記者会見

●配布資料:佐賀県能力開発型人材マネジメントシステムの構築について

記者発表資料 平成18年1月4日 職員課 人事担当
担当:白井、原、前山(内線:1215)
直通:0952-25-7011
E-mail:jinji@pref.saga.lg.jp

 佐賀県では、これまで地方自治体においてよくみられた「お役所的」体質から脱却し、自律・協働時代に相応しい新たな組織文化を創造・定着させるため、他自治体にも通用する自治体職員の意識・行動改革のための「人材マネジメントシステム」を構築し、これを実践するとともに広く全国に提案していくこととしました。
 これは、「求められる職員像」であるコンピテンシーモデルを人材マネジメントの根幹にすえ、職員の「採用」から「退職後」に至るまでの様々なステージをカバーする総合的な人事制度を構築するものです。また、ブラックボックス的であったこれまでの人事制度をできるだけ透明にし、職員自らがキャリアデザイン(職業人生の設計図)を描くことができる仕組みに転換することとしています。これが、佐賀県の人材マネジメントシステムの特徴であり、自治体としては全国でも初の試みとなります。

1.佐賀県能力開発型人材マネジメントシステム構築の趣旨
 これからの地域間競争に勝ち残っていくためには、県民満足度を高めるための魅力ある政策づくりとこれを戦略的に推進するための斬新な事業の実施が必要であり、事業を実行しうるための組織戦略と人材戦略が不可欠となります。
 本県では、政策実現、組織運営にとって、「人」はその成否を左右する重要な資源であるという「人的資源管理(Human Resource Management)」の発想に基づいた「能力開発型人材マネジメントシステム」を構築しました。

2.佐賀県能力開発型人材マネジメントシステムとは
 県庁組織において最高の経営資源であり知的資本ともいうべき「人材」を育成し、その人材を、佐賀県が目指すべき方向に最適化するよう配置していくための総合的な人材経営施策体系です。

3.コンピテンシーモデルとは
 高い業績をあげる職員に共通に見られる特徴的な行動特性のことをコンピンテンシーといい、それらを「求められる職員像」として整理したものをコンピテンシーモデルと呼んでいます。
 佐賀県では、自治体が有すべき理念や自治体職員として望ましい行動例を、類型別に織り込んだ自治体版コンピテンシーモデルを新たに開発・構築しました。

4.コンピテンシーモデルの開発と育成評価の実施
 人材マネジメントシステムを展開する上で根幹となるコンピテンシーモデルを平成16年度に開発し、そのモデルを活用した育成評価を平成17年度から本格実施しました。
○コンピテンシーモデルの開発(平成16年度)
 求められる職員像であり、育成評価基準であるコンピテンシーモデルを開発。

○コンピテンシー評価(育成評価)を実施中(平成17年度〜)
 コンピテンシーモデルを活用した育成評価を平成17年度から本格実施。年間2回の評価を行い、自らの強み・弱みを知る手がかりとする。

5.コンピテンシーモデルを活用した人材マネジメントシステムの展開
 (平成18年度に向けた人事異動から実施)

 「求められる職員像」であるコンピテンシーモデルを活用して、人材の能力開発や適材適所の配置などを主眼とし、職員の「採用」から「退職後」に至るまでの様々なステージをカバーする総合的な人材施策を平成18年度に向けた人事異動から進めていきます。

佐賀県能力開発型人材マネジメントシステムのイメージ図
佐賀県能力開発型人材マネジメントシステムのイメージ図

6.人材マネジメントシステムの具体的諸施策
○育成型人事考課制度の導入
・コンピテンシー評価(育成評価)制度の導入(平成17年度〜)

・高業績者リスト(新規)
 コンピテンシー評価において、コンピテンシーの各要素のレベルの高い者(高業績者)を庁内で公開。職員から高業績者に対しアドバイス等を求めることができる。

・成果情報登録(新規)
 職員が、他の職員の模範となるような成果のあった業務の実施状況を登録し、庁内で公開。また、その成果をあげるに至った要因としてのコンピテンシー要素もあわせて公開。他の職員は公開された情報を業務の参考にすることができる。

・プラスワン活動情報登録(新規)
県庁外で個人的に携わっているCSO活動、学術活動等の活動状況を登録し、庁内で公開。他の職員は公開された情報を参考にすることができる。

・マネジメントサポート制度(360度評価制度)の導入検討(新規)
 部下が所属長のマネジメント能力(経営能力)をコンピンテンシー評価することにより、所属長の経営能力向上を目指す。

○適材適所の実現
・コンピテンシー傾向の公開の検討(新規)
 各所属長が、自分が所管する所属等において特に必要とされるコンピテンシー傾向を把握し、今後求めたい職員像を具体的にコンピテンシー要素で整理し、報告する。
当面は、公募等に活用し、将来的には、所属ごと、担当業務ごとに求められるコンピテンシー要素を一覧にまとめ、全庁に公開することを検討。

