記者会見

●発表項目:住民参加型市場公募債「さが県民債」の発行について
 それでは、佐賀県民債の発行についての記者会見を行います。
 今回の佐賀県民債は、発行総額10億円で、利率は0.98%、2月の利付き国債の利回りよりもちょっとだけ低い利率になっています。これは前回からこのようにしていまして、一般的な銀行に引き受けていただく起債よりも、こうして県民の方々にたくさん買っていただく場合、発行のコストが高くなります。その分を利率をやや下げるという形で吸収することによって、県民債発行そのものについてのコストを圧縮するというやり方でやっております。
 今回の佐賀県民債は10億円の額を予定していますが、今回対象としているのは、新しく嬉野市塩田町に建設します新設の養護学校、「(仮称)南部養護学校」の整備、それと、唐津地区にこれから造ることになります唐津東中学校・高校、中高一貫校の整備、この二つについてであります。それぞれ多くの方々にご利用していただく施設になりますので、広く県民皆様の資金をお願いするというものにぴったりかと思っております。
 購入方法については、県内にお住まいの個人か法人、また県内にお勤めの方で、購入限度額について、1人最低1万円でありますけれども、これまで200万円だったものを500万円に上げました。そして、抽せんで買っていただく方を決めていきます。2月22日から3月1日まで、はがきによる申し込みを行います。
 資料に掲載しているようにあて先、希望購入金額を記入することになっています。
 そして、3月2日に抽せんをして買っていただくことになりますが、繰り上げ当選の制度も作っておりますので、仮に買うと言われた方がいろんな事情で辞退された場合には、補欠者リストの中から上位の方が繰り上げて当選になるということになります。
 佐賀県民債を購入していただくことで、県立の施設がまさに県民立の施設になっていきます。皆様のお力をお借りして、佐賀県の将来を作っていきたいと思っておりますので、ぜひとも、一人でも多くの方に佐賀県民債を買っていただきたいと思います。
 それでは、この機会にあわせて現在の佐賀県財政の状況について、県政の責任者である私からご説明を申し上げます。
 そもそもIRといいますのは、投資家向けの広報活動というように言われておりまして、大体市場からお金を調達する企業の多くは、トップによるIRを実施しております。
 自治体もいよいよ資金調達について、マーケットから直接調達をしていく時代、国による規制が緩和されて、直接自治体の財務的な評価が問われるという時代になってまいりました。そこで、我が佐賀県としても昨年度から私が直接財務指標について説明するということを始めているものでございます。
 まず、アウトラインです。佐賀県の財政は、皆さんご承知のように、自主財源にはそれほど恵まれておりません。ただ、県債、いわゆる借入金の残高は、最近公共事業を抑制しているということもあって高止まりの傾向にあります。そのようにして、ある程度高いながら、停滞状態にありますけれども、公債費、つまり借金を返す額を上回る税収を今確保しています。ほかの都道府県と比べて、これまで比較的健全な財政運営をしてきておりましたけれども、税収そのものが非常に厳しいということや、最近交付税が削減されているという影響が色濃く出ています。
 しかしながら、いざというときに備えた基金が155億円あります。また、決算の実質収支も29年連続黒字という状況になっておりまして、厳しいながらも堅実な財政経営をしているということが言えようかと思います。
 今、地方交付税が削減されるといった非常に厳しい地方財政の環境にある中で、また、民間の力を使ってどうやって自立的な地域を作っていくかということで、県の仕事そのものを見直すということ、そしてまた税源、人口や企業を増やして財源を確保していくということと、歳出、歳入、それぞれあわせて今佐賀県行財政改革緊急プログラムを策定して、平成20年度には何とか財源不足が生じないような、収支の均衡する財政状況にしたいと考えています。
 この資料が、緊急プログラムと予算の数字です。この青が緊急プログラム上の数字で、実際の予算がこのように推移しておりますけれども、ほぼこのプログラムに沿った形で予算を組んできております。大体予定どおり着実に進んでいるということが言えようかと思います。
 財政運営の基本的な考え方としては、単なる歳出を削減して終わりということではなくて、とにかく税収増に結びつく施策を重点的にやるということであります。企業誘致、産業育成、新産業の創出、こうしたことによって、足腰の強い地域経営ができると考えております。
 また、厳しい中でありますけれども、やるべきことはやっていきますということであります。さらには、プライマリーバランスを黒字基調にすることは維持したいということでやっているものでございます。
 平成16年4月に、佐賀県は全国で初めて本部制を敷きました。そして、各本部の中で自律的な予算を編成していくというように移行をしていきました。これまでは、県全体の収支の中から一般財源を決めていっていたわけでありますけれども、各本部は配分された財源の中で、自分たちで事業を選択して予算化していくというように変えていっています。
 また、その意味で、財政課が一方的に査定をしていくということではなくて、各本部から見たときに、自分たちがやらなくてはいけない事柄をどのように重点的に実施していくかという、まさに経営の問題ということで予算を考えるようにしてもらっています。
 あらかじめ財源は配分しますので、予算全体の枠がそもそも差があります。ということで、財政収支さえしっかりできれば財政は悪化しない、こういうようなルールにしています。
 佐賀県の歳入構造、自前の財源は約3割。3割自治とよく言われますけど、その典型であります。全国で見ていただきますと、本来ベースであるべき地方税の部分が、全国的には33.3%でありますけれども、佐賀県の場合は2割弱ということになっています。
 また、人件費、公債費、扶助費という政策的に削減することがなかなか難しい義務的経費と呼ばれるものについて、佐賀県は徐々に上がってきていまして、今やほぼ全国平均と同じぐらいの水準になってまいりました。
