記者会見

●質疑応答:職員募集要項の国籍条項について(その1)
○毎日新聞
 県職員採用試験の募集案内の中に、日本の国籍を有しない者は受験できないという条件、いわゆる国籍条項がありますが、佐賀県は、97年に国籍条項の撤廃職種を25職種に拡大していますが、それ以降、8年間にわたって全く拡大されていない理由を教えてください。
○知事
 国籍条項の撤廃については、それぞれの県で考え方があるのだと思います。我が県においては、その当時、撤廃できる職種について、ここまでは撤廃しても公権力の行使に差し支えはないと判断をし、そのままになっているということだと思います。
○毎日新聞
 以前、職員課を通して、採用試験における国籍条項の見直しに務めていきたいと思いますというコメントをいただいているのですけれども、97年以降の8年間、各職種についてどのように見直しに務めてこられたのでしょうか。
○知事
 過去にどういう見直しをしてきたかは、細かく承知しておりませんが、今年の1月に、公権力の行使に関わる地方公務員については、日本国籍を必要とする条件を付することも認められるという、最高裁判決が出ました。これは国籍条項について、私の理解する限り最初の最高裁判決だと考えます。
 この最高裁判決が出たということで、私どもとして寄るべき基準ができましたので、その基準に従って、もう一遍国籍条項に関してどの職種についてはどうだということを見直していくということがこれから必要だと考えます。
○毎日新聞
 最高裁では、憲法判断はされていませんが判断基準になるとお考えですか。
○知事
 憲法判断はしておりませんけれども、最高裁においてそのように判断がなされたというふうに私どもは理解をしております。ただ、逆に言えば、そういう公権力行使に当たらない部分については、必ずしも日本国籍を必要としないのではないかということでありましょうから、どの部分が公権力行使に当たらないのかということを、確定判決として判断をするということができようかと思います。
 また、それとは別の問題として、県民の方々からのご意見など、公権力の行使そのもの以外で何か考えるべき要素がないかということも、もちろんあろうかと思います。
 例えば、今農業というのは、非常に国際的な競争にさらされておりますけれども、その中で、外国に日本の苗が出ていっているという問題があります。そうした問題があるときに、苗の流出国の国籍を持たれる方が、例えば、管理職ではないにしろ、公権力の行使ではないにせよ、そうした職種につかれるということに対して、例えば、農業の関係の方々がどう思われるかということなどもあるかもしれません。
 私どもとしては、そうしたさまざまな要素というものをチェックしながら、佐賀県として撤廃できる国籍要件をわざわざつけておく必要はありませんので、それはそれで見直していく必要があると考えていますけれども、いろんな判断は、いろんなお話、ご意見をお伺いしながら判断していきたいと考えています。
○毎日新聞
 佐賀県の職員として働きたいという外国人住民の就労の機会が奪われている点については、どうお考えでしょうか。
○知事
 一般論としては、公権力の行使と関わらない部分について、いろんな場で外国籍の方々が活躍されているということは、全く否定もしませんし、それは大変日本社会にとっては喜ばしいことだと思っております。
 問題は、私どもも政府の一環をなす組織でありますから、政府が政府たるゆえんのところは、日本国というものの国籍が必要だということについては、私もなるほどと思っているわけでございます。ただ、それ以外の部分で、それだけの要件で本当に判断していいのかどうかということについては、それはよく県民のご意見も伺いたいと、申し上げているということでございます。
○毎日新聞
 佐賀県では、鳥栖市は撤廃していますが、そういった市町村のあり方、考え方をどのようにお考えになられますか。
○知事
 鳥栖市が鳥栖市民の代表としてされている判断に対して、私ども県がどうこう言うことは全くございません。私どもは、ただ佐賀県民の代表でありますから、佐賀県民の代表としてそれにふさわしい判断をするということでございます。
○毎日新聞
 では、同じ日本という国に住んでいて、佐賀県に生まれ育った外国人住民は佐賀県職員になるチャンスはないけれども、それはただ単なるアンラッキーだったと受けとめればいいということですか。
○知事
 いや、アンラッキーではなくて、採用条件については、年齢制限で30歳までにするか、35歳までにするかという要件を課しているところもあれば、課していないところもありますし、大学卒でなければならないというところもあれば、高校卒業の人しかとらないという県もあります。また、この職種は今年はとらないということもあります。さまざまな意味で条件が合った人から採用するしかないというわけでございます。
 私どもとしては、門戸を無理やりに閉ざす必要はないと考えていますので、今回の最高裁判決を受けて、できる限り私どもで整理のつく範囲において広げていくという方向で、やっていきたいと思っていますけれども、そのこと自体が決して許されない行為であるとは考えておりません。これはすぐれて、個別の自治体の判断であると考えております。
○毎日新聞
 そういった声が外国人の団体から県内で沸き起こってくれば、県としても考えたいということでしょうか。去年、実際にそういう要望書が提出されていますが、それについてはどう考えていますか。
○知事
 外国人の方の団体もそうでありますし、そうでない方からももっと開放すればいいではないかというご意見もあろうかと思いますので、そういったことも含めて、とにかく平たくご意見を伺ってみたいと考えます。
 また、要望書の件も承知していますが、本当にそれで大丈夫かということを、他の県がやっているから大丈夫ですという回答ではなくて、私どもなりにきちんと整理をした上で判断したいと思います。

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