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発表項目:地域交通支援モデル事業について2件採択し、1件は認められなかったため、特区申請をすることにしました

 まず最初に、「地域交通支援モデル事業」でございます。
 これはそれぞれの地域でNPOの人とか、市や町が中心になって、今、なかなか移動手段に恵まれていないという人たちに対して、どういう移動の手段を提供していくのかということの、いわばチャレンジ事業でありまして、これは私が、今度の任期の仕事が始まるときのマニフェストで、ずうっと選挙の前にあちこち回っている中で、地域における移動の手段というものが非常になくなってきているということを感じてスタートさせた事業でございます。
 毎年大体3件ぐらいずつモデル事業をやっていますけれども、今回3件申請が来ました。そのうち2件を採択をしました。1件は、国の運輸局と協議をしましたが認められませんでしたので、特区申請をすることにいたしました。
 まずは、採択と決めた2つの事業からです。
 1つが、県内の透析の患者さんに対する輸送のモデルでございまして、これはNPO法人の通院送迎サービス「ふれあい」というところが行うものでございます。こうした福祉関係の車両が福祉的な目的で、ただ、比較的利用のしやすい、安い値段で移送をするということについては、福祉輸送モデルというモデルがありまして、それに沿った形でやっていくということでございます。当面は、神埼、佐賀、小城、多久を中心とした地域で透析の患者さんを病院に送り迎えするということをやっていくわけでありますけれども、将来的には県内全域の運行を目指したいとされているものでございます。使うのは、自家用車、自分の車を使って、透析患者の自宅と病院との間を送り迎えをするということになります。
 次が2点目です。ベロタクシーという、要するに自転車を使ったタクシー事業を今回、小城で始めることになったというものでございます。これは運転者は自転車と同じような、車は3輪ですけれども、特に免許は必要なくて、自転車と同じような感覚で運転ができて、後ろのほうにお客さんが乗るということになっています。
 このベロタクシーを使った送迎をやっていきたいということで、この佐賀県CSO推進機構が募集したボランティアが、このベロタクシーを使って、高齢者や児童・生徒などを有償運送するということでございます。何せ、人が自転車的にこいでいくものですから、そんなに遠くまでは行くことができませんけれども、例えば、この福岡市の事例、太宰府市の事例であれば、近距離を移動する観光客の方とか、あと、学校から自宅までを送迎してくれというふうな依頼だとか、そういった目的に使われているケースが多いようでございますし、イベントがあったときにも、ちょっと動く手段みたいなものとして目を引きますので、よいのではないかということでやってみたいということでございます。
 次、3点目が、申請は来ましたものの、現行制度では認められなかったものですから、特区申請を行うこととしたというものでございます。
 それは、鹿島市でNPO法人の「さえずり」という団体が行おうとしたサービスでございまして、それは、車を借りて、そして家事や身辺援助、子供の預かりなどの、とにかく困ったサービスを総合的にやろうと。いずれもそれを時間制料金でやろうということをスタートさせようとしました。
 ただ、その中には、人間をある場所からある場所まで運ぶサービスみたいなものも時間制でやろうとしたものですから、それについては、さすがにタクシーとの競合があるということで、そこの部分を外すということになったわけですね。ですから、この「さえずり」というところでは、家事・身辺援助や子供の預かりというサービスに限って、ここは有償でやりますよと。移送については、無償でやりますということを決めて、それでやりたいということで私どもに話があったのであります。
 ただ、こういう仕組みでやることが、道路運送法上、問題がないかということについて、国とやり取りをしましたけれども、この仕組みそのものはオーケーだということだったんですが、私どもがこの事業全体に対して支援をするという、県がこの事業に支援をするという行為が、すなわち、例えば、このリース車両に対する支援になるだとか、つまり、本来はお客様から取るべき料金を、お客様からは取らないけれども、その分、行政側がお金を払うということになると、もう結局は有償と同じじゃないかという指摘がありまして、この仕組みに対する県の補助金の支援が認められないということになりました。