 また、プライマリーバランスについては、臨時財政対策債という交付税の肩がわりになるものを含むか、含まないのかという違いはありますが、いずれにしても、プライマリーバランスは確保をしておりまして、放っておいても借金がどんどん膨らんでいくという財政体質にはないということが言えます。
 プライマリーバランスというのは、改めて申し上げますと、要するに借金がどんどん増えていく状況になっているかどうかというようなことでありまして、佐賀県はいずれの手法をとってもプラスになると。それに対して、一方で我が国、中央政府である日本政府は、11.2兆円マイナスになっているということで、放っておけばどんどん赤字が増えていってしまうという状況だと考えます。
 また、財政力指数について、上にあればあるほど財政力があるということになるわけでありますけれども、それを見ていただきますと、東京を除く全国の地域がこのようにだんだん下がってきてはおりますけれども、大体年0.4前後で推移しております。我が県は、もともとこの辺、0.3ぐらいだったんですけれども、税収が低迷したこともありまして、この辺(平成12年以降)では0.2台に落ちておりまして、最近だんだん回復してきておりますけれども、まだまだ全国平均に比べて差があります。これはひとえに税収が足りないということを表しております。
 経常収支比率というのは、もう毎年決まったような収入、毎年決まったような支出、その割合を見たものでありまして、数字が低ければ低いほど、毎年決まって入ってくる収入は多いけれども、毎年決まって出ていく支出は少ないということなので、健全だということになります。そういう数字でこの全国の数字と佐賀県の数字を見てみますと、佐賀県の方が低いという構造になっていまして、それだけいかにある意味需要というか、歳出を抑えてきたかということになるわけでありますが、平成15年度まで見ていただくと、全国平均(青印)と、佐賀県(赤印)との間に90.4と83.7、約7ポイントぐらい差があります。平成16年度はぐんと上がっておりますので、これは全国の数字がまだ出ておりませんけれども、それでも一応ほかの県並みというか、全国平均並みということがおわかりになると思います。
 次は起債制限比率といいまして、収入に占める借金の割合がどれぐらいあるかというようなことの数字であります。これは、よい方から数えて37番目ということでありますので、最近借金が増えてきているということでありまして、だんだん赤の数字が増えていっているということではあるわけなんですが、平成18年度からこれまで許可制だった地方債が協議制に変わります。つまり、今までは国が許可しないと起債が発行できない、借金ができなかったんですけれども、ある程度財政力のある団体については、国と協議さえすればいいというように仕組みが変わってきます。佐賀県はその団体の方に入っていまして、佐賀県よりももっと財政が厳しい団体があります。そういった団体は、こういう協議団体にならずに、その分も許可のままという団体、つまり、もうあなたが借金するのはちゃんと国が許可しないとできませんよという、そういう県もある。一方で、お話をすれば借りていいよという県もある。佐賀県はそのお話をすれば借りていいよという、そういう県であるということであります。
 これ(借入金残高/歳入決算)については、大体歳入と県債残高を見比べるということでありまして、県債残高は歳入の1.41年倍に相当ということで、これは割といい順から数えて高い方に属しています。
 公債費ですが、ちょっとこれ見にくいんですけれども、このラインの、黒で書いてあるのが公債費で、県債というのは、借金の額というのが、この赤で書いてあるものであります。
 ざっと見ていただくと、要は、公債費というのが平成16年度ピークにだんだん下がってきている、借金を返している額がだんだん下がりつつあるということを表していますし、また、借金の額そのものもだんだん最近下がりつつということが見てとれると思います。
 次に、県税の推移でありますけれども、平成元年を柱として、平成元年から平成16年度まで見ていただきますと、税収が1.3倍以上に伸びていっています。これを全国で見てみますと、全国は逆に下がっていっています。佐賀県はその後も産業集積が進んでいったということで、税収が増えていっておりまして、これは佐賀県として大変すばらしいことなのでありますけれども、一方で、さっきも見たように、まだまだ税収が足りないというふうなことでありまして、もっともっと伸ばしていかなくてはいけないというようなことになろうかと思います。
 次は貯金についてでありますけれど、佐賀県では財政調整基金、または借金を減らすための基金約200億円、標準財政規模、標準的にこれくらいが必要だろうと思われている財政規模というのが2,300億円でございますから、標準財政規模に対する貯金の割合は8.5%です。全都道府県で見てみますと、その割合が7.3%ですから、ほかの県に比べたら貯金の割合がやや高いということでありまして、これは、要するに健全な財政運営をしながらも、貯金をしっかり確保しておいて、いざというときに備えているというものであります。
 以上、駆け足になりましたが、佐賀県の財政状況について申し上げました。これまで佐賀県は、いわば身の丈にあった財政の経営をしてきました。また、これはほかの県には例がないことなんでありますけれども、5年後の予算総額をあらかじめ決めてしまうということを佐賀県はやっておりまして、それが行財政改革緊急プログラムという形になって表れています。これを作って実行していっています。
 佐賀県は、小規模ではありますが、相対的に見れば財政は比較的に健全であるということで、今回の佐賀県民債についても、確実に元本を保証することができます。県民の皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
 私からは以上であります。


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