記者会見

●質疑応答:住民参加型ミニ市場公募債「さが県民債」の発行について
○佐賀新聞
 県民債からなんですが、例年2月、3月の発行だったんですけど、例年との違いはよくわかったんですが、発行時期が9月ということはどういう理由からですか。
○知事
 これまでも2倍を超える申し込みがあって、この県民債というものに対する要望が非常に強いと感じていました。
 それで、我々としても、できればこれをもっと発行したいという気持ちでいたんですけれども、さっき言ったように、この県民債を発行すると非常にコストがかかってしまうんですね。
 今回、今の時期に10億円発行して、それの評判がよければ、また3月の時期に追加であと10億円分、まあ10億円になるかどうかわかりませんけれども、追加で発行してもいいなというようなことを考えております。いきなり3月にやってしまいますと、そういう調整がききませんので、まずこの時期に発行をして、その反響を見て、年度内に再度発行するかどうかを決めていきたい、このように考えたということであります。
○西日本新聞
 国債を少しだけ下回る利率の発行としますと、これは全国初の試みということですが、これはクリアするのはやっぱりかなり難しいんですか。
○知事
 中央集権というのは実はこういうところにも表れていまして、いわば金融の世界のプロの人から見ると、流通の現場では別にして、発行条件のときに国債よりも地方債の方が金利が低いというのはおかしいのではないかということを随分言われたんですよ。
 ただ、それは別に何も決まりがあるわけでないし、どこかにそういったことをやるとルール違反だよということがあるわけでも何でもないわけなんですね。ただ、今まではそういったことがなかったということで、金融機関に御理解をお願いするのに随分時間がかかりました。
○共同通信
 先ほど、信用度が高いから国という話がありましたけれども、国と県との財政状況を比べて信用度には、まだ県の方が上だということですか。
○知事
 それは、佐賀県と現在の国の財政状況を比べたときには、佐賀県の方が非常に信頼度が高いと考えています。一番大きな理由は、我が県が持っている起債残高と、毎年の税収やいろんな基金の積み上げ高や、どれだけの償還を何年間でできるかということの計算をした時に、我々は国に比べると、財政的な面で言えば健全だということが言えるのではないかと思います。
 それはなぜかと言うと、国は赤字国債を相当発行してきています。現在国が発行している国債のうち、建設国債は10兆円以下の数兆円程度でありまして、あとの30兆円近くは赤字国債でありますけれども、我々は(団体の収支不足を埋めるような)赤字地方債を発行していませんので、そうした面から見ても国に比べて県の方が健全性があるということが言えると考えています。
○日経新聞
 知事、ただ都道府県レベルでも、信用度で利率を決められるというのは、市場原理としてはそう考えるのがもっともなんでしょうけれども、日本の国債・地方債の状況は、あんまりそういうことではないんではないでしょうか。もしそれだったら、例えば大阪市なんかはすごい利率にはね上がってしまうような、それが国内的な地方債の、例えば金融運営面で、それが果たして適切かどうかという御判断は、知事の頭の中ではあんまりなかったですか。佐賀県は大きくしてできるんだけど、いわゆる全国で考えた場合、そんな原理を地方債に適用すれば、物すごい資金調達難に陥る都道府県も出るんではないでしょうか。
○知事
 もちろん資金調達難までいかないにしても、我が県のような利率では調達できないところは出てくるだろうと思います。ただ、今回我々がやるのは、10億円という全体の起債の中では非常に小さな枠でありまして、その他の部分については金融市場の大きな仕組みの中で、国債、そして地方債──地方債は今、東京都債とその他に分かれていっていますけれども、そういう方式の中で、ある一定の枠の中で動いているということなんです。
 ただ、今こうやって県民債という形で非常に自由度の高い起債が出てきている背景は何かというと、これからゆくゆくは、こういう縁故的なものや特定の取引先ではなくて、市場原理に委ねての起債というものが、当たり前になっていくという時代を当然見据えておかなくてはいけないということだと思うんです。そうすると、我々は常にマーケットの条件だとか、マーケットの状況ということを考えて、これから起債をしていかなくてはいけないという時代になってきているんだと思うのです。
 私も、今そうやって国がある一定の枠の中で地方債というものについて条件を決めていることすべて否定するつもりはございませんが、将来的には、そういうマーケットの評価に耐えられる財政の経営をしていかなければ、資金調達もままならない時代がやってくる、その先鞭をつけているという例が今回の例ではないかと思っています。
○日経新聞
 そうすると、それを避けられないとお考えですか。
○知事
そうだと私は思っています。
○日経新聞
 そうすると、ある面では下手すれば、今の国債にも影響を与えかねないような感じはするんですけど、その点についてはいかがでしょうか。
○知事
 そのように大きくなっていけばですね。
○日経新聞
 それと、今選挙戦なんでね、国と地方を合わせて1,000兆円もの借金があるなんていう計算式もありますけど、利率がちょっと違えば、これはもう物すごく違ってくるわけで、これは大変な影響につながっていく可能性もあるんですけれども、むしろ、今まで信用度が全然違うはずなのに何で利率に反映されないのという、その思いの方が大きいですか。
○知事
 こちらとしては、もともとのところは、この県民債がこれだけいろんな方々に買っていただけるということの中で、もっとそれをスムーズに買っていただくための工夫ができないかというところがスタートだったんですね。その障害は調達コストの高さだったものですから、それを下げていくということの中で発行額を増やしていくことができないだろうか。そういう中で、本当に我が県の県債の金利が国債の利率よりも高くなくてはいけないのかということを考えると、そこは必ずしもそういうことは言えないんではないかと思います。実際に、もう既発債の流通を見てみると、必ずしも国債が常に利率が一番低いということではないわけですから、マーケットの、もう今の現状としては、そういったことを是認しているということもあるんだと考えています。
 ですから、ある意味これが風穴を開けるようなことになるかもしれませんけれども、いずれにしろ、こういう流れというのは避けられないというものがあるのではないかと考えております。

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