 もう一遍言いますね。つまり、ここの「さえずり」というNPOは、移送以外の部分だけでお金を取って、移送そのものはお金を取らないでやろうとしたわけですね。この仕組みそのものは国もオーケーだと言っているんです。ところが、私どもはこういう取り組みに対して、ぜひ支援をしたいということで、支援をしたいということを国に対して相談をしたんですけれども、私どもがこの団体に対して支援をすると、その支援をする内容には車両をリースで借りるとか、移送にかかわる部分もどうしてもカバーしてしまうということで、それは結局のところ、もともとは、この移送については無料でやりますと言っているけれども、そこに行政のお金が入ることと同じじゃないか。これは道路運送法上は、やはり認められないのではないかということで指摘があって、私どもも道路運送法を所管する国のほうから正式にそれは認められないという結果が得られている以上、今のまま県が、ここに対して支援をするということはできない、そう考えたわけであります。ですから、採択は諦めました。
 しかしながら、こうした交通の不便なところでの移動支援を行うというNPO法人に対して、行政が支援をするということが本当にだめなんだろうか。こうしたことについては、移動の手段の確保をするという意味で、例えば、これは私ども今、実験でやろうとしていますので、少なくともこうして実験をやるというものについて、行政が支援をするということ自体は、道路運送法の趣旨に反しないんではないか。そうしたことをこの特区申請という形で国に対して訴えていきたいと思っています。
 ぜひともこういう試みについて、県が支援をできるように国のほうで特区を認めていただければと思っているところでございます。
 参考までにですが、じゃあこれまでどういう取り組みが採択をされたかといいますと、伊万里市の東山代というところでは、「元気バス」という名前のバスがスタートをしております。これはもう実証実験を終わりまして、8月から本格運行になっていっています。
 玄海町は、これは町の社会福祉協議会が、自分で持っている車、結構、社会福祉協議会なんか車を持っていることがあるんですけれども、いつもいつも使っているわけじゃありませんので、そのあいた時間を使って、住民の方を、これは無償運送しているということでございます。
 あとは、佐賀市大和町の川上校区でデマンド型の貸切バスをやりましたが、これは残念なことに利用者の実績が見込みをかなり下回ったということで、実証実験は終了しました。
 こういう形で、うまくいっているものもあれば、なかなかうまくいかないものもありますけれども、こうしたモデルケースをどんどん積み重ねていくことによって、これからの時代にどうやって地域における移動の手段を確保していくのかということについて、佐賀県的な方式というものが見出していければと思っているところでございます。
 これは、これまでの成果と今後の取り組みで、実際に2年間かけてやってきた結果が、かなりいろいろ見えてきましたということで、例えば、アンケートでバスがあったほうがいいというアンケートを答えられる方が、実際にバスを運行させてみるとほとんどお使いにならないというケースが随分あるんですね。その典型例が、川上校区のやつだったんですけれども、「あったほうがいい」と言われたからつくってみたけれども、実際にはなかなかお使いいただけなかったということがあったりします。ですから、アンケートだけでやるということは、やっぱり冒険だなということは正直言って思っています。このアンケートでやっていくときには、例えば1日何便ぐらい、ここから向こうまでいくのに何分ぐらいかかって、大体バス代は幾らぐらいになるという前提のもとで使うか使わないかみたいな感じのイメージでやっていかないと、なかなかきちんとした答えが返ってこないのではないかということが、だんだんわかりつつあります。
 それとか、この地元の自治体、市や町というものが理解がないと、なかなか物事が進まないということもあります。この地元の自治体のほうが、やはりこういう過疎地、中山間地、そうでなくとも市や町の中における移動手段をどう確保していくかということが大事だと。とりわけ今、高齢化が進んで車すら運転できないという人が増えてきていますので、そういう中でどうやったらいいのかということに地元自治体の理解がなければ、なかなかいろんなNPOの活動なども進んでいかないということも感じたりしております。
 また、いい事例としては、これいいよという話は、やっぱり住民同志の口コミというのも非常に大事で、こうしたことによって広がっていっているなという感じがしてきます。
 その6番目のところ改めてなんですけれども、今の、お金を取ってお客様をお乗せすることを事業としているバスとかタクシーと、今のようなNPOや住民が主体となったサービスとのラインをどこで引いていくのかというのは、非常に難しいところがありまして、ここは我々の悩みなんですけれども、やはりここは政策提案とか特区申請とか、どこまで大丈夫でどこからだめなのかということについて、ある意味ストライクゾーンを広げていくということが大事なのではないかなと思っていることを発見したりしています。
 これも、こういうモデル地区をいろいろやってみて広げていきたいということですね。

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