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平成27年 2月16日
平成27年2月定例県議会 知事提案事項説明要旨

 本日、平成27年2月定例県議会の開会に際し、ただ今提案いたしました議案のご説明に先立ちまして、県政を担うにあたりましての私の所信を述べさせていただきます。
 私は、先般の選挙におきまして、県民の皆様からの温かい御支持により、知事として、県政の舵取りを担わせていただくこととなりました。誠に光栄に存じますとともに、県民の皆様の思いをこの肩に背負った、その職責の重さを今改めて実感しているところであります。
 私は、選挙期間中、多くの県民の皆様とお会いし、県政は県民お一人お一人のものであり、県民とともに歩む県政を目指します、と申し上げてまいりました。
 中山間地、漁村、県境の集落などに行くと、私達の地域を守ってほしい、何とかしてほしい、という多くの声をいただきました。
 こうした思いに対して、私自身が寄り添っていくことはもちろんのこと、職員に対しても、県民の思いをしっかりと受け止め、県民の幸せのために貢献することこそが、県職員のプライドであるべきと申し上げました。
 私は、県民との対話を大切にし、県政を県民の総合力で運営していくことが重要と考えています。県政運営のキーワードとして、「現場」、「ミッション」、「プロセス」を掲げ、現場を第一に考え、政策本来の目的を見失わず、政策決定のプロセスを大切にする佐賀県庁を目指していきたいと考えています。
 さて、かつての高度経済成長期の日本では、多くの人々が経済的な豊かさを目指し、人々の価値観は画一的な傾向がありました。また、地方から都市部への人口集中が進みました。行政においては、全国一律の統一性と公平性を重視する、中央集権型の行政システムが実施されてきました。
 しかしながら、高度経済成長後の安定成長、バブル崩壊を経て、右肩上がりの経済成長という一方向のベクトルは失われ、経済の停滞が続きました。また、社会経済情勢の変化や情報化の進展などにより、人々の価値観は多様化し、旧来からの中央集権型行政システムでは対応が困難となってきています。
 日本は、平成20年から人口が減少に転じていますが、今後、人口減少はさらに加速することが予測され、経済活動の低下や過疎化の進行など、地域の活力が低下していくことが懸念されています。
 こうした地域の課題解決に当たっては、潜在的なものも含め地域の持つ様々な強みを生かすことや地域の魅力を高めることなどについて、自ら考え、自ら行動することが強く求められています。
 情報化の進展などにより、現在では、世界への情報発信が簡単にできるようになり、様々な場面で、地域と世界とが直接つながりを持てる時代となっています。
 昨年、海外から日本を訪れる観光客は1,300万人を超え、観光客の多くが、我が国の伝統文化に興味を示すなど、各地域に伝わる伝統や生活習慣は世界で評価されています。
 佐賀県には、連綿と続く伝統や文化、地域の絆、美しい陶磁器、優れた農林水産物など、世界に誇れる、「本物」の地域資源があります。
 また、佐賀の先人達は「人づくり」に精力を注いできました。幕末から明治維新、その後の国づくりで活躍する多くの人材を輩出してきた歴史もあります。
 私は、今後、このような佐賀県の地域資源や人づくりといった「佐賀らしさ」の価値を再認識し、心地よいものとなるよう磨き上げ、世界に向けて情報発信していくことで、多くの方々から愛される、そして多くの方々が訪れる 佐賀県を描いていけるものと確信しています。
 今こそ、「人」を大切に、県民の総力を結集し、佐賀県が世界に飛躍すべき時です。必ず世界に誇れる佐賀県となります。
 私は、県民が、佐賀を誇りに思い、その思いが子どもたちにも引き継がれていくために、これからの4年間、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を目指して、全力で県政運営に取り組んでまいる所存です。
 このような思いを県民の皆様と共有するとともに、このことを実現するため、新しい総合計画を策定することとし、今議会にその骨子案を報告させていただいております。
 議会をはじめ、県民の皆様、市町、関係団体など、多くの方々との議論を踏まえ策定することとしており、最終案につきましては、6月議会での御審議をお願いしたいと考えております。
 私は、議会と執行部との関係は、県政を進めるに当たって、車の両輪であると考えております。これまでの県議会での議論を踏まえ、県民の幸せのために真摯に建設的な議論を行っていきたいと考えておりますので、議員の皆様におかれましては、県勢発展のために御支援と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。  次に、当面の課題に対する対処方針について申し上げます。
 まず、鳥インフルエンザについて申し上げます。
