記者会見

●質疑応答:平成18年4月1日付け組織改正と人事異動の概要
(その1)
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○日経新聞
 今回の本格的な人事は、知事が当選されてから2回目。
○知事
 3回目じゃないかな。3回目ですね。
○日経新聞
 そうすると、もうほぼ知事の今までずっと思っていらっしゃっていた構想の総仕上げみたいな感じでよろしいんですか。
○知事
 そうですね、もうこれで終わりという意味ではありませんけれども、一定の形はついてきたかと思っています。
 例えば、本庁・現地の交流を拡大したいと前々から思っていましたし、それに、このエキスパート職、E職という形で位置づけをしましたけれども、私自身も税に長くいましたので、税の人たちが持っている力、それは用地にしても監査にしてもそうなんですけれども、技術を非常に求められている部分についてきちんと評価すべきだということを前々から思っていました。そうしたことでありますとか、あと、県庁という組織においては、この人材というものが最大の宝であります。これをどれだけ豊かなものにしていくか、また、力をつけていただくかということによって県庁、そして、県政の動きが全く違ってくると思っていましたので、いわばそういったものの分としては、これで芽が出たというふうに思っています。
○日経新聞
 まだこの辺がちょっとやり足りなかったとか、そういうのはありますか。
○知事
 現時点では、やれるものはやれたかなというふうに思っておりますが、まだ足りないものがあるとすれば、例えば、試験研究機関や、病院なんかもそうですけれども、そういったものの経営そのもののあり方の見直しといったものにはまだ踏み込んでいませんので、その部分が組織としてはまだ課題として残っているかなと思っています。
○日経新聞
 済みません、続けて。退職者のところ(人材還元制度)がありましたよね。これはいろいろな表現があると思うんですが、天下りと言われれば天下りかなというふうに見れるんですけれども、その辺の、何というんですか、今非常に天下りがまた問題になっていますけれども、知事の頭の中で、例えば、もっと新しい斬新なシステムとか、単に県庁が紹介して民間企業にお願いしますというのは、これは天下りといえば天下りですけれども、何か違う形は……
○知事
 ですから、県庁は紹介しないというシステムなんです、これは。
○日経新聞
 いや、ただね、それはその表立って民間からくださいという形をとったにしても、本当にそれは天下りじゃないのかといったら、これは非常にチェックが難しいですよね。
○知事
 それをそう言われてしまうと確かにチェックは難しいんですが、ということは、一切全く関与せずに、じゃ定年が60歳なのに50歳で辞めてくださいと。あとは知りませんよということが民間企業も含めてあるんでしょうかということなんです。例えば、企業の中では、アウトプレスメント(再就職支援)というのは、企業の中でも重要な経営の一つのポイントになっています。我々も、アウトプレスメントという観点で、その人が持っている力をどこか別な場所で発揮するいい場所があれば、必ずしも60歳まで働かなくても、本人にとってもいいんじゃないだろうか。例えば、県庁はどうしても59とか60でやめなくてはいけません。でも自分が54、5歳になったときに、それまで培っている技術があると。たまたまそれを生かせるような人を求めているような会社があったり、事務所があったりした時に、そこに自分が行きたいと思う、またそういった能力が求められるとしたら、そういった人たちがその求めに応じて話をしてみるというのは決して悪くないと思っているんです。
 これまでは、ややもすればとにかく退職なんだと。どこかにおさめないといけないということで、いわば県庁側の論理で、関係の団体だとか、企業に採ってくれませんかとお願いをしていたという時代はもう終わったと思っているんですね。だからこそ、逆にそういったいろんな企業、団体から求められる人材になってくださいということをずっと訴えているつもりなんです。
○日経新聞
 民と民なら私も何も言わないんですけれども、つまり、県庁側がというのは、ある面、税金を取り扱っている権利とか、権限とか、そういうのを一部残したまんま、つまり、今の天下りの問題は、結局背後に公金を、税金をむだ遣いしている、その何て言ったらいいのかな、県庁内の人脈を持っていく形で民に出て、いろんな公共事業をもらうとか、そういうのにつながるからこれはよくないんじゃないかという論理になるわけでしょう。だから、知事がおっしゃっているように、そこのところを何て言ったらいいのかな、単に民間の50歳以上の早期退職者、希望者をいろんなところへ活躍してもらってもいいじゃないかという論理は、県の、つまり、公務員の場合は一概にすぽんと当てはまらないと思うんですよね。
○知事
 いや、それは恐らく一緒だと思いますよ。企業においても……
○日経新聞
 そこに何らかの歯どめというか、単に民間のA企業からB企業へ移ったというのとは違う何かが必要なんじゃないですか。
○知事
 いやいや、民間においても、例えば、その企業で培った人脈も含めてでありましょうけれども、そういう能力というものを、例えば、関係の会社で使ってもらうとかいうことは十分あるわけですよね。そうしたことというのも民間で行われているんだと思います。我々の場合は、今回国の防衛施設庁とかで問題になっているように、問題だというのは、こうやって明るみに出ているわけですね。我々は、例えば、入札にしても調達にしてもオープンな形でやるという仕組みになっています。税金でやっている以上当然だと思いますけれども、そういう仕組みができていますので、仮におかしな入札だとか、おかしな調達ということになれば、それはそれできちんと皆さんからご批判を受けるということになると思っているんですね。
