○読売新聞
　参議院の選挙制度協議会で、福岡と佐賀を一緒にしようという座長案が示されたんですけれども、いろんな政党、ほぼ全政党が反発していると思うんですが、知事、地方自治というか、そういった観点からも含めて、今回の案についてどのようにお感じになられたか、伺いたいんですが。
○知事
　反対して覆せるものなら反対しますということで、ただ、そのハードルの高さというものも感じています。というのは、１つは、これは憲法問題なんですよね。憲法上、一票の平等というものをある程度保障しなくちゃいけないという観点に立つと、現行の選挙制度では、やっぱりどうしても限界があるということになっているわけですね。そうすると、我々は反対だと言うのは簡単なんですけど、憲法に抵触しないような具体的な提案をしなければ、それは区割りのことを考える方に対して無責任な発言ということになってしまうと思っています。
　その際に難しいのは、憲法には地方自治の制度的な保障のことは書いてあるんですけれども、憲法上、市町村と都道府県というものを書いていないんですね。憲法上、都道府県と書いてあれば、そこで憲法上保障されている地域の単位なので、その単位ごとに代表を出していくという考え方は憲法上も何らかの整理がつくんじゃないかという議論ができようかと思うんですけれども、それは我々が地方自治法という一本の法律によって設立された団体なので、だから、憲法と闘うことができないというところがあるんですね。
　ですから、それはこれまでずっと百数十年間、この都道府県の枠組みでずっとやってきて、それなりの地域的な一体感、あるいは文化、そういったものもできているということを考えると、それを無視して人口だけで足したり引いたりするという考え方に対して、関係者の方や、私も含めてですけど、それは違うだろうという気持ちに立たれるのはよく理解できるところですが、そうすると、何かクリアできるような提案をしていかなければならないということでありますから、大変難しいなと思っているところでございます。結論から言えば、大変難しいなということですけど。
　やっぱり憲法の附則とかに、この一票の平等については地理的なものとかそういったことを考慮するみたいな条項でも入っていればいいんでしょうけれども、本当に難しいなと思いますね。