 先月17日に県内で初めての高病原性鳥インフルエンザが発生しました。
 直ちに、発生農場を中心とした移動制限区域の設定などを行うとともに、発生農場における防疫措置を開始し、24時間以内での殺処分、72時間以内での埋却処分等の措置を関係者の協力により終了することができました。
 その後、今月5日の清浄性確認検査において、発生農場からウイルスが拡散されていないことが確認されたため、発生農場から10キロメートル以内に設けていた搬出制限を解除しました。
 その後も、新たな鳥インフルエンザの発生がなかったことから発生農場から3キロメートル以内に設定していた移動制限を11日に解除し、今回の鳥インフルエンザの発生に伴う一連の対応を終了いたしました。
 今回の件で影響を受けられた皆様に対しまして御見舞い申し上げますとともに、防疫措置などに多大な御協力をいただきました自衛隊、警察、国の関係機関、長崎県、農業団体、建設業者、地元有田町など多くの方々に対しまして、心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 また、今回の防疫対応においては、危機管理における現地の体制のあり方などに課題もあったと考えておりますので、検証を行い、今後の対応に生かしてまいります。
 次に、有明佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 私は、今回の防衛省からの要請については、県民の安全・安心が確保されるのか、そのことを第一として、対応しなければならないと考えております。
 この観点から、私は、まずは、防衛省に計画の全体像や将来像を明確にしていただくことが必要であると考えております。
 去る2月13日に、私自身が左藤防衛副大臣から説明を受けたところでありますが、その際にも副大臣に対して、このことを要請するとともに、県民に対して真摯に対応していただくよう申し上げたところであります。
 いずれにしましても、現時点では、私自身の判断の方向性は、無色透明という意味で白紙であり、全く先入観なしに、今回の要請に対応してまいります。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 有明海の環境変化の原因究明には、開門調査の実施が必要という考えのもと、県議会、沿岸市町、漁協とも連携し、国に対して、早期の開門調査の実施を求めてまいります。
 国は、開門義務と開門禁止義務という相反する二つの義務を負い、いずれか一方の立場に立つことはできないとして、司法に判断を委ねていますが、1月22日の最高裁判所の決定はそれぞれの間接強制にかかる国の抗告を棄却するなど、開門を巡っては裁判が輻輳しており、司法上の決着には相当の期間を要するものと考えられます。
 一方で、漁業者にとって、水産資源の回復は待ったなしの問題であり、ただ裁判の結果を待つことはできない厳しい状況にあるため、今できる有明海の再生のための取組として、有明沿岸4県が連携して水産資源の回復を図ることで、宝の海である有明海の再生に繋がるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、原子力発電について申し上げます。
 原子力発電に関する県としての考え方の基本は、「県民の安全を第一に考える」ということです。
 原子力発電所については、安全性が確認されることが大前提であり、そのため、まずは一元的に規制監督権限を有する原子力規制委員会において、各原子力発電所の安全性について、厳格な審査を行っていただくことが何よりも必要であると考えています。
 現在、新たな規制基準に基づく審査が行われており、県としても、その状況を注視しておりますが、審査の結果については、原子力規制委員会が丁寧かつ十分な説明を行うべきと考えております。
 原子力発電の安全に絶対ということはなく、県としては、国や事業者に対して、不断に安全性向上の取組が行われるよう厳しく求め続けていきます。
 国は、「エネルギー基本計画」において、原子力発電を、安全性の確保を大前提として重要なベースロード電源と位置付け、原子力規制委員会により規制基準に適合すると認められた場合には、原子力発電所の再稼働を進めるとしています。
 県としても、中長期的には、再生可能エネルギーの導入促進等により原子力発電への依存度を可能な限り低減させていくべきと考えていますが、現在、石油や天然ガスなどエネルギー源のほとんどを海外に依存している我が国のエネルギー状況を考えると、原子力規制委員会により安全性が確認され、住民の理解が得られた場合には、原子力発電所の再稼働は必要と考えています。
