記者会見

●質疑応答:玄海原子力発電所プルサーマル計画について
○NHK
 まず、プルサーマルについてですけれども、「唐津市民の意向を配慮する」ということを市長が来られたときにおっしゃいましたけれども、具体的にはどのような手法で唐津市民の意向を汲み取ることをお考えであるのかということと、今後のプルサーマルについての見通しをお願いします。
○知事
 唐津市民の意向の反映のさせ方については、具体的にはまだ決めておりません。これまでも原発に関することについては、立地町や周辺の自治体の意向の聞き方など、これまでの慣例や先例といったものがあったと思いますので、そういったものを見させていただきながらも、何か今日的なやり方というのがあるのかも考えながら、具体的にはこれから決めていきたいと思います。
 それと、プルサーマルについての見通しは、まだ情勢についてこちらに連絡が来ていないのでわかりませんけれども、いずれにしても審査が淡々と進んでいると理解しております。
 今後の見通しについては、現時点では私の方ではちょっと持ち合わせている材料がございませんので、御理解をいただきたいと思います。
○NHK
 仮に安全審査が終了した後は、どのようなスケジュールというのを今お持ちでしょうか。
○知事
 まずは国から話を聞くというところからスタートだと思います。県は県として話を聞かなくてはいけませんし、立地町である玄海町は玄海町としても話を聞くということが出てくるのではないかなと思います。私どもも、これまでの国の説明の中で疑問に思う点をぶつけてきておりますし、また、今回の審査の進め方などにつきましても、いろんなところからの御指摘もありますので、そういった事柄を含めて、国との間で意見交換、やりとりをさせていただきたいと思っています。
 そして、そういうタイミングでぜひとも国の方には、国主催の公開討論会をお願いしたいと思っていまして、こうした場を通じて疑問に思うことや不安に思われている方々、そういった方々に対して、どこまできちんとした説明がなされるのかというところに我々は注目をしていきたいと思っています。
○佐賀新聞
 国への公開討論会の開催要請というのは、もう随分以前から何度もやっておられるようですけど、その返事はいただきましたか。見通しについてお聞かせください。
○知事
 確たる御返事をいただけていないのでありますが、「やりませんよ」ということでもないものですから、それだけに私どもとしては、これを進めようとしている原因者は国でありますので、技術的にも、経緯からしても、説明をする材料をたくさんお持ちの国が、まずは全面に立って説明をしていただきたいということをこれからも強く申し入れをしていきたいと思っています。
○共同通信
 疑問や不安にどこまできちんとした説明がなされているかということをつかみたいということでしたが、それはどういったところで確かに疑問、不安は解消されたなり、打ち消されたりなりという、判断をされるおつもりなんでしょうか。
○知事
 定量的にこうなったからよかった、悪かったということにはならないと考えますけれども、やっぱり議論の収束の仕方というものを見る、その作業自体が私たち県としてしなければいけない行政的、かつ政治的な判断になっていくだろうと思います。
 今までわからなかったけれども、わかるようになった人はどれぐらいいますかと手を挙げるような形ではなくて、我々自身が疑問を持っていることというのは幾つもあるわけでありますから、そうしたことに対して我々自身も納得できるかというところも一つの要素してあろうと思いますし、また、私どものところにさまざまな形で寄せられる意見の変化などもまた見ていきたいと思っています。
○共同通信
 わかるようになったら手を挙げる形をしないということでしたけれど、以前から住民投票に関しては、否定的な御意見でいらっしゃいましたが、その点について考えをお聞かせください。
○知事
 住民投票ではなく、やはりこの判断に対して責任を持つ立場にある人間が、いい悪いも含めて最終的に判断をすべきであると考えております。もちろん、判断をする際には、地元の声、周辺自治体の声、そしてまた県民の声、そうしたものをどこまできちんと耳を傾けて行うかというようなことも含めて、判断の内容と、また判断に対するスタンスといったものについて、県なら県が責任をとるということだろうと思います。
○西日本新聞
 プルサーマルの安全性が依然語られておりますけれども、それはどの部分の安全性なんでしょうか。そのMOX燃料を原子炉内で燃料として使っているときに安全ならばそれでいいということなんでしょうか。
○知事
 それだけで足りるかどうかということは、まだ今の段階で言えないと思いますが、私どもが一番よく耳にする意見というのは、もともとウランを燃やすための原子炉なのに、プルトニウムを入れるという運転をして大丈夫なのかという不安だと思うんですよね。それが一番大きくあるのではないかと思います。それに伴って、制御棒の利きが悪くなるのではないかや、仮に被害が起きた場合に大きな被害になるのではないかなど、そういったところがあるのだと思います。
