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記者会見
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発表項目:佐賀商工共済問題

  本日、佐賀県は、佐賀商工共済問題で訴訟を提起されていない被害者に対し、裁判において県の責任と認定された額の4分の1を支払うことにしました。
 やや長くなりますが、経緯を含めてこの結論に至った理由について御説明させていただきます。
 まず、第三者委員会からの報告内容と、それに対する県の方針決定について申し上げます。
 佐賀商工共済問題で訴訟を提起されていない被害者に対する救済については、本年の1月以来、外部の委員5名から成ります第三者委員会において、救済策を講じることについての考え方、その範囲、支払う額の基準の3点を主な検討項目として御検討をいただいてまいりました。
 この委員会では、法律上の根拠がなく、また、ほかに前例もなく、その判断が非常に難しい事案について、しかも、県費投入に対する厳しい声も含め、県民の方々にさまざまな御意見がある中で、これまで長い時間をかけて、非常に精力的に御審議をいただきました。
 これまで8回の委員会が開催されてきましたが、7月23日に開催されました第7回委員会において、最後まで残っていました「救済のために支払う額の基準」について、判決で県の責任と認定された額の4分の1とすることで委員全員の意見が集約されました。
 これにより、「どのような考えで」、「だれに対し」、「どのような救済を行うのか」といった、県が救済策を講じる上で重要なことについて、委員会としての結論が出されました。
 これまでも申し上げてきたことですが、この委員会から出される結論は非常に重いものであり、尊重しなければならないと考えており、また、平成15年8月の組合破産以来、長い間、大変御苦労をされてきた多くの被害者の方々のことを思えば、県としての対応は速やかに決定すべきであると考えてまいりました。
 こうした考えのもと、私どもとしては7月23日までの委員会としての結論に対し、県としてどう対応すべきかについて直ちに検討を始めました。
 その結果、「判決で県の責任と認定された額の4分の1を支払い額の基準とする」という委員会の結論は、訴訟を提起しておられない大多数の被害者に対し、訴訟を提起しておられる方と同等のとまではいかないまでも、何らかの救済策が必要だとする県としての基本的な考え方に沿ったものであり、その割合についても、「4分の1」であれば被害額に対する回復率がおおむね5割程度になる、つまり、被害者から見ていろいろ合わせて半分程度は戻ってくるという結果になるという意味において、一定の合理性がある、この内容であれば県民の方々にも理解をしていただけるのではないかとの判断を県として行いました。
 このような経緯を経て、本日の委員会において、これまでの検討結果が報告書にまとめられ、先ほど委員会から県に対し正式に御報告をいただきました。
 この報告を尊重し、これを県の方針として、訴訟を提起されていない被害者への救済を行っていくことを決定し、速やかに公表させていただくこととした次第です。
 今回の方針決定に至るまでの経緯や考え方などについて、詳しくご説明をさせていただきます。
 まず、裁判が始まってから、今回の被害者救済の検討に入るまでの経緯についてであります。
 平成15年8月に破産した佐賀商工共済協同組合に対し、平成8年以降、県がとってきた対応について、監督する行政庁としての責任を果たしてきたかどうかが争点となり、平成16年10月、被害に遭われた組合員の一部の方から、組合役員と県を相手どって裁判が起こされました。
 県は、裁判が始まる前に、調査チームによる県独自の調査により、当時の県の対応に問題はあったものの、法律上の責任があったとまでは言えないとの結論を出しておりました。
 この報告書をもとに、県議会では、その主張を繰り返しながら、早期の被害者救済と問題解決を求める声に対しては「司法の判断を待ちたい」とも答え、また、法廷においても従来の主張を続けてきましたが、裁判の結果、昨年6月に佐賀地裁から、県の法的責任を認め、損害賠償金の支払いを命じるという判決が示されました。
 県としては、従来の主張が否定された判決を不服として控訴することも選択肢としてはあり得ました。
