○佐賀新聞
　全国学力テストの市町村別の正答率の公表について、秋田県とか、また大阪府の知事は公表をすべきだというようなことをおっしゃっていますが、この市町村別の正答率の公表について、どういうふうに考えを持っておられますか。
○知事
　私は知事が各市町村の教育委員会に対して公表せよと強制するというのは反対です。市町村の教育委員会が主体になってこのテストに参加していますし、参加するしないも市町村単位で決めています。その結果について、どのように市町村の教育に生かしていくかということ自体は、私は市町村や、とりわけ市町村教育委員会で判断していただくべき事項だろうというふうに思っています。例えば、知事が知事の考えとして自分は公表したほうがいいという程度おっしゃるんだったら、まだそれを一歩譲ってわかるんですけれども、公表すべきだとか、しないところはどうするとかというのは、私はこの学力テストの趣旨に反するんではないかなというふうに思っています。
　多分自分たちのところはあまりよくないんではないかというのは、現場の話を聞けば、それはそれなりに結構危機感を持っていろいろやったりもしていますし、それで十分かどうかについてはもちろん議論のあるところだと思いますけれども、それを知事が市町村の教育委員会に対して、言うのは自由かもしれませんけれども、いわば強制に近い形で言うというのは、私はこの学力テストの趣旨からしてもどうかなというふうに思いますし、ただ、学力テストの結果だけを気にするような風潮に拍車をかけないかなと思っています。
　もちろん今回のノーベル賞を見てもわかるように、学問は極めて大事ですし、勉強しようという子供たちを増やしていくことは必要なんですが、私はそれとあわせて、意外に無視されているんですが、例えば、地域の行事に参加をするとか、あいさつをするとか、家の手伝いをするとか、そういう基本的なところについても、こうした調査がいろいろ行われているわけですね。そうした学力だけでなくて、人としての人格形成もどうなっているかということについても、みんなもっと関心持ってもいいんではないかというふうに思うんです。
　そうしたこともあり、私は各市町村の教育委員会に対して公表をするようにとか、また公表すべきでないとか、そのいずれも言う気はありません。