記者会見

●質疑応答:城原川の河川整備について(1)
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○朝日新聞
 今回、流域委員会に地元委員を入れたり、住民懇談会を約40カ所、1,400人が参加するようなものを開いたり知事は行ってこられましたが、今の時点で、県民協働ができたか否かという点では何点という評価しているのか、足りない部分は何かを教えていただきたいと思います。
○知事
 流域の方々の御意見をお伺いする、一緒に物事を考えていくという意味では、高く評価していいのではないかと思っています。城原川流域委員会に、この案について反対する人がただ単に数あわせではなく入って、きちんと議論ができたということも大きかったと思います。たくさんの人が集まった住民懇談会もありましたけれども、そのほかにも相当きめ細かく地域に入っていって説明をさせていただいているということも大きかったと思います。
 神埼町については、以前はなかなか入らせていただけなかったのですけれども、今の首長さんになられて、私どもの説明会を開くことを許していただけましたので、相当の回数を開くことができました。そういうことによっても大きく変わっていったと思います。足りない部分があったとすると、特に、神埼町の上流の方で、私どもとしてはぜひ意見交換の機会を持ちたかったのですが、それが持てなかったということは大変残念だったというふうに思います。これはこちらからお願いをしていたのですが、なかなか今の段階では必要ないということでできなかったということで、その点については、私どもとしては足らなかった部分だと思っています。
 県民協働という観点から点数をつければ、80点ぐらいあるのではないかと思っております。
○西日本新聞
 この流水型ダムという案に最終的に決められた時期は、いつでしょうか。
○知事
 もうつい最近になります。ダムによらなくては難しいのかなというのは、前回の首長会議の時に、やはりダムによらない案を実現していくときには相当無理があるなということを感じました。それは、ダムによらない案を実現していこうとする際に、どうしても理解を得ざるを得ない流域の代表である首長の方が、絶対だめだとおっしゃっていましたので、これはなかなか実現が難しいだろうなと思いました。洪水リスクを負担するという案については、これ自身は非常に魅力的な案ではあったのですが、具体的な雨の降り方であるとか、被害があった場合にどうするかということについて、どこまで広がりがあるのかということがうまくまとめられなかったという点もあり、どうしてもダムによらざるを得ないなと、前回の首長会議が終わった後に考えました。
 今回の流水型ダムという最終的な判断に到ったのは、つい二、三日前であります。
○西日本新聞
 これはもう既に、国とは協議をされていらっしゃいますか。もしくは、申し入れがいつごろになるのか教えてください。
○知事
 事務的には、今日こういう形で公表をするということはお伝えしております。
 明日政府政策提案をいたしますので、その際に、私の方から国土交通省に対しては、こういう考え方でということを申し上げます。
 また、実施主体となります九州地方整備局には副知事を行かせようと思っておりまして、それは現在日程を調整しているところであります。
○西日本新聞
 環境に対する配慮というのをかなり打ち出しているわけなのですが、通常のダムをつくるのであれば、もっと工法が簡単なものができるかなと思うのですが、ここまで環境にこだわっていらっしゃる、環境のことを考えていらっしゃるということについて、もう少し詳しく教えていただけますか。
○知事
 一つには、今までのダムを幾つか見てきて、成功している例もありますけれども、やはり生きた水が下流に流れないという批判をあちこちで聞くからであります。生きた水を下流に流すことができれば、治水上はダムがよくても、生きた水がなくなるから嫌だと思っていらっしゃる方に対しての、議論をクリアできます。それともう一つは、やはり有明海の問題であります。有明海に対して、できるだけ環境変化の影響が小さくなるようにということを、これは配慮というよりは、そういう前提でなければならないということであります。
 今回のこの流水型ダムというのは、環境に配慮したダムではなく、環境保全を前提としたダムであるということ、環境と治水とを両立させるダムであるということを、この際、強調させていただきたいと思います。
○佐賀新聞
 流水型ダムの、まだ技術的な検討が必要ということですが、流水型ダムの今の規模及びコストと建設期間はどれぐらいで推定されておりますか。
○知事
 コストそのものは、前回、国が出しました、いわゆる穴あきダムのコスト程度であるというふうに考えており、費用としては、760億円です。
 その760億円のうち330立法メートル/sまで河道改修する部分が100億円で、その引いた残りの分がこのダムをつくるためのコストということになります。
 また、建設期間については、どうやって始めて、アセスメントが何年かかるかわかりませんが、洪水調節専用ダムの場合は完成まで20年と聞いておりますので、基本的にはその数字を私どもも前提としております。
○西日本新聞
 これは技術的には可能だと思われますか。
○知事
 可能だと思います。私たちの中にも治水の専門家がいますので、治水の良心に反するような提案はできないと思いました。今回、こういう形のダムを提案することについては、私どもの中で相当議論をして、他の例も見ながら、また今の国土交通省における技術の開発状況も勉強しながら、こういうことなら実現できるということで今回提案することにしました。
○西日本新聞
 国の方から、技術的に可能だという話はありますか。
○知事
 そこまでは至っておりません。国の方は、先ほど申し上げましたような、やはり本当に大きな岩が来て、穴をふさぐようなことがないのだろうかというようなことを心配しているとも伺っております。そういったことについては、こういう対策を講じればいいんではないかとか、あと本当に大雨が降った時には、随分水が溜まってきますので、急勾配なところを大きな石が流れていくということは、現実問題として考えにくいのではないかという指摘を平野アドバイザーからいただいております。そういったことを考えながら、私たちは必要があれば、転石対策を講じればいいのではないかと思っておりますし、いずれにしても技術的には可能だと考えています。
○朝日新聞
 知事はこの先、九州新幹線長崎ルートの話や、九州電力のプルサーマルの問題など、さらなる大きなプレッシャーの中で政治決断をしていかないといけない場面があるかと思うのですが、今回のような古川流の政治プロセスで、同じように今後もやっていただけるのでしょうか。
○知事
 それは問題によると思います。問題の性質、緊急性、内容によって、ふさわしい判断の仕方があると思っておりまして、県政の基本は「オープン」と「現場」と「県民協働」ということを常々訴えているのでありますけれども、その個々の場面において、すべてその三者が一体となって行けるということになれば、それはそれでいいのですが、ものによっては、場合によっては、「オープン」が先に行って、「県民協働」が後に来ることもありましょうし、また逆になることもあると思います。ただ、いずれにしても、その場の状況に応じながらも、その場における私としての最良の決め方がこうではないかという点をもって、いつも判断していると御理解いただければと思います。

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