 だから、安全性という意味でいけば、本当にそういうウランの専焼炉でプルトニウムを今よりも多くの割合燃やして大丈夫かというところであると思いますし、そういう被害がどこまで拡散していくかということではないかと思っています。
○西日本新聞
 使用済みMOX燃料が出て、その再処理方法がまだ決まっていないことや、高レベル廃棄物の最終処分場も決まっていないなど、そういう情勢があると思いますけれども、そこはもう考慮しないで、原子炉内で安全に使われれば、それでオーケーということでしょうか。
○知事
 そこの部分も、そもそもそれは核燃料サイクルをどう考えていくかという問題だと思うのですが、核燃料サイクルそのものについても、いろんな議論がありながらも、私たちが承知しているところでは国は核燃料サイクルを推進していくという方針であると理解しています。そういう核燃料サイクルというものの中で、今おっしゃったような問題点をどうクリアしていくかということについても、私どもも、1度は説明を受けていますけれども、今回のプルサーマルと関連した形では、まだ受けていないと理解していますので、そうしたことも含めて、今おっしゃったような疑問点に対しても投げかけをしていくことも必要かなと思っております。
 ただ、私どもが直接的に判断を求められている部分というのは、そのプルサーマルの運転に対するものがメインになっていくのかなと思っております。
○佐賀新聞
 安全審査のあり方について、特に二次審査のあり方について、一部疑問の声が上がっていますが、県の方からも国に問い合わせをするということだったのですけど、それはどうなっているでしょうか。
○知事
 はい、問い合わせは既にしております。考え方についてきちんと示してくださいということで、問い合わせはしておりますので、そんなに遠くないときに国としての考え方は示されると思いますけれども、ただ単に紙が来るというだけでは十分かどうかわかりませんので、やりとりは当然させていただきたいと思っております。
○毎日新聞
 唐津市の同意そのものは必要ないということなのですけれども、意向は尊重したいという知事の考えですから、玄海町だけの同意と、あと県の同意なんですけれども、唐津市の同意とまではいかないまでも、かなり重きを置いたスタンスというのは、知事は考えているのでしょうか。というのは、玄海町だけの同意だと、坂井市長も言っていましたけれども、唐津市の方に九電が説明に余り来ないとか、結局、玄海町だけ納得させれば九電はいいんだという姿勢に、そのように特定されかねないので、唐津市も同意と同様の意向を尊重したいということにすれば、九電に対するブレーキにもなるかなと思うのですが。安全性や説明責任など、そういう部分で唐津市の意向を最大限に尊重するところまではいかないんでしょうか。
○知事
 唐津市の意向を玄海町の意向と全く同じように扱うということは難しいと思います。それは、玄海町にかつて原子力発電所を立地するということに同意をしていただいた、このことの経緯からしても、それはやっぱり地元の所在町として、いろんな意味で御苦労があったと思います。その上で、玄海町と県との間で安全協定を結んで、いろんなことをやっていくときには、協定をベースにしてやっていこうということをずっと積み重ねの中でやってきていますので、その意味では正式ルートとして予定されていることというのは、立地町と立地県が同意をするかどうかということであろうと思います。
 また、もう既に、ほかの県でプルサーマルについて事前了解をしたところというのは幾つかあるわけです。その後、いろんな事件が起きて、実際にプルサーマルが実施されてはおりませんけれども、もう電力会社が進めていけば、地元の了解はとれていたという県が幾つかあったわけでありますけれども、その幾つかの県においても、立地町以外のところから同意そのものをとるという形では行われていないと聞いています。だから、こういうやり方そのものが常識に外れているとは考えてはいません。
 ただ、そうは言うものの、議会でも出ておりましたように玄海の原子力発電所から非常に近いところに唐津市の市民が住んでおられるということは事実でありますし、やはりいろんな意味で違う運転をされるということであれば不安もおありだと思います。そういう唐津市民に対して、国や電力事業者がもう少しこれから本格的にきちんとした説明をされていく必要があると考えておりますし、そういう中で、唐津市民の中でどういう声や意見が出てくるのかということは、私たちはやっぱりきちんと耳を傾けていかなくてはいけないと思っております。玄海町と同様ということではございませんけれども、やはり周りに住んでおられる唐津市民の方々の気持ちや声というものを十分に聞く必要はあると思っています。
○共同通信
 討論会のことですけれども、知事は再三にわたって国主催でと国に求めているわけですけど、九電のときの公開討論会の印象で、説明とその後、両意見の方をあわせて討論という形をとっていましたけれども、私は九電主催でコーディネーターも選んだというところで非常に議論を誘導していく嫌いがあるように感じました。
 国にも求めていくということですが、県は中立な立場で判断をする立場だとおっしゃっていますが、県民に材料を提供する、判断の材料、県も判断すると同時に県民に場を提供するということで、一に国主催ということばかりではなく、それより先に県の方がふさわしいのではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。
