記者会見

●質疑応答:九州新幹線長崎ルートについて
○NHK
 新幹線の関係の話なのですが、鹿島市との協議の進捗状況と今後の方針についてお聞かせください。
○知事
 現在、協議を再開するため、様々な条件の詰めを行っているところなのですが、なかなかお互いの接点がまとまっておりません。
 主なポイントとしては、協議の重立ったところは話はまとまりつつあるのですが、鹿島市長さんが会長を務められている期成会を交渉の窓口として、個別の自治体には当たらないでほしいというのが向こうからの意見であります。
 ただ、私どもは、それぞれの自治体によって置かれた状況も違いますし、そこを一切やるなということで縛られると、きちんとした交渉ができなくなるというので、それを条件にするのはいかがなものでしょうかということを私どもは申し上げております。
 県の基本的な考え方としては、できるだけ広い形で、説明をさせていただきたいし、また、いろいろな方々からのご意見をいただきたいと思っています。窓口を絞ってしまって、そことしか協議をしないという形になるのは、私は地域住民の方々の知る権利ということを考えても、本当にそれでいいのだろうかと思っています。
 沿線住民の方々も県民でありますので、私たち県組織というのは、沿線住民の方々にきちんと説明をする責任を持っていると思っています。もちろん、正式な住民説明会などを行うことはできますが、そういう正式な形でなくても、さまざまな団体やグループなどからもお話があったり、また、話を聞きたいという意見もありまして、そういうことまで制限されるということになると、私どもとしては協議を進めていくというのは難しいと、今の段階では思っています。本当はもう少しスムーズに協議を始められるかなと思っていたのですが、現時点では、条件が整わずに、止まっているという状況であります。
○NHK
 協議再開できない主な要因としては、個別交渉をめぐってということでよろしいのでしょうか。
○知事
 そうですね。ほかにもいろいろあるのですけれども、協議中ですから、個別のことについてはこの場で申し上げるのは差し控えさせていただきます。
しかし、今申し上げた事柄については、桑原市長も前々からおっしゃっていた事柄でもありますので、主にという意味では、そういう表現でよろしいかと思います。
○NHK
 来年度予算の概算要求の夏までにかなり期間が迫られていると思うのですが、これは去年と同じような轍を踏む可能性もあるのではないでしょうか。
○知事
 もちろん、そういう期限がある話なものですから、私どもとしては一刻も早く協議を再開したいという気持ちです。
 ただ、今回、きちんとお互いに条件を確認して協議を再開することになりますので、こちらが守れない条件で始めて、最初から守る気がなくて条件を確認するようなことになるのは、誠実ではない姿だろうと思っています。お互いが納得するやり方でスタートさせていかないといけないんではないかと思っていますが、私どもも期限は頭の中に入っていますので、これからも粘り強く精力的に、かつ、誠意を持って相手方と話をしていかなくてはいけないと思っています。けれども、正直言って今困っているという状況であります。
○日経新聞
 見通しは全くたっていないということですか。
○知事
 現時点では、いつまでにこうなるとか、来週中にはめどが立つとかという状況にはありません。
○時事通信
 知事がお考えになる具体的なタイムリミット、期限というのはいつごろでしょうか。
○知事
 一つには、前々から申し上げておりますように、概算要求というのがありますので、できるだけそれに間に合わせたいというのは当方の気持ちでありまして、それが一つの期限であると考えます。
○佐賀新聞
 もう本当に時間がないので、何らかの県の方からの基本的な考えとして、譲歩するということはないのですか。
○知事
 これまでもいろんな話をしていく中で、先方からお話があった分については随分、こちらの方としてはのんできたつもりです。ですから、主に大きなものとして残っている部分はその部分ということなものですから、その意味では7割、8割方合意に達してはいると思ってはいます。最後の残されたところがそこだということで、私どもとしては、例えば、江北町や太良町の方々のお話も、折に触れて聞くことはありますけれども、そこは鹿島市の方々のおっしゃっていることとは、主張がやや違うように感じていますし、江北町や太良町の住民の方が知りたいことというのはそれぞれあるんではないかと思っています。そういう住民の方を代表してお話をしていただくなり、また住民の方と直接お話をさせていただくということができないということになるとちょっと困るなと思っていまして、そこはぜひ何とか認めていただきたいと思っております。
 交渉の正式な窓口が期成会あることには全然異論はありません。しかしながら、この期成会以外の場で接触してはいけないとか、協議をしてはいけないと言われると、こちらもわかりましたというわけにはいかないなと現時点では思っております。
○日経新聞
 本筋の話をどう県が持っていくのかというのが鹿島側にもまだうまく伝わっていないから、その入り口の、いわゆる交渉の手段のやり方で、止まっているのではないでしょうか。
○知事
 本筋のものを持っていこうにも、相手の方で受けないと言われたら持っていきようがないわけですよね。先日もこういう局面を打開するために副知事に鹿島市に行っていただいたのですけれども、市長に会うことはできませんでした。もちろん、我々は我々として、いろいろな作業を淡々と進めていかなくてはいけないと思っていますし、地域振興策でありますとか、そういったことはきちんと準備しなくてはいけないと思っています。また、これまでの議論の中で、期成会側から指摘されている、例えば費用対効果については、私どもも向こうからの指摘で非常になるほどと思う部分もありますので、そうしたものを国にぶつけていって、国の方にきちんとした説明を求めるとか、そうしたことは当然やっていくべきことだと考えています。
 だから、県としてやれること、やるべきことはやっていきますけれども、まずは話をさせていただかないことには前に進まない状況だと思っています。