 原子力を含め、国のエネルギーをどうしていくかということについては、国家の根幹に関わる問題であり、国において、「エネルギー基本計画」で示した方向性に基づき、様々な課題の解決策や実現までの道筋を示した上で、実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 また、事業者に対しては、信頼関係を築くためにも、嘘はつかず正確な情報を県としっかり共有すること、現場が事実と本当の意見を言える風通しのよい組織にすること、そして自然災害のみならず事故・事件を含めあらゆる事態に幅広く対応できる危機管理体制を構築することについて強く求めているところです。
 県といたしましては、県民の安全を第一に、今後とも国や事業者の安全に対する取組をしっかりと注視してまいります。
 続きまして、提案いたしました平成27年度当初予算案及び平成26年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
 まず、平成26年度補正予算案の概要について申し上げます。
 今回の補正予算の編成にあたりましては、11月補正後の事態の推移に対応するため、国の補正予算に対応した追加認証見込額を計上するとともに、歳入歳出予算について、所要額の調整を行うことを中心として編成いたしました。
 今回提案いたしました平成26年度2月補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ

一般会計 減額 約40億67百万円
特別会計 減額 約45億85百万円
となり、これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約4,335億39百万円
特別会計 約1,079億22百万円
となっております。
 次に、補正予算案の主な内容について申し上げます。
 国においては、最近の経済情勢が、個人消費の弱さのほか、地域ごとの景気回復にばらつきがみられることから、足元の景気の状況に対応するため、昨年12月に「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を決定しました。
 県におきましても、国の対策に呼応し、「佐賀県緊急経済対策(第3次)」として取り組むことにより、県内経済の活性化を図っていくことといたしました。
 今回の経済対策におきましては、公共事業等の追加や、燃料電池自動車(FCV)を購入できる環境を整えるため、水素ステーションの整備に対し助成するとともに、地域住民生活等緊急支援のための交付金を活用し、佐賀「()()()()」キャンペーンとして旅行クーポンやプレミアム商品券を発行することにより、県内の消費喚起を図っていくこととしております。
 建設工事の早期着手対策につきましては、翌年度発注予定の県単独事業を一部繰り上げて発注し、雨期前における浸水対策、防災・安全性の確保など事業効果の早期発現を図るとともに、端境期における中小建設業者の受注機会の確保及び工事量の平準化を図ることといたしました。
 以上、補正予算案の主な内容について申し述べましたが、これに対する一般会計の歳入財源といたしましては、
県   税    15億 9百万円
地方譲与税    12億52百万円
国庫支出金    約30億38百万円
繰 入 金  減額  約52億99百万円
諸 収 入  減額  約13億76百万円
県   債  減額  46億71百万円
そ の 他    約14億80百万円
  計   減額  約40億67百万円
となっております。
 次に、平成27年度当初予算案について申し上げます。
 国の平成27年度予算につきましては、経済対策・平成26年度補正予算や平成27年度税制改正とあわせ、経済再生と財政再建の両立を実現する予算として、地方創生の観点からの取組の推進や、女性が輝く社会の実現に向けた子育て支援の充実、そして、事前防災・減災対策の充実や国土強靭化の推進などをポイントとして編成されたところであります。
 平成27年度の地方財政につきましては、地方が地方創生に取り組みつつ、安定的に財政運営を行うことができるよう、地方交付税等の一般財源総額について、地方創生のための財源等を上乗せして、平成26年度地方財政計画の水準を相当程度上回る額で確保されたところであります。
 この結果、本県においても、一般財源が増額となるものの、平成27年度末の県債残高が予算規模を大きく上回る6,942億円程度に達する見込みであることに加え、国と地方を通じて大幅な財源不足が生じている ことから、県財政の置かれた状況は依然として厳しいものとなっております。
 このような中、平成27年度当初予算につきましては、知事選挙等の日程的な制約により、国の予算編成方針及び地方財政計画の策定方針に即応しつつ、いわゆる「骨格予算」を編成することを適当と考え、差し当たっての県政の円滑な運営を確保することを第一義とし、新規施策等の政策的事業については、努めて、次回の補正予算に譲ることとして、予算を編成いたしました。
 これを具体的に要約しますと、