○知事
 そういう意見ももちろんあります。よく私たちのところにもそういう意見が届けられます。ただ、私は県というのは原子力の技術的な所見、知識などについては、国ほどは持っていないということはまず認めなくてはいけないと思うんですね。そういったことを考えたときに、私たちは現時点では、プルサーマルをやるともやらないとも言っていないわけですけれども、繰り返しているように、本来これは国がやりたいと言っていて、実際にやっていくのは電力事業者なのです。私たちは、そういう国がやらせてくださいと言っている、電力会社もぜひあそこで実施させてくださいと言っているものに対して、その判断を求められているということなのですね。
 そのやりたいという方が自分たちで理解を得る努力をせずに判断をする方だけが公開討論会をやっていくことや、県が先に立って説明をしていくことについて、我々は今のこんなふうにしたいというやり方についての説明はできます。それと、私たちが持っている原子力関係の知識や経験に基づいて、答えるべきは今もずっと答えてきています。ただ、今回の件についてどうすべきかということについては、まずは国が先頭に立って、とにかくみんなに説明をするということをやってほしいと思っているんですね。
○共同通信
 国、九電の方が住民に説明すると、その傍観者的な印象をどうも受けるのですが。
○知事
 傍観者でまずありたいと思っています。我々は今直ちに責任を持っていないわけで、その説明する責任を持っているのは国なのです。国が、自分たちがやりたいと言っているので、それについて、なぜ必要なのか、「怖い」「不安」という声があるけれども、本当に大丈夫なのか、そういったことをまず説明してくださいと我々は要求しているのです。我々も何もしないとは言っていません。でも、先に県がやってしまうということになると、国から、我々は県の公開討論会に出席して、そこで説明しましたと言われかねないと思っているのです。つまり、それだけ国がしっかりと説明を、住民の方々や県民の方々に対してしなくてはいけないという意識を現時点で強く思っておられるというイメージが私はあまりないのです。そこを非常に恐れています。あくまでもこれは国家の話ですから国が進めようとしているものについては、まずは国がきちんと説明をするということをしていただきたいと思っています。
○共同通信
 いざ判断のときは、受け入れたということに対しては県が責任を持つというふうに先ほどおっしゃられましたが。
○知事
 国が国としてきちんと説明責任を果たして、国としての説明はある程度され、一方で、慎重にお考えの県民の方々もいらっしゃって、またそれなりにいろいろやっておられますが、そういったものがいろいろ出尽くした上で、もうちょっと中立的な形で何かそういう公開討論会の場を持ってほしいという声があるのであれば、そのときにはまた考えればいいのではないかと思っています。今の段階から、まず県がということになっていくと、責任の所在が極めてあいまいになっていくと思っていまして、とにかくまずそのためにも原因者である、事業の実施責任者である国が先頭に立って説明を行っていただきたいと思っております。
○西日本新聞
 しかし、国は推進する派だから、幾ら説明を尽くしても、都合のいいことしか説明しないかもしれないし、その辺のチェックは県が介在してするべきかなと思いますが、いかがでしょうか。
○知事
 それは国がまず説明すればいいと思います。その際に、いかにそれが都合のいいことしか言わないかということは皆様もお聞きになるんでしょうし、我々もそういう目でまず聞きます。国が説明しないことには、我々が国の説明のうち、こことここがおかしいんじゃないかということもまず判断ができないと思っているのです。だから、まずはとにかく国に説明をきちんとしていただいた上で、その説明に対して納得できる部分、納得できない部分というものを明らかにしていく方が、私は議論としてはわかりやすいのではないかと思っております。
○FM佐賀
 国の説明会はもう地元の玄海町で行われるだけでいいと思っていらっしゃいますか。それとも、佐賀県内である程度やってもらった方がいいと思っていらっしゃいますか。
○知事
 玄海町で行われるのは、もう必須だと思いますけれども、それ以外のどこで行ってもらうかについては、それはお話次第なのかなと思っております。例えば、玄海町でやった後、唐津でやるのに意味があるのかどうかよくわかりませんが、そういう声も出てくるのであれば、そうしないといけないのかなという気もいたします。ただ、そこのところは国との話になると思いますが、1カ所であれば十分だろうというところまではまだ至っておりません。
○FM佐賀
 国の方には、特に何回開催してくれとか、そういった具体的な話はまだされていないですか。
○知事
 ええ、それはまだしておりません。とにかく開催をしてくださいということだけです。

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