○日経新聞
　福岡市と福岡県についてお伺いしたいんですが、一つは、今月中にオリンピックの問題がありまして、佐賀県は今年の夏は比較的静かなんですが、福岡はかなり騒がしいと。もしも東京に勝って福岡市が国内で候補都市になった場合、隣県として、今後どんなふうな協力の仕方が考えられるのか、これがまず一つ。
　もう一つは、この前、鳥取県の片山知事が、麻生福岡県知事率いる全国知事会に対して苦言を呈されまして、知事会がちょっとだらしないんじゃないかというニュアンスでしたけれども、これに対して知事は、麻生知事を支えて知事会長に推された経緯もありますので、これについてどのようにお考えなのか、この2点ちょっとお願いします。
○知事
　まず、福岡でオリンピックが開催されることになれば、鳥栖スタジアムでサッカー競技が行われることになっています。その意味からも、私たちも競技が開かれるメニューの一つに加わっているわけでありますから、その意味では福岡市や福岡県と一緒になって成功していくように大いに協力をしていきたいと思っておりますし、世界中からいろんな人が集まれる機会でありますので、福岡市、福岡県というだけじゃなくて、佐賀県だけとも言わず、九州全部で応援し、かつその果実、いい結果がみんなで共有できるように協力をしていきたいと思っています。
　佐賀県としてできることがあるとすれば、一つにはもちろん宿泊場所の提供であるとか、また開催場所そのものについても、なおIOCのチェックなんかが経られますので、場合によってはもっと他の競技なんかも入ってくる可能性も出てくるかもしれません。そういったこともありましょうし、何より世界の中で勝ち取るというのはなかなか大変なことであります。私は前、長野県におりまして、長野オリンピックの招致運動にも多少かかわり合いを持っておりましたので、そういう面から見ると、国内で勝つのは大変ですが、世界の中で勝つのはもっと大変だという意識を持っておりますし、一度でだめでも、2度、3度とやるという気持ちを持っていないと、日本のオリンピックで一度で取れたのは長野だけであります。東京オリンピックも札幌オリンピックも確か2度目だったと思います。ですから、そういう長い気持ちで、一時期の盛り上げではなくて、長い時間かけて地域を元気にしていく、そういうムーブメント(運動)なんだということと、オリンピックはあくまでも平和運動でありますから、そういう平和というものについても考えていくようなことも、これから考えていかなくちゃいけないんじゃないかなと思っております。
　いずれにしても、私として持っているノウハウがあれば、それは提供したいと思いますし、私自身もボートという競技をやっておりましたので、ボート協会の会長には福岡でというお話をさせていただきました。
　私は、地方都市でオリンピックをやる良さというのがあると思っております。
○日経新聞
　ボートを福岡でやる、佐賀でやる。どちらでしょうか。
○知事
　いやいや、福岡で。つまり、福岡開催ということについて会長にご理解をということをお願いいたしました。
　東京でオリンピックの話をしても、東京都民の方で興味を持っておられる方は非常に少ないです。でも、もちろん賛成も反対もいろんなご意見ありますけれども、地方都市でこうしたイベントを行うということは、いわば町が町全体でお客様をお迎えするという、そういう温かみが出てくることになると思っております。
　この良さというのは、私は決して無視できないと思っていまして、大きな街で毎年100も200も行われるイベントの中の一つであるという存在であるよりは、滅多にない存在だということで、地域全体、そして、その周りが盛り上がることが、私はオリンピックというムーブメントを考えたときには、より大きな効果があるんではないかというふうに考えておりますので、そうしたことも含めて、ぜひ盛り上げていきたいと考えております。
○日経新聞
知事、開催都市に選ばれる公算、確率、知事はどんなふうにごらんですか。
○知事
　僕は結構あるんではないかなと思っています。東京都があまり動いていないということじゃないかと思うんですね。東京がやるんだから当然だろうということだろうと思うんですが、実は東京開催の計画を見ても、かなり多くの部分が仮設なんですね。恒久的な施設をたくさん造っていただくということであれば、競技団体も非常に興味を引かれる部分はあるかと思いますけれども、もう既にできている施設を基本的には活用し、かつ、それで足りない部分を仮設でというのが簡素なオリンピックの基本だとは思いますけれども、そうした状態であるとすると、決して東京は優位ではないということであります。
　国際的な競技大会や会議の経験は、福岡を初めとする地方都市においても結構ありますから。あんまりこれを言って東京都が緊張感持ってもらうと困るなとも思っているんですが、私は五分五分ぐらいの形勢には来ているんじゃないかなと思っています。