  • 投資的経費に関しては、当面の執行が円滑に行われるよう、継続費及び債務負担行為に係るものについては、平成27年度所要額の全額を、その他の事業については、平成26年度予算額に対し、公共事業について、おおむね50パーセント程度を、また、単独事業について、おおむね30パーセント程度を目途に編成したこと
  • 災害復旧事業に関しては、平成26年度に発生した災害については復旧進度に基づく年間所要額を、平成27年度の災害については年間所要見込額を計上したこと
  • 県単独の補助金や貸付金などの政策推進費や臨時・大型事業経費については、当初予算での計上を必要とするものについて、年間所要額を計上したこと
  • 人件費、扶助費、公債費等の義務的経費については、年間所要額を計上したこと
などであります。
 以上、申し述べました基本方針により編成いたしました平成27年度当初予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計 3,881億47百万円
特別会計 約1,004億74百万円
となっており、一般会計におきましては、前年度当初予算と比較しますと、10.2パーセント減となっております。
 次に、当初予算案の主な内容について申し上げます。
 幼児期の教育・保育、地域の子ども・子育て支援につきましては、その質と量を拡充するため、本年4月からスタートする「子ども・子育て支援新制度」を着実に実施することとしております。
 廃棄物の減量化・リサイクルと適正処理の推進につきましては、産業廃棄物税を活用して、廃棄物処理に伴う熱回収施設への助成など、循環型社会の形成に向けた事業を行うことといたしました。
 スポーツツーリズムの推進につきましては、スポーツを通じた交流や世界に向けた佐賀県の情報発信を行うため、2016年に本県で開催予定の「佐賀熱気球世界選手権」に向けた準備が円滑に実施されるよう、組織委員会に対し必要な支援を行うこととしております。
 多彩な文化の振興につきましては、世代を越えて多彩な文化や歴史に触れ、楽しんでいただけるよう、「OKADA-ROOM」などを整備した県立美術館のリニューアルオープン記念展を開催するとともに、名護屋城博物館では、日韓両地域の交流を紹介する展覧会を開催することとしております。
 さらに、世界文化遺産に推薦された「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の構成資産の一つである三重津海軍所跡につきましては、本年7月にユネスコ世界遺産委員会において登録の審議を控えており、世界遺産の登録及び活用に向け、引き続きしっかりと取組を進めてまいります。
 生活困窮者対策につきましては、本年4月から施行される生活困窮者自立支援法に基づき、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給その他の支援を行うことといたしました。
 有田窯業大学校の4年制大学化につきましては、有田焼創業400年事業の一環として、佐賀大学との連携により、平成28年4月を目標に進めている佐賀大学芸術学部有田セラミック専攻(仮称)への移行に向け、老朽化している施設の改修を行うことといたしました。
 以上、平成27年度当初予算案の主な内容についてご説明申し上げましたが、これに対する一般会計の歳入財源としましては、
県   税  800億34百万円
地方消費税清算金  285億46百万円
地方交付税  約1,400億16百万円
国庫支出金  約421億 8百万円
繰 入 金  約96億56百万円
諸 収 入  約219億84百万円
県   債  約400億44百万円
そ の 他  約257億59百万円
  計   3,881億47百万円
となっております。
 このうち、県税につきましては、最近における経済の動向、過去の実績等を総合的に勘案するとともに、平成27年度地方税制改正案に係る増減収額を考慮して計上しております。
 地方交付税につきましては、地方財政対策等をもとに、現段階で見込み得る額を基礎において、所要額を計上するとともに、県債につきましても、国の地方債計画等をもとに、今回計上する事業費の財源として所要額を計上しております。
 次に、企業会計として運営しております工業用水道につきましては、収益的支出約4億53百万円、資本的支出約71百万円となっております。
 次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「佐賀県情報公開条例及び佐賀県個人情報保護条例の一部を改正する条例(案)」など26件、条例外議案として「国営土地改良事業に対する市町負担金について」など8件、あわせて34件となっております。
 その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
 以上、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。