記者会見

●質疑応答:平成18年度当初予算案について(その1)
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○日経新聞
 知事、予算全般についてなんですけれども、この辺はうまくいったとか、この辺は苦労したなど、よく点数化というものも聞くんですけど、全体的に見てどうでしょうか。
○知事
 厳しい状況の中ではありますが、実質的に私の4年間の任期の中では最終年度に差しかかるわけでございますので、その意味では、マニフェストの仕上げの予算を組むという意味でいけば、そういったものは確保できたのではないかなと思います。
 苦労をした点というのは、やはり歳入の不足ですね。これだけ景気が全体的に回復基調でありますので、実はもっと税収増が欲しかったところであります。そこが今年度の当初予算を組む段階ではまだ5.7%程度の伸びにとどまっているということで、ここがきつかったです。その分を結局起債で賄うことにしておりますので、予算そのものは組めておりますけれども、内実を見たところ、非常に厳しさというものは免れないわけでございまして、この歳入増がなかなか見込めなかったというのがつらかったところでございました。
 点数をつけるとすれば、去年も大体75点とか80点と言っていると思いますけれども、大体その水準かと思っております。
○日経新聞
 それに絡んで、いわゆる三位一体改革でどういう影響が今回の予算にも表れているでしょうか。知事はかねてから一生懸命取り組んでいらっしゃいますけれども、この点については具体的にもうちょっと踏み込んでご説明願いたいのですが。
○知事
 三位一体の改革がまがりなりにも現実のものとなったわけでありますけれども、まず一つは、国庫補助負担金が188億円減った。その割には税収は100億円しか我が県は増えておりませんので、その差額の分の88億円が交付税で措置されているという確認をしっかりしなければいけない。無論、国がそういうことをしないだろうとは思っておりませんけれども、そこの交付税の総額確保というものはしっかり実現させなければならないということをまず強く思っています。
 それともう一つは、この3兆円の税源移譲というものを受けて、わずかではありますけれども、地方の自由度が増したものも幾つかございます。そういったものを受けて、実際に県民生活がどう変わったのかということを具体例で示せるようにならなければいけないと思っております。先ほど説明したような、例えば、企業に対する経営コンサルタントの派遣、これはコミュニティービジネスを行うNPO法人ではだめということになっていたものを、そうじゃなくしますよということも一つであります。また今回、特別養護老人ホームの補助金も一般財源化されていますけれども、国との協議に時間がかかりますので、工事に着工できるのは大体9月上旬です。そうすると、高齢者が施設に入所できるのは翌年4月になります。これを今回一般財源化されたことを受けて、我々は5月上旬には施設側に補助金を交付決定しようと思っています。こうすることによって、2カ月ぐらいではありますけれども、翌年2月ぐらいには高齢者が施設に入所することができるようになる。こういったこと一つずつの積み重ねが三位一体の改革や地方分権改革というものに対して、県民、国民の理解を得られることになるんだと思っております。こうしたことをどんどん実現していって、それによってやっぱりよかったという声をしっかり受けとめて、そうしたものを改めて全国に向けて発信をしていきたいと考えています。
○毎日新聞
 先ほど歳入の不足、税収増がもっと欲しかったということなんですけれども、緊急プログラムの中に、歳入を確保するためにどんどん土地を売ったりしていくというプログラムがあったと思うんですが、その成果は出ているのかどうかについて聞かせてください。
○知事
 土地を売れという話は随分言っていますが、なかなか実現できていません。ちょっと取り組み不足だと思っています。
 ただ、今回、歳入不足の根本的な解決にはならないにせよ、県の施設に有料広告を入れることを決めました。お客様がたくさん来られる施設の多くは指定管理者の管理になっているものですから、指定管理者との協議が今後必要になってきますけれども、そういう有料広告を入れるというようなことをして、とにかくなりふり構わず、1円でも多くの歳入を得られるようにしていきたいと思っております。
 また、それと、歳入増というと、やや露骨でありますけれども、「バイ サガン(Buy sagan)2006」という運動を始めようと思っております。バイ サガン(Buy sagan)、佐賀の物を買おうという運動2006ということでありますが、これはもちろん佐賀県で物を買うということがそのまま税収増につながると思っているわけでございまして、ご承知のように、佐賀県は人口が減っていっています。我が国も減っていっていますが、それ以上に佐賀県の減少率が高いものですから、これまでと同じような消費の仕方、経済活動だと、地方消費税の配分基準では、どんどん佐賀県のシェアが下がってきてしまうんですね。そうならないように、とにかくこの平成18年度については、佐賀の物を買っていこうということをしていく。それを皆さんに訴えたいと思っています。
