加えました「公共施設はできるだけ市街地にあることが望ましい」という考え方について、ここで若干ご説明をさせていただきます。
 皆さん方も感じておられるように、車社会が進展したり、公共施設やオフィスなどが流出した結果、中心部が随分空洞化しております。私は中心市街地というものは、高齢化や環境問題、そういったことを考えたときには、一つには地域のシンボルとして、二つ目には地域経済の基盤として、三つ目には職・住一体となったコンパクトなまちづくりのため、そして、四つ目には、既に整備されたインフラをリニューアルすることによって使える、つまり環境負荷や財政負担の低いまちづくりができるということ、五つ目として、公共交通機関の利便性が高いということによって、車だけに頼らずに移動ができるという意味で環境への配慮ができる、このようなことが可能であると思っております。
 私は、中心市街地がその役割を果たして活性化していくためには、今後の公共施設の配置はできるだけ市街地へということを基本的にまず考え、そうは言うものの、きちんとした敷地が見つからない、適当な場所が見つからない、そういうときについては無論、市街地以外の場所に立地していくということも当然必要になってくるわけでありますけれども、まずは基本的にはこういう考え方を持つというのが、私は21世紀の公共施設の立地にとって必要な考え方ではないかと思っているところでございます。
 そこで、具体的には、佐賀駅前ゾーン、アバンセ北ゾーン、兵庫ゾーン、本庄ゾーン、鍋島ゾーン、嘉瀬ゾーンと6か所について検討をいたしました。
 それぞれの箇所について、利点もあれば、マイナス面もございます。そうやって総合的に検討した結果、検討する材料は先ほど申し上げた八つの視点でありますけれども、総合的に見たときにアバンセ北が最も望ましいと私どもは判断をいたしました。
 大きく申し上げて、理由は四つあります。
 一つ目が、道路アクセスがよいことであります。地図は県全体のものではありますけれども、アバンセ北はここになっていきますけれども、地域高規格道路でいけば、佐賀唐津道路がこのように通っていきます。有明海沿岸道路はこう通っていきます。そのようなことを考えて、さらに後でまた詳しく見ますけれども、私どもとしては、県内どこからでもアバンセ北この場所は来やすい場所であると考えております。
 より具体的に申し上げますと、アバンセ北はここになります。これが北部バイパスであり、ここが南部バイパスになってきます。武雄方面から来る場合は大体ここを通られることになると思います。また、小城や唐津方面からは北部バイパスを通って来られることになると思いますが、北部バイパスとの交差点ぐらいからは大体7分ぐらいで来ることができます。また、現在、アバンセ北の東側はずっと4車線化の工事を行っておりますけれども、この病院が新しく開院するまでは、南部バイパスのところまで4車線化が可能になります。さらには、将来的な計画としては、このさらに南側にある有明海沿岸道路まで4車線化が完成することとなっておりまして、そうしますと、南側の有明海沿岸道路から北にあります大和インターのある長崎自動車道に至るまでの区間がすべて4車線道路で整備されることになりまして、非常に道路のアクセスがよいということが言ってとれようかと思っております。
 次に、この場所は道路のアクセスがよいだけではなく、公共交通機関も使いやすいという点であります。これは16年9月に好生館にどうやって来ていますかということでアンケートをいたしました。確かに自分で運転するという人が多いのは多いのでありますけれども、60歳未満と60歳以上で分けてみますと、自分で運転するという人が60歳以上は大きく減っていきます。そして、バスやタクシーを使っている人や、人に運転してもらっているという人が増えるという傾向が見てとれます。
 さらには、移転先を決めるに当たって重視してほしい交通手段というものを同時にアンケートいたしましたが、60歳未満の場合には、確かに自家用車の利便性というものが7割を超えておりますけれども、60歳以上になりますと、自家用車の利便性は半分強でありまして、バス、そしてJR、こうしたものの利便性について考えてほしいという人が4割近くいらっしゃいます。私どもはこれからこういう病院をお使いになる高齢者の方が増えていくだろうということを考えますと、こうしたバスやJRの利便性というものも決して無視できないものがあると考えているところでございます。
