○読売新聞
　教育関係の話なんですけれども、きょう、全国体力運動能力調査の結果が文部科学省のほうから発表されるんですけれども。
○知事
　体力ですね。
○読売新聞
　ええ。小学校5年生と中学校2年生の全員が参加する調査というのが今回初めてらしいんですけれども、学力調査のときと同じように都道府県別の成績が発表されるらしいんですよね。それに関して、市町村別のテスト結果を公表するという動きも全国の中ではあるようなんですけれども、佐賀県の場合はその結果を独自に公表されるということがあり得るのかどうかということで、ご見解をお聞かせいただきたいんですけれども。
○知事
　なるほど。いろんな調査をやるんだなというのがまず第一の印象ですけれども、ぱっと思ったのは、運動というか、スポーツの場合は、例えばオリンピックだとか世界選手権という形があって、世界一は誰だとか、日本一は誰だということに対して競うということにあまり抵抗のない分野なのかなという気はします。その点、学力のオリンピックというのはあんまりないというように、学力と体力は違うのかなという印象をぱっと持ちましたけど、ただ、私が思うのは、学力テストにしてもしかりなんですけれども、市町村と市町村教育委員会が主体となってやられたテストの結果に対して、例えば住民の方が「ぜひ教えてほしい」とおっしゃっているのであれば、それは住民の方々に対してきちんと公表すべきだろうというふうに思います。今回の体力テストの結果もそうではないかなと思います。
　ただ、市町村の住民の方や、市町村の教育委員会や、市町村がどう考えるかということとは別に、県の、しかも教育委員会ではなく知事部局のほうが、「これはこうすべきだ」というふうに決めるということについては、私はしないほうがいいんではないかなと思っています。例えば、多くの住民の方々の声が、「ぜひ自分たちにも知らせてほしい」と思っているのに、「なかなか学校や市町村教育委員会はうんと言わないんだ」というふうな状況があれば、それは県としても考えなくちゃいけない場面があるのかもしれませんけれども、今の段階では、我が県においてはそういうふうな動きにはなっていないのかなと思っていますので、これは基本的には県の教育委員会が考えることだと思いますけれども、それよりも前に市町村の住民の方や行政当局、教育委員会がどうお考えになるのかということが大事ではないかなと思っています。
○読売新聞
　それと関連してなんですけれども、学力テスト同様に序列化を招くというような理由から、今回の場合も文部科学省は市町村別には公表しないことが各都道府県との約束事になっているというような認識、見解のようなんですけれども、こういう見解を国の側が持つことについては、知事としては賛同できるか否かということで、ちょっとお答えを聞かせていただければと思います。
○知事
　それはちょっとおもしろいなと思いますね。というのは、それは都道府県と文部科学省との間の約束ですか。
○読売新聞
　約束事になっているという見解を文部科学省の側が持っているようなんですよね。
○知事
　まず、そもそも、書生みたいなことを言うようですけど、その事務の性格が何なのかというところから始まるのかなと思うんですよね。自治事務だとしたら、そういう約束はあまり意味がないのかもしれないなと思いますし、そもそも実際の調査の事業主体は学校とか市町村ですよね。
○読売新聞
　そうですね。
○知事
　そこと約束をしたんじゃなくて、じゃあそこは公表は自由なんですかね。というのが疑問で、実際にその現場と約束をせずに県の教育委員会と約束をしたら、そのことが市町村とか市町村の教育委員会を縛るという理屈にはなっていないんじゃないだろうかというふうに思います。
　ただ、私もその調査内容を見ていませんけれども、例えば各市町村の教育委員会なりに、これは個別の発表をしませんから協力してくださいというふうなことで、県教委なり何なりがお願いをし、市町村としても、それなら協力しましょうというふうな判断をした可能性はあるわけですよね。だから、そうだとしたら、じゃあ我々はそういう約束でやっているからというふうなことを教育委員会が言うのもわからないわけじゃないんですけど、文部科学省と県との間で話をしたことが、即、直接、市町村や市町村教育委員会を縛ることになるとは私はあんまり思わないんですけれども。
○読売新聞
　わかりました。ありがとうございます。