 何で今年1年間行うかというと、平成18年度の売り上げ調査の小売商業調査が翌年度に行われて、その数字がその後5年間の地方消費税の配分基準に使われるんです。だから、ことし1年間頑張る意味があるのです。だから、できるだけ佐賀県内で物を買いましょう、消費をしていきましょうということをこの一年度行っていきたいと思っていまして、そうしたことを通じて少しでも歳入増につながればと思っています。
○西日本新聞
 今年度の予算を見ると、まず、地方交付税をかなりぎりぎりまで組んでいらっしゃるのかなという印象を受けたのと、それから、先ほどプライマリーバランスのことを言われていましたけど、要するに県債も公債費ぎりぎりのところまで計上するという、要するにかなり余裕のない、ぎりぎりのところで組んでいる予算かなという印象を受けたのですが、それに対する知事の考えを示していただきたいのと、それともう一つは、要するに20年度までの予算の前提となっている緊急対策プログラムですね。これが数字を見ると、税収なんかは若干上回っているんですが、国庫支出金などはかなりずれが出てきているところがあると思います。この見直し等はどのように考えているのかの2点をお話しください。
○知事
 まず1点、交付税の見通しについてでありますが、もちろん空歳入を組むわけにはいきませんけれども、確かに去年に比べれば相当厳しく見込めるだけ見込もうということで交付税を見込んでおります。これもまた、先ほど申し上げたような苦しさの表れの一つであると思っています。
 無論、起債などを活用することによって予算が組めないという状況にはなっておりませんし、我が県は、例えば経常収支比率などを見ても、47都道府県の中ではまだ総体的に見れば健全な方に属しているとは思いますが、先ほど来繰り返しておりますように、これからの自治体は税収で運営していく、経営していくということが主流になっていく時代になります。そうなっていくと、もっとしっかり税収を確保していくということを考えていかなければなりません。その点において、税収というのは、急にその気になったから増えるというものではないにせよ、税収確保をしっかりしていくということによって、少しでも健全性が保たれるようにしたいと思っております。
 行財政改革緊急プログラムとの関係でありますけれども、確かに今のところはこのままやっているということではございますが、今、国の方でも歳入歳出の一体的な改革というものが言われておりますし、今年6月に、いわゆる2006年の骨太の方針が示されます。そういったものを受けて、今後、本県の税収構造がどう変わっていくのかということを我々としてもしっかり見据える必要があると思っておりまして、その段階で行財政改革緊急プログラムを変える必要があるのかどうか、そこの判断をしていきたいと思っております。
○佐賀新聞
 本部制導入後の本格的な予算編成になっているんですけど、本部制に対する知事の評価とメリット、デメリットがあれば。
○知事
 本部制のメリットは、何より人のせいにしなくなったということではないかと思います。ただ一方で、デメリットとして言えば、例えば、私学助成が典型的な例だったんですけど、私学助成をくらし環境本部の中で自立的に編成しろというと、私学助成の占める割合がかなり高いものですから、とにかく削減していくしかないんですね。私は県政の中では私学助成は充実する方向だということは方向性として示しています。事業評価の中でも、そのような高い評価を得ています。しかしながら、現実には、くらし環境本部だけの中でそういったものをやっていこうとすると、ほかに相当影響を及ぼすというようなことがあって、去年は大変苦しくなりました。そこで、今年は予算編成に当たって、私学助成については指定経費扱いということで、くらし環境本部全体の中で行うのではなくて、これはむしろ県全体の中での調整事項として持っていきました。そういったことなどは改善点でもあるし、何でもかんでも本部に任せておけばいいというものではないという例だと思います。
 また、本部制になってよかったという点を一つ申し上げれば、今回、現地機関が本課を通さずに企画経営グループに対して予算の提案を直接できるという仕組みを初めてやってみました。たくさんの提案がされた中で、なかなか実現できたものは少なかったんですが、その中で里親推進制度事業というものが実現されることになりました。
 これは佐賀県というのは養子縁組目的の里親というのは多いんですけれども、とにかく子供を育てることを目的にした養育目的の里親というのは非常に少ない県なんですね。最近は児童虐待などでお子さんが児童養護施設に来られたり、総合福祉センターに来られたりというケースが増えています。そういう中で、実際に接触している職員が「佐賀県にも里親制度があったらな」というようなことをそういうお子さんから聞いたということで提案があったものでありまして、それを平成18年度から実施するようにしました。こうしたものは、本部制を引いた、または現地機関の声をとにかく反映させる予算にしようというような取り組みをしている一つの成果ではないかと考えております。

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