○時事通信
　地方分権の話なんですけれども、自民党政権になって、給与カットなどで地方交付税が削減されるような話もありましたし、知事としては地方分権を進めるべきだという立場からすると、自民党、進んでいる部分もあるのかもしれませんが、どういうふうに今、自民党になってちょっと変わっている点、よくなっている点、悪くなっている点あれば教えていただきたいんですけれども。
○知事
　よくなっている点から申し上げれば、決めるルールが割とすっきりしてきたというところだろうと思います。誰が責任者になって、どこで議論をするというところが明確になってきたのかなという印象を持っています。前の政権のときには、会議が結構乱立したりしていて、どこが責任を持って決めるのかということが非常にわかりにくかったわけですけれども、その意味では、ルールが明確になったという点は評価できると思います。
　一方で、今回の給与カットに見られるような対話不足といったところの面は否めないと思っていまして、国と地方の協議の場を１回開いただけで、もうこのことを、結局強行されてしまったということで、私どもも一定それに応じる形で給与カットいたしましたので、100％国が悪いということは申し上げませんけれども、このように対話不足のまま、議論不足のまま物事を決めて、それを地方側に強要していくというやり方は、もう今回で最後にしていただきたいなと思っています。
　これについては、やっぱり選挙のときにカットするということをおっしゃっておられましたので、いわば国民への約束を優先されたということだろうと思っておりますけれども、もうこのことはある意味で実行されてしまったので、もうこうした乱暴なやり方は終わりにしていただきたいと思っています。
　一方で、安倍政権というのは、第１次安倍内閣のときにも分権改革の推進委員会をつくってもらって、勧告をつくり、それを実行するという形で、実は歴代の自公政権の内閣を評価しておりましても、第１次安倍内閣というのは分権についての実績を結構残した内閣でもあったんですね。
　今回も、今、私は地方分権改革の有識者会議の一員としておりますけれども、大臣も含めてよく言われているのが、派手な打ち出しよりも、とにかく今までできなかったことがこの政権のもとで変わったということをやろうよということを言われています。大きく打ち出しではないかもしれないけれども、小さいなことでもいいけれども、今までできなかったことがこの政権のもとでできるようになって、住民の人が「ああ、ちょっと変わったな」とか、「よくなったな」というような形になるようにしていこうよということを言われていまして、その一つの例が、今、具体的に話を進めているハローワークが持っている求人情報、今、ハローワークしか見ることができないわけですけれども、その情報を我々自治体にも開放してほしいということをずっと申し上げてきましたけれども、それが最近の議論では、自治体だけでなくて民間も含めて開放していこうかという動きが出てきている。こうしたことなどは、これまでは、いわゆる岩盤規制として、なかなか穴があけられなかったものでございました。
　また、地域交通についても、これまで交通というのは国の専管事項で、自治体が全く関与していませんでしたけれども、最近、佐賀県内でも、福祉有償運送という形で、例えば人工透析に通っている人とか、要介護になっている人などを、比較的安い値段で病院やデイサービスなどの場所に運んでいくというサービスが出てきました。こうしたものについて、もっとこうあってほしいとか、台数を増やしたいとか、さまざまな要望が出ているんですけれども、自治体がそれに応え切れていないという実態があります。
　こうした地域における移動手段の確保というものについてどう考えるのかということについては、実は今までスポット、穴になっていた部分でございました。こうしたものについて、具体的な検討が始まっています。その意味では、派手さはないかもしれませんけれども、住民にとってプラスになるような改革に取り組んでおられるという姿勢は大いに評価できるのではないかと思っているところでございます。
　私どもとしては、そういったことを地道にやっていただきながら、さらに国に対して望むことと言えば、最近、国家戦略特区というものが出てきておりまして、先般、総務大臣にお目にかかったときには、これは東京や大坂だけじゃなくて、日本列島どこでもいいんですよというお話ではありましたが、先般、総理のコメントなどをお伺いしていると、やはりこれは大都市をイメージしたものだということでございますし、やっぱり日本列島の隅々まで、このアベノミクスなり、やっぱり世の中がよくなっているということを感じることができるような、そういうものをぜひ実現していただきたいと私は望みたいと思います。