・公募制度(平成16年度〜)
 これまでも特定の研修や業務について庁内公募を実施していたが、今後、「研修」「業務」「役職」についての公募を行うとともに、公募をする際に、求める(又は研修で習得が期待される)コンピテンシーを明示する。

○複線型キャリアシステムの導入
・複線型人事制度の創設(新規)
 近年、自己実現可能な働き方を重視する傾向が強まっており、これらの職員の希望にも応えることができるキャリアパス(能力を高める職歴の積み方)を設定する必要があることから、特定の部門・分野で業務に精通し専門的スタッフとして業務にあたるエキスパート職(専任職)を創設。

・転職希望者リストによる人材紹介システムの創設(新規)
 県庁が育成し能力開発してきた有為の人材に、県を退職した後も民間で活躍してもらい、佐賀県へのさらなる貢献に寄与する制度。
 具体的には、50歳以上の職員で転職を希望する者が、エキスパート職(専任職)や専門分野ごとに氏名、年齢、経歴・職歴、免許資格等の情報をリストに登録。求人企業・団体等から求人の申し込みがあった場合に、求人企業等の希望条件に見合う人材を紹介。
 なお、これまでの一律退職勧奨をやめ、個別勧奨とする。

○育成型ジョブ・ローテーション(人事異動)
・育成型ジョブ・ローテーション(人事異動)
 入庁10年までの若手職員については、本人の意向や適性だけではなく、できるだけ、複数の本部間で異動、本庁・現地間で異動、質や種類の異なる業務に配置、本人のコンピテンシー傾向とは逆のコンピテンシーが求められる職場に配置など、本人の育成や新たな適性の発見等を意図した戦略的な人事配置を行う。

・職種間の交流
 特に技術職のうち、他職種の業務を行うことが専門分野のフィールドを拡大させることが期待されるものについて、職種を超えた人事異動を実施。

○庁内公募制の活用
・プロポーザル異動(職員提案型異動)制度(新規)
 職員が、自分の行きたい所属の長に対し、その所属でやりたいことや事業のアイデア、自分ができること等(個人のマニフェスト)や自分の強みとして有するコンピテンシー要素を記してメールや面談により売り込む。プロポーザルを受けた所属長がその職員の配置を希望すれば、その希望を尊重。

○柔軟な任用制度の研究・実践
・ポストチャレンジ制度(新規)
 一般職員で、係長の職に挑戦したいと自ら手を上げた者の中から、チャレンジ枠として数名を抜擢登用。若いうちからマネジメント(経営)経験を積ませる。

・希望降任制度(新規)
 個人の能力と意欲等に応じた職場環境を提供し、職場全体における公務能率の維持増進を図ることを目的に希望降任制度を創設。
 これは、
・家族の介護など家庭環境の原因や自身の心身の故障等により当該職員が担う職責を全うできない状況に陥った場合
・一度、昇任又は昇格したものの、経験不足等により期待された職責を全うできないと感じた場合に、職員自らの申し出に応じて、降任等を行うもの。

○採用試験制度の改革
・職員採用試験におけるコンピテンシーの活用(新規)
 職員採用試験では、「知識偏重の採用」から「人物本位・能力重視の採用」への転換を実現するためコンピテンシーを活用する。今年度は、面接試験においてコンピテンシー面接を試行し、新たな採用の枠組みとしてU・Iターン型民間企業等職務経験者採用試験を実施。今後、人事委員会との協働により、佐賀県が求める人材を明示し、県が真に求める人材を厳格に選別する試験のあり方を検討。

○研修制度の改革
・コンピテンシー能力開発研修の実施(平成17年度〜)
 これまでの職位による一律の階層別研修を廃止。今後の研修を、コンピテンシーを伸ばす研修と位置づけ、各職員がそれぞれのコンピテンシー評価を踏まえて自ら希望して受講する研修へと転換。
 今年度1220人の応募枠に対し1773人が希望。新たに280人の講義枠を設定。

7.今後の展開
○人材マネジメント学会の設立(平成18年4月開設予定)
 佐賀県や他の地方自治体、早稲田大学が共同して人材マネジメントに関する学会(「早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会」)を設立。
 地方分権時代における人材マネジメントのあり方を研究、実践するとともに、全国の地方自治体に情報発信し提案活動を行います。
詳しいお問合せは、
早稲田大学マニフェスト研究所事務局内
〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1−6−1
TEL&FAX 03(5292)4381

○県内市町村への展
 県内市町村に対し、コンピテンシーモデルの普及を図るとともに、自治体の人材マネジメント力の強化を共にすすめていく同志を募り、県内自治体の人材の活性化と人材経営能力の向上を図ります。


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