 そこで、このアバンセ北付近のバス路線の状況を調べてみました。
 午前8時から午後8時までを調べてみますと、合計で85本、大体1時間にして約7本、この周りをバスが走っております。路線も三つございます。こうしたことからも、大変使いやすいということが見てとれようかと思います。
 確かにこれ以外の場所であっても、病院が立地することによって新しくバス路線ができるという可能性はあります。しかしながら、現に同じような病床数でできています佐賀大学附属病院については、これは病院行きは1路線でありまして、1時間に2本程度となっております。同じ程度の病院ができるということを考えますと、全く今までバスが走っていなかったところに新たにバス路線が整備されるにしても、大体1時間に2本程度ではないかということが予測できまして、現時点においても既に7本程度あるというアバンセ北の利便性には及ばないものがあると考えております。
 次に、3番目の理由でありますけれども、敷地は先ほども申し上げましたけれども、既にすべて県有地と市有地であります。
 こういう土地が活用できまして、しかも、この場所は上下水道の社会資本が整備されておりますので、こうしたことから新しく移転に要する事業費を低く抑えることができます。また、中心市街地の空洞化防止という観点から見ても、これは中心市街地に隣接した場所であるということで、中心市街地の機能確保への寄与が期待されるということも考えています。
 経緯については、基本構想の報告書が出た後、私は平成15年の6月に、まずは本当に移転が必要なのかどうかということについて立ちどまるという考えを表明しました。そして、県内8か所で県民の意見を聞くということをやりました。その結果、私どもなりにも検討を加えまして、県立病院は移転して改築することとする。移転先は佐賀市内で、その際にはまず市街地またはそれに近いところでできないのかという検討結果を表明したところでございました。
 まずは現地での改築という可能性にチャレンジしてみましたけれども、なかなか難しいということで移転改築することとなったものでございます。
 説明は以上でありますけれども、この場所について、さまざまな議論を我々の中でもしておりましたし、また、県民の方からも伺っている中で出た幾つかの質問について、あらかじめお答えをしておきたいと思います。
 まず、時々聞かれます議論に、「どん3の森の空地は、地震等の災害時の周辺住民の避難所として確保しておくべきではないか。」というお尋ねであります。
 佐賀市の地域防災計画では、このアバンセ北を含む神野地区では、神野小学校、成章中学校、そして城北中学校などが避難所として既に指定をされております。私どもとしては、これだけの場所が指定されていれば、防災計画上はこれで足りているのではないかと考えております。
 また、この空き地というのは、もともと施設用地として何らかの形で使われるという前提になっておりました。平成3年に案をつくったときには、ここにインテリジェントビルをつくるであるとか、ホテルをつくるということであるとか、そのように何らかの形で公共的な利用をしていくという前提で、この敷地の利用プランが立てられております。
 今回、防災のための空地として確保するという考え方をとりますと、将来にわたって建物をつくらないという意思決定をすることになるわけでありますけれども、私は、それよりも防災空間については既にこの周辺に整備をされており、また、実際に防災ということを考えますと、災害拠点病院である県病院がここに立地するということは、この場所そのものを考えたときには、むしろ防災機能は高まるのではないかと考えております。
 先ほど3階建ての屋根つきの立体駐車場を整備するということを申し上げましたけれども、この場所は仮に災害が起きた場合には柔軟に活用できる場所となり得ます。いろんな症状のけが人の方が来られたときに、この方は重症、この方は中傷、この方は軽傷というように最初にまず分類をして病院の中に運び込んでいく作業のことをトリアージといいます。そういう整理をしていって、重症の患者から診療をしていくわけでありますけれども、そういった作業が立体駐車場を使うことによって十分に可能になると考えておりまして、その意味でも、私どもはこの場所を防災用の空地としてとっておくのではなく、このような活用方法にするということが、むしろ防災的に見ても寄与するものではないかと考えています。