 今、国の職員というのは、人事院の規制で、たしか2年間は関係した業界に再就職することが規制されているんですね。しかし、県や市町村にはないんです。それは制度的にどういうことになっているかというと、一つは、人事院のような、きちんと判断できるような独立した存在がないということもあるんですけれども、もう一つには、国というものが持っている極めて大きな権限、そういったものを背景にしたものと、我々地方公務員の場合とは随分違うということで制度設計ができているんですね。そういったものも我々今回前提にしているんですが、今の時代の、何か相手が要らないと言っている人を無理やり押しつけるということは、そもそも現実的にもなかなか難しいですし、もうそんな時代ではないということを我々は職員に対しても宣言しているということなんですね。
○日経新聞
 ちょっと私の質問がちょっとうまく質問ができなかったのですが、つまり、今国家公務員だと2年間直接企業には行けないと。つまり、その間に特殊法人みたいなところに行って、それからまた天下る、だから、また抜け穴みたいに今そういう、これも問題じゃないかと言われているんですが、つまり、地方自治体にはそれさえもないわけですよね。2年間は退職後関わっていた部署の関連する業界、団体には、民間には行ってはだめだという、それさえの規定もない中で、余りこれをずるずるこういうふうに、50歳以上でやめたい人はどんどん人材活用のために行ってくださいというふうにした場合に、ただでさえ地方自治体にはそういう国ほどの規制がない中で、余りそれをし出すと、逆に本当に天下りの危険性、天下りによる何か弊害みたいなのが起きる危険性はないのかどうかということをちょっとお聞きしたかったんです。
○知事
 もちろん、可能性としてはそういう危険性というのをはらんでいると思います。それはわかった上です。ただ、今入札にしても、調達にしても、ほかの営業みたいなものにしても、それはかなりオープンな形で進められていると思っていまして、私たちの今回の判断の中では、それが不正常な形で行われるということになれば、とてもじゃないけれども、それは批判に耐えられないだろうというふうに思っているわけです。
 ですから、今そういったことが実際に起こり得るかと言えば、私は違うのではないかと思っているということが1点です。
 それともう一つは、では、そういった人と全く関係ないところに行ってもらうのか、それこそまさにその人が持っている力、能力、技術といったものが全く発揮できない場所にその人が配置される、外部に配置されることこそ、それが天下りなんじゃないかと思うんですね。本当は要らないんだけれども、役所から頼まれたから置いておかなくちゃいかんもんね、そういったことを避けたいと思ったんですね。
 例えば、よく民間の企業からも県にいろんな話があります。そういう時に、例えば、中間のマネジメントの経験を持っている人が成長企業の場合少ない、管理職の経験をした人というのはいないだろうかという相談を受けることもよくあります。また、技術者という意味でいけば、小さな企業だと自分の会社でいろんな経験を積ませられないので、ぜひとも県とか市とか、そういったところで経験を積んだ人がほしいと言われることもあります。だから、そういった力が、それは求められている力であれば出す場所をつくってやる、そのかわり、こっちの方から積極的に当てはめるようなことはしませんよという制度だというふうに思っています。
 確かに、御指摘があるように、その危険性をはらんでいるのは事実なので、その運用の状況やその結果については、私どもも見ていきますし、また、皆さん方にも見ていただければと思います。
○佐賀新聞
 今回から副本部長級のいわゆる59歳以上での退職勧奨というのが事実上なくなっていると思うんですけれども、その説明がなかったので、その考え方の説明と、どういうねらいでそういうことをしたかというのをちょっと説明してください。
○知事
 これは実は1年前に決めていたんです。ただ、1年前のこの時期には、60歳まで続けていただくという人がいなかったということで、去年は適用しなかったんですけれども、今回は、統括本部長と生産振興部長について、生産振興部長については豊かな海づくり大会というのを抱えていて、これを必ず失敗なく成功させなければいけないということで、強くこちらの方から求めて残っていただくことにしました。また、統括本部長については、来年の3月で60歳になりますけれども、私の任期の最後の年に当たって、県庁改革を随分進めてきましたので、その総仕上げをきちんとやってほしいということで、特にお願いをして残っていただくことにしました。
 この基本にあるのは、これから、一律という考え方から個別にという考え方に移っていかなくちゃいけないだろうということであります。これまでややもすれば公務員の登用や任用というものは、なるべく平等に、なるべく同じにということでやってきました。無論、そうでなければ動かない部分も確かにあります。このメリットも随分大きかったとは思いますが、特に上の方のマネジャークラスになればなるほど、その人の持っている力というものを一律に59歳で切ってしまうということではなくて、それはやはりどうしても、時期的なこともあって必要だという方については、法律上許されるところを残すというふうなことを考えました。一方で、これは残ってもらう、もらわないではないんですけれども、先ほど説明した人材還元制度のように、ある程度の年齢に達した方で、自分はもうちょっとほかの分野で働きたいとおっしゃっている方は、そのような道もまたつくるということで、人それぞれによっていろんな道を増やしていく、そういう考え方で今回やっております。
○佐賀新聞
 引き続きなんですけど、考え方として、一律から個別というのはわかるんですけれど、どうせなら、いわゆる59歳の勧奨退職そのものを完全になくして、全員60歳で退職という考え方はなかったんですか。
○知事
 59歳で勧奨するという考え方そのものには私は異論はありませんでした。管理職の新陳代謝の促進という面もありましたので、そこについては、制度そのものを根っこからなくすという考えはしませんでした。

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