 しかし、県議会や県民からの早期救済を求める声や、私自身が「司法の判断を待ちたい」と表明してきたことを踏まえ、この判決を重く受けとめ、また、組合破産により、長い間大変なご苦労をされてきた被害者の方々をできるだけ早く救済していくためには、判決を受け入れるしかないという判断に至りました。
 この判断のもと、あえて控訴することをせず県議会の議決をいただき、賠償金を支払うことといたしました。
 この判決受け入れの際には、別に審理が続いておりました第2陣訴訟についても、第1陣訴訟と同様の考え方でできるだけ早い解決を図っていくことを決定いたしました。
 その時点において、県として残された大きな判断は、訴訟を提起されていない被害者の救済についてどう考えるかということでした。このような方々に対して、県として何らかの救済策を講じていくべきなのか、それとも講じていく必要はないのか、大いに悩むことになりました。
 県としての議論において、考え方は分かれましたが、私としては、何らかの救済策を講じていくべきだと判断しました。
 それは2点の理由によるものであります。
 まず1点目は、昨年6月の判決で示された県の責任の重さです。私どもが受け入れた判決において、県には法律上の責任があったとされ、県が組合に監督権限を行使しなかったことについて過失が認められ、その過失が一つの原因となって組合員に被害を与えたという考えが示されました。このような判決が示されたこと自体、組合を監督すべき立場にあった県として重く受けとめなければならないと考えました。
 2点目は、組合破産による被害の広がりの大きさであります。この組合破産によって、約3,700名という多数の県民の方が被害に遭われました。また、こうした事情から、地域社会に与えた影響が極めて大きいものがありました。破産事案としては、被害の大きさの広がりという点において、過去に例を見ない、極めて重大な事件となりました。しかも、約400名という訴訟原告の数字は、被害者全体の約10%にすぎません。
 このような点から、訴訟原告と同じ破産事案によって被害に遭われた被害者でありながら、訴訟を提起されていないという理由だけで被害者全体の約9割に当たる3,300名の方々には全く何もしないという判断が、果たして県としての正しい判断なのか。約400名の訴訟原告の方を救済することだけでは県としての責任を果たしたことにはならないのではないかと考えました。
 以上、2点の理由により、原因者の一人として、県は訴訟を提起されていない被害者に対しても、訴訟を提起された方々と同等のというわけにはいかないまでも、何らかの救済をしていかなければならないとの結論に至りました。
 なお、この被害者救済に係る問題については、県議会においても、これまで熱心に議論がなされ、平成17年3月の佐賀商工共済問題特別委員会や、判決が言い渡された後の昨年6月議会においても、被害者の早期救済を求める決議がなされています。
 こうした議会での議論や決議も踏まえ、訴訟を提起されていない被害者に対しても、県として何らかの救済策を講じることが必要であるという考え方のもと、本年1月、第三者委員会を設置して、救済のあり方について検討をお願いしていたものが、このたびまとまり、県に対して報告されたということであります。
 これがこれまでの経緯と県としての判断の理由です。委員会の報告の中では、救済のために要する費用として、総額で約4億200万円が算出されております。県としては、早期の被害者救済という観点から、9月定例県議会に救済のための議案として予算議案及び条例案を提出することにしております。
 今回の救済について、県民の方々にさまざまな御意見があることは私自身も承知をしております。しかし、被害者の方々のことを思えば、判決を謙虚に受けとめ、被害者全体の9割に及ぶ訴訟を提起されていない方々に対しても、訴訟を起こされた方と同等のというわけにはいかないものの、一定の救済をすることが今の県に求められていると考えておりまして、県民の皆様の御理解をどうか賜りたいと存じます。
 なお、この件に関するさまざまな相談に応じるため、前々から佐賀商工共済問題を担当する商工課の中に、あす8月5日以降、専用回線を設けることにいたしました。あわせて、お知らせをいたします。
 私からは以上でございます。



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