 次のお尋ねとして、「図書館、アバンセ、公園があるどん3の森に病院は似合わないのではないか」ということでございますけれども、繰り返しになる部分もございますが、もともとはここは、いろんなビルですとか、ホテルですとか、そういった人々が出入りするものをつくろうということで、この土地を市と県で取得したという経緯があります。その観点からしますと、ここに人が集まる施設をつくるというのは、この土地を取得した経緯からしても、決しておかしくないと私たちは考えています。
 また、まとまった土地として3万 5,000平方メートルありますが、先ほども申し上げましたように、病院そのものに、病院と駐車場合わせて必要な敷地は大体2万 5,000平方メートル程度でありますので、今、緑地として確保されている部分を十分に生かすことも可能でありますし、これから、例えば、患者さんの方が周りを散歩したりするようなことを考えるについても、きちんとしたというか、一定の緑地や緩衝帯をつくっていきたいと考えております。入院患者さんの療養環境や、アバンセ、図書館との調和という点も考慮しながら計画をつくっていきたいと考えているところでございます。
 また、「駐車場が困るのではないか」というお話でございますけれども、これも繰り返しになりますが、今の駐車場はアバンセが東側と南側に 120台、市立図書館が図書館西、地下駐車場、北側に 280台分ございます。さらにそれに加えること 200台分が、アバンセの北側にあるところが実質的に駐車場として利用されています。
 こういう駐車場の部分については、もちろん地下駐車場の部分であるとか、周りにある部分は今までどおり使えるわけでありまして、さらに市立図書館の駐車場として使われている北側の 4,500平方メートルの敷地の中で立体駐車場などを整備していきまして、今の駐車場の台数を確保していきます。また、そうなりますと、駐車場からアバンセまで若干距離が出てきますので、そういった場所は遊歩道で結ぶといったことをしていきたいと考えております。
 また、「ここに病院ができると、渋滞している道路がますます混雑しませんか」ということもよく伺いますけれども、先ほど申し上げましたように、いわゆる紡績通りと呼ばれております通りは、平成24年度までにはすべて4車線化されていきます。交通量は相当多くの量をはけることになります。私どもとしても通行量の推計をさせていただいておりますけれども、私どもの推計によっても混雑はそれほどないものと考えております。
 ただ、交通混雑等については、さらに詳しく専門家を入れて精査をしていきたいと考えておりまして、いろんな状況の変化があった場合に、例えば、4車線化なら4車線化の工事を進めていく中で、例えば、右折のレーンを確保した方がいいとか、右折の信号をつくった方がいいとか、そういうことがあれば、そういう工事の中で対応をしていきたいと考えているところでございます。
 また、「「駅やバスセンターに近い」と言うけれども、約10分ぐらいかかりますので、歩くには遠すぎるし、タクシーを使うにも中途半端ではないか」というお考えもあります。確かに中途半端といえば中途半端ですが、近いと言えば近いわけでもございまして、このバスも7路線ございます。タクシーも佐賀駅やバスセンターから1メーターで行けます。そうしたことを考えますと、やはりどうしてもその場所だけに行くことが目的になる場所よりは便利だと私は言えると思っております。
 一番便利なのは駅前でありますけれども、ここはそもそも敷地が足りませんでしたので、その意味ではアバンセ北が一番いいのではないかと考えています。
 また、「救急車のサイレンやヘリの騒音で、静かなはずの図書館の環境が台なしにならないか」ということでございます。
 救急車は、一番多い年末年始で1日6件から12件程度、年間平均では1日4、5件ということになっております。ドクターヘリは県全体で月に2、3件でありまして、このうち、好生館への搬送はこの一部と見込まれますが、これについては人命救助という観点からご理解をいただきたいと考えます。
 また、施設を配置していくに当たっては、救急車の進入路を図書館から離れたところにしていくということでありますとか、ヘリポートを屋上に持っていくというようなこともしまして、騒音対策に配慮した施設計画に努めていきたいと考えているところでございます。
 私の方からは以上であります。


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