○日経新聞
 まだ具体的には、費用対効果を含めて、どういう数字が適当かいうことは問題ではないのですか。
○知事
 もちろん費用対効果の数字自体は出ています。その根拠となる数字がどうかとか、計算方法がどうかというお話だと思うのですけれども、そういったことについても、今我々もいろんな資料を取り寄せて勉強していますし、そういう中で、我々としても不思議に思うことは国にぶつけていかないといけないと思っているわけです。
 そうした、いわば研究の成果も、当然のことながら協議の場でも出していきたいと思っていますが、そういうことをやろうにも協議の場というのができていないと出せないわけです。今そこの協議の場のつくり方にずれがあるということだと思います。
○朝日新聞
 佐賀の場合には、鹿児島ルートと長崎ルートと両方の負担があるということで、国に対しても負担の軽減を求めていきたいということを常々おっしゃられていたと思うのですけれども、現在国に対してはどのように働きかけをなさっているのでしょうか。
○知事
 費用負担の問題については、現時点では具体的にある一定の動きをしているということはございませんが、今度また6月に政府政策提案がございますので、その場を使ってやっていこうと考えております。
○佐賀新聞
 長崎県の金子知事は応分の負担をしていいということだったのですけど、これは国との話し合いの後に具体化するとは思いますが、長崎との協議はどうなっていますか。
○知事
 長崎県との負担割合をめぐっての具体的な協議というのは、まだ始めておりません。これは別に期成会との制約の話はないと考えますので、事務的には始められると思います。長崎県側にどういったものを求めていくか、国に対してどういう措置を求めていくかという話は、セットであろうと思いますので、それについては長崎県側とも話を近々開始したいと考えています。
○毎日新聞
 長崎ルートの建設計画の話があることは、知事就任前からご存じだったのでしょうか。
○知事
 ええ、もちろん知っていました。
○毎日新聞
 選挙公約の中に新幹線に関する言葉は入っていましたか。
○知事
 新幹線については、選挙の際のマニフェストには入れていません。一般論としては、公共事業については、本来、そういったものが必要かどうかという判断をしてやっていくべきだということは、以前から申し上げていたと思います。
 新幹線については、その時点においては、城原川のダム問題のようなものと違って、急に話が持ち上がってくるという認識はありませんでした。私どもとしてみたら、昨年になって、急に浮上してきた話だったということです。
○毎日新聞
 以前、知事は県民の判断、県民の意見を総括して判断を下すのが知事の仕事であるから、それに不満があるならば次の選挙で県民側から信を問われればいいのではとおっしゃったのですが、仮に落選された場合、結果的には、4年間の間に新幹線を作るということを決めて、新幹線を作るためだけに知事になられたというようになるのではないでしょうか。
○知事
 さまざまな仮定があって、何と答えていいかわからないのですけれども、選挙の際、自分の任期の4年間の間に具体的に処理しなくてはいけないという項目について、またやりたい項目については、少なくともほかの候補者よりもかなり細かく詳しく書いたつもりであります。その時点において、具体的な日程に上がってこなかったものについては書きようがないと思います。それはこのことだけでなくて、他のことについても、さまざまな問題について、その時に判断を求められればその時に判断をする、その判断の仕方がどうだったか、内容がどうだったかということを常に私たちは批判にさらされていると考えています。ですので、次の選挙までの任期を待つことなく、首長のやり方はおかしいということであれば、まずは議会の方から厳しい指摘があるでしょうし、地方自治の制度においては、住民が直接首長をリコールするという制度も可能でありますから、そういったことも十分可能だと思います。
 すべては、どういうやり方で何をしようとしているのかということを県民の皆さん方に見ていただいて、ご判断いただければいいと考えています。
○佐賀新聞
 新幹線で県民が気になるのは、費用対効果に関連して、県費の負担だと思います。まだ長崎との協議を始めておられませんが、長崎ルートについては、全体で2,700億円ということは国から出ています。一方、県費の負担に関しては、97年度の試算で実質180億円というのがあるのですが、これ以降の公式な数字が全然出てこないのですが、県として、独自に現在の2,700億円から逆算して、県費の負担分というのは出せないのでしょうか。
○知事
 現在準備しておるものはありません。具体的に、実際に着工するということになっていけば、またその時点における試算をし直すということは必要だと思っておりますが、私どもが理解しているのは2,700億円以内で工事費は収めるということで国の方は考えておられると理解をしております。
 ただ、地方負担額とか、起債の対象額というのがどうなるかということは、中身がわからないとわかりませんので、実負担額では若干ずれが出てくるという可能性はあるかと思います。それは私どもだけでできることではないものですから、実際の工事費が幾らかかるのかということが出せるようになった時点で、また改めて試算をし直すということは必要になっていくだろうと思います。もう少し勉強してみます。
○佐賀新聞
 例えば、トンネル工事が何工事あるなど、概算でいいから、県民の目安になるようなのが出せないかと思いますが、いかがでしょうか。
○知事
 そうですね。鹿児島ルートの場合も参考にしてみます。最初に出されたものがいつの時点で修正がされていったのか、そういったところを参考にして、どういった形で出せるのか、少し考えてみたいと思います。

記者会見トップへ 平成17年5月10日記事トップへ

トップページへ

Copyright 2004 Saga Prefecture. All rights reserved.
このサイト内の文章や画像を無断転載することを禁じます。